白坂和哉デイウォッチ

週刊金曜日『まるごと山本太郎』~デフレは終わらない!?

Introduction:一人の政治家として、「消費税廃止!」をこれほどまでに真正面から訴えた者が他に存在していたでしょうか?

山本太郎の訴えは市井の人々を開眼させるに十分でした。さらには、彼が主張する政策を進めてゆけば、20年以上に及ぶ ”デフレ・スパイラル” から日本は抜け出せるに違いない。私たちの暮らしはもっと良くなるに違いない。誰もがそう思えた瞬間です。

しかし現実はどうでしょう?
現在の安倍政権は「本当に」デフレから脱却する気があるのでしょうか?

安倍首相による日本の運営手法は極めて悪意に満ちていると感じます。
安倍首相の本音は日本を良くしたいのではなく、日本を ”統制” したいのではないでしょうか?

『週刊金曜日 2019.11.28 臨時増刊号 まるごと山本太郎 れいわ新選組』は、そのタイトルが示すように、山本太郎を ”丸裸” にしています。
この臨時増刊号はとても内容が充実しているため全てを紹介することはできませんが、今回はそのエッセンスの一部に触れてみたいと思います。
今回はデフレにまつわる話です。

デフレであることが日本を統制しやすくする

《20年以上に及ぶデフレは、世界では、日本しかございません。どの国も成長していて、どの国もインフレ、緩やかなインフレ。日本は病気なんですよ。瀕死の状態です。この状態を救うためには、当然、これまで怠ってきた投資を、国が大胆にするしかない。》

そのようなデフレ・スパイラルから脱却するための第一歩として、山本太郎は消費税の廃止をこれまで散々主張してきたわけです。

経済とは人の購買心理に追う面が大きいので、彼が言うように消費税を廃止した時点で消費が活発になり、物が売れ、内部保留をし続けてきた企業の投資意欲も加速するであろうことが十分に期待できます。
現在の日本のおいては消費と投資が盛り上がらなければ、景気など良くなるはずがないからです。

それにしても、デフレが20年以上も続くというのはあまりに特異な現象です。これまで政府が行ってきた施策は ”アベノミクス” といった2%程度のデフレ基調を目指すインフレターゲットですが、これも既に吹き飛んでいるのは誰の目にも明らかです。それ以降、安倍政権は有効な手立てを打ち出せていません。

安倍首相は何に気がついたのか?

これはあくまで筆者の憶測に過ぎませんが、安倍政権は「あること」に気がついてしまったのではないでしょうか?――それは、デフレ基調であることが日本を ”統制” するために最も都合の良い状態であるということです。

日本は紛れもない重税国家です。
それなのに、税金については誰も大っぴらには文句を言いません。
消費税を増税しても、暴動はおろか、大規模デモすら起きません。

また、サラリーマンなどの場合は、税金が予め給与天引きされてしまうので、重税という現実が上手いことオブラートに包まれていますし、年末調整などで税金が還付されると、むしろ得をした気分にすらなってしまいます。

仮に、消費税反対の大規模デモが起こったとしても、メディアが報道しなければそれは「無かったこと」も同然となる。

そして、そのメディアについても――山本太郎もメディアについては警鐘を鳴らしていますが――誰のためにあるのかと言えば、決して視聴者のためではありません。
タダで情報が垂れ流されるこの媒体は、企業が宣伝をするための箱でしかないわけです。

国民を黙らせるにはメディアを統制し、余計な情報を与えなければそれで事足りる。政権はそのように思っているのではないでしょうか?

日本国民を ”生かさず殺さず” 統制する

安倍首相は次のように思っているのかもしれません。
――デフレ・スパイラルから抜け出し、景気を回復させ、国民を元気にさせてしまうと何を主張してくるか分かったものではない。であるならば、このままデフレ基調を継続させ、国民を ”生かさず殺さず” しておいた方が ”統制” する側としては都合がよい。

その証拠に、森友学園疑惑、加計学園疑惑、そして桜を見る会疑惑といった政権が一夜にして吹き飛ぶような疑惑が立て続けに起こったにも関わらず、安倍政権は詭弁を弄しながら、こうして今も延命を図っています。

ただでさえおとなしく、しかも弱った国民が何の文句も言わず、行動も起こさずにいるので、安倍政権はとても安泰。統制する側としては、現在の日本は実に都合の良い状態であるのがお分かりでしょう。


よって、政府と結託している経団連に象徴される日本の大手企業が、内部保留を貯めるだけ貯めて、決して社員に還元したり投資に回さないのも、実は政府からの要請に応えてるためではないかと、筆者などは勘ぐってしまうわけなのです。

以上の点については筆者の予想の域を出ませんが、今回の『週刊金曜日 増刊号 まるごと山本太郎』に目を通したことにより、安倍首相による日本の運営手法は極めて悪意に満ちていると痛切に感じ、そして、日本を自身の ”統制下におく” という、安倍首相の本音が透けて見える思いがしました。

※画像は 『週刊金曜日 2019.11.28 臨時増刊号 まるごと山本太郎 れいわ新選組』 より

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