Introduction:首都東京は現在、非常に危険な状況に置かれています。
というのも、連日200人を超えるコロナ陽性者が確認されているにも関わらず、安倍政権と東京都の新型コロナに対する認識や対策が誤っているからです。
東京都の小池都知事は ”夜の街” を相変わらず目の敵にし、安倍政権は驚いたことに『GO TO キャンペーン』を進めるというではありませんか!これらは全て、最も重要な問題に目を背け、楽に利権を貪るための無責任な態度です。
ここままでは、さらに厳しい第2波が日本全土を襲うかもしれません。
輪郭を失ったコロナ対策
東京では、連日のように新型コロナの感染者が100人を超える日が状態が続いていますが、7月9日は「224人」の新型コロナの感染者が確認され過去最多を記録しました。そして、翌10日には感染者が「243人」となり、さらに最多記録を更新するなど、感染が再燃しまったく歯止めがかかっておりません。
さらに悪いことには、「安倍政権と東京都」、「専門家と地方自治体」との間では新型コロナに対する認識がまるで違っており、全体としてコロナ対策の輪郭を失いつつあるように思われます。
要するに、安倍政権や東京都は1日も早く経済活動を再開したがっており、専門家や地方自治体は事態を重く受け止めているのです。
東京都の認識
- 感染者が急増しているのは、新宿区など ”夜の街” を重点的にPCR検査しているためだ。
- 感染者が増えているとはいえ、PCR検査が追いつかず、陽性率が30%を超えていた4月当時とは状況が異なる。
安倍政権の認識
- 感染者の8割が40歳未満で重症者が少なく、病床にも余裕がある。
よって、直ちに緊急事態宣言を発令する状況ではない。 - 感染拡大防止策を取りつつ、段階的に経済活動を開始してゆく方針に変更はない。
よって、7月10日からの「ステップ③」(上の図)への移行も予定通り行う。
専門家の認識
- 感染者が多いのは ”夜の街” だけでなく、周辺地域でも感染が広がっている。介護老人施設、幼稚園、保育園で施設内感染が発生しており、そこでは集団PCR検査が実施され始めている。
- 2週間前、陽性率は「2.8%」だったが、7月8日時点では「5%」を超えている。検査数が増えれば陽性率は下がるのが普通だが、現状は実際の患者数が増えていることを示している。
地方自治体の認識
- 感染者がここまで増えたのは極めて憂慮すべき状況。埼玉としても無関係とは言えない(埼玉県大野知事)
- 首都圏との往来は細心の注意が必要。『GO TO キャンペーン』のクーポンの対象から首都圏を外すことも検討している(長野県阿部知事)
この2日間の東京都で起こったこと
安倍政権や東京都、特に小池都知事の発言は1カ月前と比べるとまるで ”豹変” したように思われます。当時、あれほど ”STAY HOME” をアピールしていた小池都知事は、現在の感染者数急増については、検査を増やしたのだからそうなるのは当たり前とばかりに ”どこ吹く風” といった様子です。
PCR検査を増やしたために感染者が増えたのはその通りですが、同時に陽性率も上がっているということは、全体としての実数が増加傾向にあることを意味し、また、今もって ”夜の街” を目の敵にしている点は非常に気になるところです。
では、具体的に感染者の内訳を見ることで、実態を紐解いてゆきましょう。
東京都 224人の内訳(7月9日)
東京都の小池都知事などは、どうしても ”夜の街” 特に新宿は危ないといったイメージを作り上げたいようですが、7月9日の感染者の内訳を見てみると ”夜の街” 関係者は全体の「33%」(74人)に過ぎないことが分かります。
つまり、重点的に新宿界隈で検査を行ったとしても、”夜の街” が元凶であるとは言えず、むしろ気になるのは「感染経路不明者」の「51.3%」(115人)の方です。
さらに、驚くべきことは30代以下の感染者が、全体の「81.7%」も占めていること。このことについては、翌7月10日の内訳も合わせて見てみましょう。
- ”夜の街” 感染者:33.0%(74人)
- 感染経路不明者:51.3%(115人)
- 30代以下感染者:81.7%(183人)
東京都 243人の内訳(7月10日)
- ”夜の街” 感染者:45.3%(110人)
- 感染経路不明者:49.0%(119人)
- 30代以下感染者:80.2%(195人)
7月10日は ”夜の街” の感染者が増えましたが、それでも全体として45%台に収まっています。そして、7月9日~10日の傾向としては、”夜の街” の感染者は全体の3~4割、感染経路不明者が5割。そして、30代以下の若年層が全体の8割を占めていることです。
東京都では『市中感染』が起きている!
