Introduction: 日本は今年の7月4日、韓国へ輸出する半導体材料の3品目について審査を厳格化し、輸出規制の強化を図りましたが、8月2日の閣議ではさらに踏み込み、輸出優遇措置を取る「ホワイト国」から韓国を除外することを決定しました。
この問題の背景には、元徴用工を裁判をめぐる「歴史問題」があるとされていますが、どうやら問題はそれだけに留まらないかもしれません。
安倍首相には、実は韓国に対するある種の ”恐れ” があり、そのために対韓国外交において、かようなまでに態度を硬化させていると考えられるのです。
つまりは安倍首相の外交敗北なのです
日頃から、さらに選挙期間中でさえも、安倍首相は「”悪夢” の民主党政権」を吹聴して回っておりましたが、対韓国の外交で言えば戦後70年以上経た中で、まさに今現在が最悪の状態になっています。
これぞ外交失策、外交敗北以外の何ものでもありませんが、民主党政権下でもここまで韓国との関係が悪化することはありませんでした。安倍首相が民主党批判をするのは「お門違い」というものです。
すべては安倍首相の誤った歴史認識から端を発し、今や子供同士の喧嘩のように貿易規制の応酬になっていますが、安倍首相は一体どのようにして責任を取るつもりでしょうか?
また、メディアからも批判の声が聞こえてこないのも不気味です。
一般国民の中にも嫌韓を旨とする方は一定数存在しますが、隣人に対しては外交を放棄し、遠いアメリカに対しては盲目的に従属し、これについてはメディアからも国民からも疑問の声が上がらない日本は、実に倒錯した国家だと感じます。
韓国に追い抜かれる日本
上の図は、過去10年間における日本と韓国の「一人当たりの名目GDP」と、「国際順位」の推移をまとめたものです。
10年前の2009年、日本の「一人当たりのGOP」は韓国の「2.24倍」もの規模で18位でしたが、その後の10年で日本経済は衰退の度を深め、反面、韓国経済は堅調な伸びを示しています。
そして、2018年において日本の国際順位は26位に転落し、韓国は31位に躍進。一人当たりのGDPについて、日本の優位性は10年前の「2.24倍」から「1.25倍」まで韓国に肉薄されています。
さらに、上の図でも明らかなように、ここ10年における「GDP成長率」においても、韓国は常に倍以上の規模で日本を上回っていることが分かります。韓国は日本より遥かに早く経済成長しているのです。
つまり、日本の経済は長期間停滞したままであり、このまま推移すれば、オリンピック・イヤーである2020年に、日本は韓国に追い抜かれても何ら不思議ではない、ということです。
これが日本経済の現実なのです。
そして、この現実は安倍首相を始めとする、安倍政権を取り巻く関係者や支持者については直視に耐えない、極めて厳しい現実です。”アベノミクス” など、とうに何処かへ吹き飛んでいるのです。
こうしてみると、日本が韓国に対し半導体材料の輸出管理を強化したり、ホワイト国から除外したりするのも頷けます。
日本としては韓国に負けるわけにはいかないからです。
安倍政権のバックボーンとなっている日本会議や神舎本庁といった面々、安倍政権を取り巻く保守・右翼の面々がこのような現実を許すはずがありません。
まだ韓国に抜かれていない現在においてはどうにか報道管制を敷いて、国民の目を誤魔化すことはできるでしょう。
しかし、実際に抜かれてしまってはメディアとしても報道しないわけにはいきません。それは安倍首相による経済政策の破綻や、アベノミクスのイカサマ振りが白日の下に晒される瞬間となります。
それには韓国が最も痛いとされる部分に狙いを定め、圧力をかけるのが効果的と踏んで今回の措置に至ったのでしょう。なぜなら、韓国はGDPの約4割を輸出に頼り、その輸出の約2割を半導体が占めているからです。
現在、安倍政権はあらゆる手段を使って韓国経済の足をひっぱっており、たとえアメリカの仲介があっても手を休めないかもしれません。
それはあたかも、中国に覇権を奪われかねないアメリカが、中国に経済戦争を仕掛けている構図に酷似しています。