Introduction:安倍首相の「休校要請」により学童保育は殺到した子供で ”すし詰め状態” になるでしょう。そもそも日本の子育て支援策は掛け声ばかりで、既に1万5000人以上の待機児童を生み出しているのです。
そんな中、河野太郎・防衛大臣は2月29日に興味深いツイートをしています。
河野防衛相は「全国190の基地、駐屯地などでは子供を連れて出勤できるよう、子供達の面倒を見るシステムがあります」とツイートしましたが、これは具体的には何を指すのでしょうか?
実は、自衛隊には至れり尽くせりの「保育園」があるということなのです。
24時間体制 至れり尽くせりの保育園
厚生労働省の発表によれば、2019年4月1日時点の待機児童は「1万6,772人」
これは前年同期より 3,123人 少なく、2年連続の減少となりましたが、依然として全国の待機児童は1万5000人レベルで推移していることが分かります。
つまり、待機児童は今も現在進行形の大きな社会問題として存在し、保育士の不足や、そもそもの施設の不足は全国共通の問題となっています。
そんな中での河野防衛相の発言です。
河野防衛相がツイートした「子供たちの面倒を見るシステム」とは、託児所(保育園)を指しています。
そして、この自衛隊の保育園がどのようなものであるかについては、2010年4月5日の神奈川新聞に興味深い記事が掲載されました。
海上自衛隊で初めてとなる託児所「田浦このはな保育園」の開所式が5日、横須賀市田浦港町の海上自衛隊第2術科学校で開かれた。
勤務時間が不規則になりがちな自衛隊員らのニーズに合わせ、24時間対応する。海自関係者は女性自衛官の拡大につながることを期待している。
田浦このはな保育園は、第2術科学校の厚生センター1階部分を改修し、総床面積約360平方メートル。保育室4部屋と事務所などがある。赤ちゃんがハイハイしやすいように畳部屋も備えた。
~2010.4.5 神奈川新聞「海上自衛隊で初めての託児所が開所、隊員らのニーズに合わせ24時間対応/横須賀」~
実は、自衛隊勤務の夫婦のため、国費を使った24時間受入れ態勢を完備する究極の保育園を、自衛隊は保有しているのです。これは女性自衛官の子育て支援の一環とされており、この施設は文字通り24時間体制で自衛隊員の子供を預かりますが、もちろん、自衛隊員しか利用することができません。
このような保育園は先の神奈川新聞の記事もあるように、最初となる施設が開園したのが2010年4月のことでした。それ以降、保育園の設置が進められ今では全国各地8箇所に24時間体制の保育園が整備されています。
(▼ 下図参照)
確かに、自衛隊にも多くの女性が志願してくる昨今です。当然、夫婦揃って自衛隊というケースも一頃と比べると珍しいものではないでしょう。
例えば、海上自衛隊では、夫の自衛官が長期にわたって赴任池へ派遣されることもしばしば起きます。そんな時、家庭を一手に任されるのが妻の自衛官ということになりますが、彼女も月に数回の当直の仕事をこなさなければなりません。これは子育て中の自衛官夫婦にとって、とても悩ましい問題です。
そんなとき、自衛隊の24時間体制の保育園は実にありがたい存在です。
この至れり尽くせりのの保育園は、防衛省の委託を受けた民間企業によって運営されています。
しかも、自衛隊の保育園は駐屯基地内に併設されているため、送り迎えに無駄な時間を取られることもないのです。
自衛隊の保育園に一般家庭はモヤモヤしてしまう?
上述したように、自衛隊の保育園は自衛官の子供のみを対象としており、私たち一般人は門前払いです。それでも、よく考えてみれば自衛隊の保育園であっても私たちの「税金」で施設されていることには変わりません。
特に、現在は待機児童問題が長期にわたって顕在化し、特に先般の安倍首相による「休校要請」により、学童保育所に限度を超した子供を押し込むなど、長期的・短期的にも日本の子育て環境は悪化の一途を辿っています。
そのような中での自衛隊の保育園はまるで別世界、選ばれし者のみ認められるまるで ”上級国民” 御用達のような施設に見えなくもない。
それでも、自衛隊は ”お国を守る大切な任務” があるのだから、一般人は我慢しろということでしょうか? このような身分による非対称性に、私たち一般庶民はなんだかモヤモヤしてしまうのです。
何も自衛隊の保育園をどうこうしろと言うつもりはありません。
せめて国は、一般庶民の待機児童問題にもっと真剣に取り組めと声高に言いたいのです。