実は、この傾向は東京都で50人以上の感染者が判明した「6月24日以降」、そして100人の大台に乗せた「7月2日以降」ほとんど変わっていないのです。
ということは、もはや言うまでもありませんが、東京都で今現在起こっていることは間違いなく『市中感染』であると考えられます。
つまり、”夜の街” や新宿といった地域などに限定したものでなく、東京都全体が新型コロナに汚染されているということ。そして、新型コロナの ”運び屋” となっているのが先日も指摘した通り、おそらく『満員電車』なのです。
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安倍政権や東京都は「感染者は若い人に集中しているから大丈夫だ」といったようなニュアンスで胡麻化していますが、それは詭弁でしかありません。より本質的な問題を指摘すれば、現在の東京都の状況は『クラスター潰しが限界に達し、お手上げ状態になっている』ということ。「感染経路不明者」が半数を占めるということは、まさにこのことを意味しています。
東京都の病床はすぐに足りなくなる!
東京都は、感染拡大の状況に応じて段階的に病床を確保するとしており、現在は「レベル1」の1,000床を確保している状況です(上の写真)
先週の段階では「271人」が入院していましたが、これが今週になって急に患者が増え、少なくとも「444人」(うち重症者は6人)が入院していることが分かっています。
なお、入院の必要のない軽症者や無症状の方については、家族感染を防ぐためにも東京都が用意したホテル等に入院する「宿泊療養」という措置がとられます。しかし、都の関係者の話では「ここにきて軽症者が病院に入院し始めている」というのです。
どういうことかと言うと、当初は宿泊療養のためにホテルを「5カ所」確保していましたが、現在は「1カ所」に縮小しており、100人程度しか受け入れられないというのです。
これに慌てた東京都は、7月16日までにホテルを1カ所、7月末までにホテルをもう1カ所確保するために走り回っているとか──
さらに言えば、東京都では「レベル2」で3,000床、「レベル3」で4,000床を確保する計画ですが、これらは既に「確保済み」となっているわけではありません。事前に医療機関などに根回しした形跡はありますが、即時対応ができないのが現状です。
このことについては、7月10日に行われた記者会見の席上、小池都知事が「病床数の確保をレベル1からレベル2に上げてゆく」と明言しています。しかし、それには他の患者を転院させる必要があり、他の患者の手術日程にも影響を及ぼす(ために即時対応は無理!)であると、この問題の困難さを小池都知事自身も認めているのです。
小池都知事は、
「できるだけ早いうちにレベル2、3000床に上げていただくように、ベッドだけではなく人員の再編成等をお願いしたところでございます。」
(出典:東京都HP 「小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和2年7月10日)」)
──と説明しましたが、つまりは3,000床を確保する「レベル2」の準備は、物理的な空間や設備、そしてスタッフの確保も含めて、これからなのです。
以上のことから、『市中感染』により感染爆発が起きた場合、東京都では病床数が足りなくなるのは明白なのです。
東京は首都の機能を失う!?
安倍政権や東京都の認識は次なるものでしょう。
- 感染は増えてるが、重症化しにくい若者らが中心だから大丈夫だろう。
- 東京都の重症患者は6人だし、病床も足りているから大丈夫だろう。
- 感染は ”夜の街” に偏っているから大丈夫だろう。
しかし、実態は ”夜の街” ではなく東京都全体に『市中感染』が広がっており、ひとたび感染爆発が起きれば病床も足りなくなり、高齢者にも感染は広がってゆくのは必至です。
そんな中、安倍政権のコロナ担当の西村経済再生担当相と小池都知事は7月10日、「”夜の街” 対策の会合」を行ったというのです。彼らはこの期に及んでもこの程度のレベル。どうしても ”夜の街” を悪者にしたいのです。
このような事を繰り返す限り、いづれ東京は新型コロナにより首都の機能を失ってしまうのではないでしょうか?
この中で『GO TO キャンペーン』を行う愚!
さらに驚いたことに、安倍政権はこの最中に『GO TO キャンペーン』を進めようとしていることです。予算額1兆3500億円、そのうち事務委託費が2300億円とも言われる天下の愚策を、本当にやろうとしていることに恐怖すら覚えます。
インターネット上では「都民来ないでくれ」「地方民を殺す気か」といったように、医療体制がまるで違う地方に、都民が押し掛けることの恐怖を本気で訴える声が相次いでいます。
首都東京では『市中感染』が疑われ、九州地方を中心とした豪雨被害は現在も進行中です。そんな中でのキャンペーンなど、弱体化した日本にわざわざ塩を塗り付ける行為と言う他ありません。
キャンペーンの予算は、コロナ対策と豪雨被害の復興に充てるべきです。