白坂和哉デイウォッチ

『廃炉のため処理水を放出する』は「ウソ」だったことが判明した!

画像:2019年10月3日 Greenpeace 『汚染水タンク、“やっぱり”まだ置ける– 国の小委員会傍聴記』 https://www.greenpeace.org/japan/campaigns/story/2019/10/03/10509/

福島民報に衝撃的な記事が掲載された

今年の8月24日、東京電力 福島第1原発の処理水が太平洋に向け放出されました。
これに先立ち、岸田首相は8月21日に首相官邸で記者会見を行い、処理水を海洋放出する理由について次のように語っています。

──そうした廃炉プロセスの前提となるステップが今回の処理水の海洋放出だ。

なぜ処理水の放出が廃炉のために不可欠か。事故炉のプールには今なお1000の使用済み核燃料がある。これらを事故炉の建屋から安全なところに移さなければならない。そのためのスペースをどこにつくるのか。

燃料棒の残骸を取り出し、保管するためのスペースをどこにつくるのか。さらにはデブリ取り出しのために様々な技術開発と機器操作のための教育訓練スペースが必要になる。

日本経済新聞『岸田文雄首相の21日の発言詳報 原発処理水の放出巡り』
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2198C0R20C23A8000000/

つまり、『廃炉をしたいのだが敷地はタンクで一杯である。だからタンクを減らして敷地を開けるために、処理水を放出する』と岸田首相は主張したのです。

ということは、放射性物質を含む危険な処理水を貯めていたタンクの処分方法についても、当然、予め計画されていると誰もが思います。そうでなければ敷地を開けることができないからです。

ところが、いざ蓋を開けてみたら、実際は全くそうではありませんでした。
それを伝えるのが9月24日の福島県の地元紙『福島民報』です。

この『福島民報』には、処理水を保管するタンクについて『いつ、どのようにタンクを処分するかまだ決まっていない』と明確に書かれています。

本当に廃炉のプロセスが決定していれば、タンクをどのように処分するか決める必要がある。そうでなければ敷地を開けることができないからです。
ところが実際はタンクの処分すら決まっていない。

岸田首相と東京電力は日本国民に対して「大嘘」をついている

この事実は、実は廃炉の計画など全く決まっておらず、しかも廃炉と海洋放出は全く関係がないことを明確に示しているに他なりません。

つまり、岸田首相の『廃炉をしたいのだが敷地はタンクで一杯である。だからタンクを減らして敷地を開けるために、処理水を放出する』という言葉は「嘘」だったのです。
日本政府や東京電力は国民に対して「嘘」をついたことになります。

福島第1原発の置かれている現実は、日々原発から出される排水の処分に行き詰まり、それを極端に希釈し海洋放出することで現状を誤魔化しているに他なりません。

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