Introduction:約7年8カ月にわたり内閣情報調査室(内調)のトップである内閣情報官を務め、また、安倍首相に頻繁に会っていることでも知られている ”官邸のアイヒマン” こと北村滋氏は、首相のおぼえめでたき人物の一人でもあります。
そんな北村氏は、9月の改造内閣で国家安全保障局(NSS)局長に抜擢され、もはや ”アイヒマン” ではなくなった模様です。
事実上の日本の「CIA長官」となった北村氏。
彼は「日朝首脳会談」実現に向けて動き出している模様です。
事実上のCIA長官
北村滋氏は、元々は警察庁出身の警察官僚であることから、警察官、おまわりさんぐらいに思っていてはなりません。
冒頭にも紹介したように、北村氏は約7年8カ月もの間、内閣情報調査室(内調)のトップ「内閣情報官」を務めており、上記の内調の組織図にもあるように、内調という組織が国内のみならず、国外に対してもかなり多面的に情報収集・分析を展開しているからです。
そして、内閣情報官とは、主要国の諜報機関と接触し、機微に触れる意見交換をすることで国家にとって重要な情報を手に入れ、検証分析し、その中での重要事項を首相に上げる役割を担っています。
つまり、内閣情報官であった北村氏は、日本の諜報分野を束ねるトップであり、日本のCIA長官の位置づけであったことが分かります。
よって、彼のカウンターパート(担当機関・人物)としてはCIA(アメリカ中央情報局)、MI6(イギリス秘密情報部:正確にはSIS)、SVR(ロシア対外諜報庁)、モサド(イスラエル諜報特務庁)などが挙げられます。
安倍首相と金正恩との会談は実現する?
そんな北村氏が、北朝鮮の朝鮮労働党幹部と秘密裏に接触していたことは既に紹介しましたが(2018年7月、ベトナムで朝鮮労働党統一戦線部の金聖恵 <キム ソンヘ> 統一戦線策略室長と極秘接触したが、その後、米ワシントンポスト紙にすっぱ抜かれた)、さらに週刊朝日10月11号で驚くべき発言をしています。
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「総理からあらたなミッションも受け、局長を拝命した」とした上で、「日本のルートで北朝鮮当局者への根回しに動きだしている。今年中に安倍首相と金正恩の平壌での首脳会談実施を目指している」と自信ありげに言い切ったことです。
北村氏はその職責上、”表向き” の人間ではなく、メディアに顔を出すのは極めて稀なのですが、そんな北村氏が自信をもって断言するのは異例中の異例と言えるでしょう。
彼が言うように、年内中にも「安倍晋三&金正恩」会談が実現してしまうのかもしれません。
北方領土問題はやはり困難か?
北村滋氏は、同時にロシアへも手を伸ばしている模様です。
9月17日、ニコライ・パトルショフ露連邦安全保障会議書記が安倍首相を表敬訪問した後、北村氏がパトルショフ書記と会談を行っています。
この時の模様をSPUTNIK(ロシアが事実上運営するサイト)が次のように伝えています。
パトルシェフ安全保障会議書記は、モスクワと東京は平和条約締結のための環境整備をする意向だと述べた。同書記は会談後にメディアに対応し、「ええ、確かに条約は締結しなければならない。そのためには条件を整えなければならず、我々はその作業をしていく」と語った。
パトルシェフ書記によると、露日双方は理解が足りない点について協議を続け、立場を調整し、それにより相互の信頼を高めていく意向だという。
~ SPUTNIK『 ロシア連邦安全保障会議書記と日本の国家安全保障局長、東京で安全保障分野の協力について協議 』~
ここでパトルショフ氏が言っている「条件を整えなければ・・・」「理解が足りない点・・・」は、無論、ロシアが北方領土を返還した場合に想定される、在日米軍基地がそこに出張ってくることに他なりません。
ロシアは、日本が北方領土において ”対米自主性を確保する” ことに、何の期待も抱いていないことはパトルショフ氏の発言からも分かります。
このSPUTNIK(スプートニク)の記事が興味深いのは、このような会談は2017年9月、12月にも行ったことを伝えていることです。
当時の日本の安全保障局長は谷内正太郎氏でしたが、谷内氏との間でも北方領土問題は全く進展しておりません。
以上の点から、北村 ”CIA長官” の元でも、北方領土問題の解決は困難であると考えられます。
年内は北朝鮮との動向に注目することにいたしましょう。