Introduction:80年代の終り頃まで、すべての日本人には確固たる「共通認識」がありました。
それは「モノづくり・技術」は世界1位であること。アメリカに次ぐ世界2位の「経済大国」であること。そして、「医療技術・環境」も世界のトップランナーであること。
しかし、安倍首相が日本に君臨してからこの7年間で経済はどん底、モノづくりはアジアに持って行かれ、そして、医療現場において現在起こっているのは、PCR検査さえ満足に実施できていない悲壮な状況です。そんな日本を海外は疑問の眼で見ています。
つまり、安倍首相によって日本の誇る『Made in Japan』品質が見事に失墜させられたのです。それを教えてくれたのが今回の新型コロナウイルスだったとは、実に皮肉な限りです。
PCR検査では海外から厳しい視線
新型コロナについては、猫も杓子もPCR検査を受ければ良いというわけではありません。日本の全人口1億3千万全員にPCR検査を実施できれば日本の感染状況は一目瞭然となりますが、現実にそんなことは不可能なので統計学的に足り得る検査人数を満たせば、そこから全体の感染状況をある程度予測することが可能になります。にしても、日本のPCR検査はやはり足りていないというのは、多くの専門家の指摘するところです。
そんな中で、日本のPCR検査の少なさについては海外からも疑問の声が続出しています。
イギリス『ガーディアン -The Guardian -』
イギリスの『ガーディアン』紙は4月4日、安倍首相による緊急事態宣言の延長について報じ、その中でPCR検査の少なさにも触れ「日本は検査が少ないことを批判されており、このやり方は症状が軽い感染者の特定や追跡を困難にしている」と指摘しました。
◆ 出典記事 ◆
『Japan extends state of emergency amid fears over second wave』
~2020.04.04 The Guardian by Justin McCurry in Tokyo~
”Japan extends state of emergency amid fears over second wave”
The number of daily cases in Tokyo appears to have stabilised since a peak of 201 on 17 April. Japan, though, has been criticised for conducting a comparatively low number of Covid-19 tests – 1.3 per 1,000 people, compared with 12 in South Korea and 18 in the US, according to figures compiled by Our World in Data.
It has generally been testing only those showing consistent symptoms of the virus in an attempt to relieve pressure on hospitals, but that approach has made it more difficult to identify, trace and isolate people who may be asymptomatic or who are displaying only mild symptoms.
【翻訳】『日本は感染第二の波を懸念して非常事態宣言を延長』
東京での1日の感染者数は、4月17日の201人をピークに安定しているようだ。しかし、我々が世界各地から収集したデータによれば、新型コロナウイルス(Covid-19)検査の1,000人当たりの実施数が韓国では12人、米国では18人に対し、日本では1.3人といったように数が少ないことが批判されている。
病院への負担を軽減するために、明らかにウイルスによる発症を示す人だけを検査してきたが、この方法では、無症状の人や軽度の症状を示す人を特定し、追跡や隔離することがより困難になっている。
イギリス『BBC』
これも同じくイギリスですが、『BBC』の電子版が4月30日、『日本の検査数の少なさに疑問の声』と題した記事を掲載しました。慶應義塾大学病院で行われた検査結果による日本の感染者数は28~70万人に及ぶといった試算から、「日本は検査数を増やさなければ、パンデミックの終息は極めて困難」といった専門家の意見を紹介しています。
◆ 出典記事 ◆
『Coronavirus: Japan’s low testing rate raises questions』
~2020.04.30 BBC By Rupert Wingfield-HayesBBC News, Tokyo~
”Coronavirus: Japan’s low testing rate raises questions”
He points to a study done by Keio University in Tokyo.
Last week, the University hospital published a study of Covid tests done on patients admitted for non-Covid related illnesses and procedures. It found that around 6% of them tested positive for Covid-19.
It is a small sample and not “generalisable”. But Professor Shibuya still describes it as “very shocking”.
“We are definitely missing a lot of asymptomatic and mildly symptomatic cases,” he says. “There is clearly widespread community transmission. I am very worried by this situation.”
How many? He is not sure. But based on the Keio results he thinks it could be from 20 to 50 times the official figure. That would mean between 280 and 700 thousand people might be infected in Japan.
Without more testing it is impossible to know. But anecdotal evidence supports the idea that infections are far wider than reported.
Professor Shibuya says it is imperative that Japan now abandon its current strategy and increase testing.
“Without much wider testing,” he says, “it will be very hard to end this pandemic.”
