白坂和哉 デイ ウォッチ

安倍内閣を支持する「30.3%」の衝撃! ~福島民報社による県民世論調査

Introduction:令和2年の新年を迎え、全国紙は一斉に世論調査を行いましたが、安倍内閣に対する支持率に大きな変動は見られませんでした。

しかし、福島県においては特筆すべき結果が報告されています。

福島県の地方紙『福島民報社』による「県民世論調査」では、全国紙とは全く違った ”衝撃の結果” がはじき出されています。

なぜ、全国紙と地方紙とでは、内閣支持率に大きな違いが出てくるのでしょうか?

安倍内閣を支持する「30.3%」の衝撃!

福島民報社は福島テレビと共同で1月25日(土)、「県民世論調査」を実施。
結果は「安倍内閣を支持する」が「30.3%」となり、昨年9月に行った前回調査から「11.1ポイント」も低下したことが分かりました。

【問】安倍内閣を支持しますか。

支持する30.3 %
支持しない53.9 %
わからない15.9 %

安倍内閣を「支持する」が「30.3%」だったこともさることながら、「支持しない」については「53.9%」となり、半数を超えてしまったことは衝撃の結果と言えるでしょう。

実は、「支持しない」については、前回の調査から「13.6ポイント」も上がっており、「支持する」の結果以上に大きなポイントの増減を見せつけています。

◆ 出典記事 ◆
『安倍内閣「支持」30.3% 県民世論調査 前回比11.1ポイント減』

~2020.1.27 福島県民~

ちなみに、高知県の地方紙『高知新聞』では、昨年2019年1月に行った県政世論調査において、安倍内閣を「支持する」が「26.8%」、「支持しない」が「49.7%」といったように、非常に厳しい結果が出たことが知られています。

今年に行われた全国紙の世論調査結果

今年に入ってからは全国紙についても、内閣支持率に関する世論調査を行っています。各社の結果は以下の通りです。

▼ 読売新聞 (実施日 2020年1月17~19日)

支持する52%
支持しない37%
その他3%
答えない7%

▼ 朝日新聞 (実施日 2020年1月25~26日)

支持する38%
支持しない41%
その他・答えない21%

▼ 毎日新聞 (実施日 2020年1月18~19日)

支持する41%
支持しない37%
関心がない21%

▼ 日本経済新聞 (実施日 2020年1月24~26日)

支持する48%
支持しない45%
いえない・わからない7%

朝日新聞の「支持する」の「38%」については、前回調査した昨年12月21~22日の調査から横ばい状態で若干低いものの、上記4社についての支持率は概して高いものであることが分かります。

なぜ、全国紙と地方紙とでは調査結果がこうも違うのか?

Photo by : 『福島民報』2020年1月27日紙面

全国紙の世論調査では、概して安倍内閣の支持率が高い傾向を示す一方で、地方紙になると支持率が下がる傾向にあることは、ここ最近の世論調査における特徴として知られるようになりました。

一例としては、昨年の『高知新聞』がそうでしたし、今年は『福島民報』でも同様の結果が出ています。
なぜ、全国紙と地方紙とでは結果に大きな違いが出るのでしょうか?

そもそも調査方法が違う、ということが理由の一つとして挙げられます。

RDD方式による世論調査

全国紙が行う世論調査では、多くの場合RDD(Random Digit Dialing)方式が採用されます。コンピューターによって作り出された乱数を電話番号として無作為に抽出し、ダイヤルすることで情報を収集する方法です。

RTD方式による世論調査

その一方で、今回『福島民報』で行われた世論調査は、RTD(Random Telephone-number Dialing)方式が採用されました。これは電話帳から抽出した家庭用電話にダイヤルすることで情報を収集する方法です。

では、なぜ『福島民報』はRTD方式なのかと言えば、今回の調査は「県民世論調査」だからです。つまり、福島県民限定で調査対象に他県の方が入ってしまっては困るからです。

その意味では、高い確度で福島県民の世論を反映しているのではないでしょうか。

ここで露出してくるのは、やはり都市部と地方の「格差」ということになろうかと思われます。実際問題、筆者は2019年4月から福島県福島市に在住していますが、非常に強い停滞感、閉塞感を感じざるを得ません。中高生の頃と比較すると、明らかに福島県福島市は経済的に逼迫しているのは明白です。

おそらくは、日本の地方都市はどこも似たような停滞感、閉塞感を抱えているはずです。今こそ地方紙は『福島民報』のような「県民世論調査」を実施すべきではないでしょうか? そして、その結果を広く世に問うことこそ、ジャーナリズムだと確信します。

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