Introduction:世間はコロナ!コロナ!の一色ですが、実は、このような時が一番危ない!
それはコロナウイルスの恐怖はもとより、政府というものは緊急事態のウラに隠れて必ず悪事を働くからです。
例えば、年金問題、さらには検察庁法問題など、これはある種の ”ショック・ドクトリン” です。安倍政権は、国民にはなるべくお金は与えず、政治家の犯罪から逃げ回ろうとしているように見える。
考えてもみれば、安倍首相と宴会を繰り返すメディアがコロナ一色になるということは、政府の悪事をカムフラージュする役割を担っていることになるわけです。
「ショック・ドクトリン」とは何か?
その名も『ショック・ドクトリン』を著したカナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインは、大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革、すなわち ”惨事便乗型資本主義” をショック・ドクトリンであると定義しました。
グローバル企業の発祥地とも言えるアメリカでは、テロや戦争、ハリケーンのような政変、自然災害につけ込み、あるいは意識的に引き起こすことで人々に動揺を与え、その間隙を突いて不可能とも思われた過激な市場主義経済を実現させてしまいました。
同じようなことは、どの国でも国民が気がつかないうちに進行しています。
これは日本も例外ではありません。現在は言うまでもなくコロナウイルスの世界的な蔓延の渦中にあるわけですから、日本のメディアもコロナ一色となっています。そして、そのような大惨事につけ込んで過激な法律をつくろうと安倍政権は画策しています。もちろん、これも ”ショック・ドクトリン” です。
私たちの「年金」が危ない!
私たちの年金はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)で管理・運用されています。積立金はGPIFに集められ、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式へ分散投資することで運用されています。
これらの資産構成割合(基本ポートフォリオ)については、GPIFのWebサイトで見ることができます。(▼ 下図)
この基本ートフォリオを見ると、国内外の債券、証券のどれもが25%に ”綺麗に” 振り分けれれている ≒ 安定した運用がなされているとの印象を受けますが、どうもこれが怪しい。
厚生労働省のWebサイトに2019年度までの基本ポートフォリオが残っていましたので(▲ 上図)、これと比較すると一目瞭然。
2019年までは国内向けの投資先比率は「60%」、外国向けの投資先比率は「40%」であったことが分かります。
つまり、2020年度(2020年4月)から外国向け投資先比率が、一気に「40%」⇒「50%」へと増額されているのです。
このことに関しては、4月1日の日本経済新聞に興味深い記事が掲載されています。
◆ 出典記事 ◆
『GPIF投資責任者に植田氏 米ゴールドマン出身』
~2020.04.01 日本経済新聞~
日経の記事に目を通すと、今年の4月から最高投資責任者(CIO)として植田栄治(うえだ えいじ)氏が新任されたことが分かります。
この植田氏、東京大学工学部を卒業後に入社したのが米ゴールドマン・サックス社(東京支店)以降、金融世界で活躍しゴールドマンの取締役を退任したのが2019年の12月。そして植田氏のGPIFのCIO就任に歩調を合わせるかのように、外国向け投資先比率が一気に増額。日本の資産がアメリカに還流するのでは、といった危機感を覚えずにはいられません。
──これは一体何を意味しているのでしょう?
年金の受給開始年齢が75歳になる!?
さらに年金については、極めて重要な改正案が今国会で審議されようとしています。つまり、年金受け取りを75歳まで繰り下げ可能にする「年金改革関連法案」が、4月14日の衆院本会議で審議入りすることになったのです。
この法案については、若干誤解されている方もおります。
正確には、現在の年金は65歳の支給を基本とし、支給開始を60歳~70歳まで選べるところを、75歳まで上限を引き上げようというのが、今回の改正案です。
この改正案が成立すれば、75歳で受け取った場合、65歳で受け取った場合と比べ、年金は月額で84%増えるというのが厚労省の謳い文句になっています。
しかし、別の試算では86歳以上生きれば75歳から受給した人が得をし、それ以前に亡くなれば65歳から受給した人が得をする、といった結果も出ています。
それはともかくとしても、コロナ・クライシスという緊急事態の中で、なぜ審議を先送りし、国会対応のための厚労省職員をコロナ対策に振り向けようとしないのでしょうか? 極めて不可解な年金改正法案です。
今回の年金改革関連は75歳というキーワードもあって、もちろん評判はよろしくない。しかしそれ以上に、国民の知らないところでGPIFの投資先比率が大きく変更され、米国金融資本出身の人間が要職に就いている。
これらの線を結んでいけば、まさにショック・ドクトリンの雰囲気が否が応でも漂ってきます。
「検事長定年延長問題」検察庁法も改悪される!
安倍政権は1月末に東京高検検事長、黒川弘務氏の定年を延長する閣議決定をしました。これについて安倍首相は、検察官の定年延長は従来から認められていないにも関わらず、解釈を変えることにしたと言い出し、閣議決定を正当化したわけです。
この政権による法の解釈変更は野党の猛反発を呼びましたが、検察官の定年規定を定める検察庁法の改正案については、既に3月に国会に提出されており、4月16日の衆院本会議で審議入りすることになっています。
改正案に2つのポイントがあります。
一つ目は、検察官の定年を国家公務員の定年延長に合わせ、63歳から65歳に段階的に引き上げること。
問題なのは二つ目で、63歳以上は「高検検事長」や「地検検事正」といった要職に就任できないと規定しつつも、政府が認めれば就任できるといった規定が盛り込まれていることです。
要するに、政府が認めさえすれば、誰でも定年を延長して検察官の要職に就くことができるのです。
まさに安倍政権のためだけに改正されるのですが、なぜこのような改正案を政権が必要としているのかについては、政権に都合の良い検察官をトップに据え置きたいからに他ならず、検察に追及されたくない案件を抱えていることを自ら白状したようなものです。
しかし、世間は新型コロナウイルスで一色となり、これを問題視する気配は雲散霧消してしまいました。その意味で検察庁法の ”改悪” は安倍政権による ”ショック・ドクトリン” と見なすことができるのです。