【翻訳】コロナウイルス『日本の検査数の少なさに疑問の声』
彼は東京の慶応義塾大学が行った研究を指摘している。
先週、同大学病院は、コロナ関連以外の病気や処置で入院した患者を対象に行った、コロナ検査の研究結果を発表した。それによると、約6%の患者が新型コロナウイルスに陽性反応を示したという。
これはサンプルが少なく「一般化」はできない。しかし、渋谷教授は「非常に衝撃的な結果」と評している。
「無症状で軽度の症例を多く見逃しているのは間違いありません」と渋谷教授は言う。「明らかにコミュニティでの感染が蔓延しています。私はこの状況を非常に心配している」と述べている。
それは何人になるのか? 彼は分からないと言う。しかし、慶應の結果から公式の数字の20倍から50倍になるかもしれないと彼は考えている。つまり、日本では28万から70万人が感染している可能性があるということだ。
より多くの検査をしなければ、それを知ることは不可能である。しかし、報告されているよりも遥かに広範囲に感染が広がっているという考えは、事例証拠によっても裏付けられている。
渋谷教授は、日本は現在の戦略を捨てて検査を増やすことが急務だと言う。
「より広範な検査を行わなければ、このパンデミックを終わらせるのは非常に難しいだろう」と渋谷教授は言う。
韓国『ハンギョレ新聞 -HANKYOREH』
韓国『ハンギョレ新聞』による5月1日の社説はかなり強烈なものでした。
「今まで散々韓国をこき下ろしていた安倍首相が、今ごろになって協力かよ!」といった韓国人の怒りを代弁するかのような、いかにも ”らしい” 論調ではあります。
社説の一部抜粋を以下に記載します。
日本の安倍晋三首相が先月29日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態以後、初めて「韓国との協力」に言及した。参議院予算委員会で立憲民主党の白眞勲議員の質問に「韓国と引き続き新型コロナウイルス感染症対応において協力したい」、「韓国は隣国で重要な国」と返答した。
安倍政権はこれまで韓国のCOVDI-19防疫の成功を無視し、韓国をこき下ろすことに汲々としていた。日本の政府とメディアは、事態の初期に自国の対応を自画自賛し、韓国が「医療崩壊」状況に陥ったと主張した。
安倍首相の態度は臆面がないものではあるが、両国共に過ぎたことにとらわれている時ではない。COVID-19対応に失敗して国民を苦痛に陥れた安倍政権は、今からでも隣国の成果を謙虚に認めて助けを要請する勇気を示さなければならない。韓国政府も日本政府が公式に要請してくれば、COVID-19根絶のための国際協力レベルでの支援を惜しんではならない。
2020年5月1日 HANKYOREH(ハンギョレ新聞)【社説】『安倍首相、今になって「韓国と新型コロナ対応で協力」言及』
コロナの陽性率すら把握できない日本
新型コロナウイルスが世界的に蔓延する中で、日本に寄せられた海外からの手厳しい指摘は、まさに『Made in Japan』の終焉を示すのに十分です。そして、これに止めを刺すかのように報道されたのが、5月6日の毎日新聞の一面記事『政府、陽性率把握できず』です。
◆ 出典記事 ◆
『新型コロナ 政府、PCR検査陽性率把握できず 全国集計基準なし』
~2020.05.06 毎日新聞~
この記事では、新型コロナウイルスのPCR検査について、新規の検査人数に対する陽性者の割合(陽性率)を、政府が正確に把握できていないことを伝えています。
これは実に情けない話です。
「陽性率」とは何のことはない、小学校の分数レベルの話で、要するに「陽性者」を「検査人数」で割った結果のこと。たったそれだけです。
下の例では陽性率は「10%」となります。
10人(陽性者の数)÷ 100人(検査人数)= 0.1(⇒ 10%) |
陽性率を正確に把握できない理由として、政府はいくつかの理由を挙げています。
【理由1】タイムラグの問題
検体を採取する機関が多数あり、検査結果が判明する日にもバラバラになるため、陽性率算出のための分母(検査人数)と分子(陽性者)を把握できない(そういう仕組みがない)
【理由2】集計の問題
コロナに感染した人は、退院時の確認で同じ人が複数回検査を受けるため、「件数」と「人数」が一致しない。
【理由3】報告の問題
厚労省が求めているにも関わらず、12の都県が検査結果の報告に応じていない。
以上のように、理由としては大まかに3つほどあるのが分かりましたが、そもそもこれらは ”理由と呼べるもの” なのでしょうか?
見る限りどれもこれもが単に ”決め” の問題であるように思われ、民間企業で言えば新人に整理させる程度のレベル感でしかありません。
それにしても日本も墜ちたものです。
この程度のレベルで頓挫しているということは、もしかしたら ”安倍首相が理解できるレベル” に合わせているからでしょうか?
もはや『Made in Japan』の品質など、遥か遠くの思い出話のようです。
日本において早期のコロナ終息など到底無理であることが、この現実からも伺えます。