白坂和哉デイウォッチ

天皇皇后両陛下 本宮市ご訪問 取材日記

Introduction:12月26日、空の彼方からヘリコプターで舞い降りたお二人は、紛れもなく天皇皇后両陛下でした。両陛下が降り立ったのは福島県本宮市です。

冷たい雨の降る夕暮れ時のご訪問。当日は宮城県丸森町も合わせて訪問されるなど、駆け足の日程となりました。

これは、即位の行事が続きスケジュール確保が難しい中、なんとか被災地に足を運びたいとする両陛下の熱い想いの表れです。

今回は、天皇皇后両陛下ご訪問の舞台裏を覗いてみましょう。

両陛下の熱い想いが訪問を後押しした

天皇皇后両陛下が搭乗された陸上自衛隊のヘリコプター。本宮第一中学校の校庭に着陸した。
(撮影:白坂和哉)

天皇皇后両陛下は26日、次のような極めてタイトなスケジュールで福島県本宮市、そして本宮市の前には宮城県丸森町を訪れました。

台風19号は10月12日に上陸しましたが、本宮市では夕方頃から安達太良川の水位が急激に上がり、阿武隈川との合流地点から約500m上流で堤防が決壊。川の北側の市街地に濁流が一気に流れ込みました。

また、阿武隈川では13日の午前0時時点で氾濫危険水位を超え、午前1時頃に水があふれ、JR本宮駅前周辺の商業街や住宅区域に濁流が流れ込みました。

福島県では、台風19号と10月25日の大雨により33人もの方が亡くなり、全都道府県の中で最多となっています。そして、その福島県の中でも、最も多い7名の死者を出したのが本宮市なのです。

このように全国的な台風、水害被害が広がる中、両陛下は10月22日に予定されていた即位の祝賀パレードを11月10日に延期することを決意。それでも即位行事が続く中で、被災地に駆けつけられないも ”どかしさ” を抱えられていたようです。

そのような熱い想いがあり、今回のスケジュールの合間を縫うような被災地ご訪問になったと推察されます。

両陛下が搭乗されるヘリコプターは、本機と予備機の2機構成である。ちなみに26日当日は午前中、本宮市地元の消防が砂ぼこり防止のために校庭の水撒き作業を行った。しかし、午後3時過ぎに冷たい雨が降り始めた。
(撮影:白坂和哉)

搭乗用ヘリコプターは2機編成

ちなみに、両陛下は陸上自衛隊のヘリコプターで到着されましたが、実は搭乗用ヘリは全く同じ仕様のものがさらに1機用意されておりました。これは、不測の事態でヘリが使えなくなった場合、もう1機を予備機として使用するためです。

アメリカ大統領が「エアフォース1」で海外に向かう時、全く同じ仕様の「エアフォース1」が予備機として用意されていますし、日本の安倍首相が外遊する際も政府専用機の予備機も共に同行しているわけです。当然のことながら、両陛下に対しても同じ措置が取られています。

冷たい雨の中のご訪問

26日、夕方4時15分頃。両陛下を乗せた車両は本宮第一中学校の校門を出て、視察先へ向かった。
(撮影:白坂和哉)

26日当日、両陛下の本宮市訪問は次のようなスケジュールでした。視察先へ向かう幹線道路では、多くの市民が両陛下の車両を出迎えました。

「本宮第一中学校」⇒「みずいろ公園」⇒「えぽか(本宮市民 元気いきいき応援プラザ)」⇒「本宮第一中学校」

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 『天皇皇后両陛下 福島県本宮市をご訪問 12月26日』

車両の窓から手を振られる皇后雅子さま
(撮影:白坂和哉)

フラッシュ撮影は厳禁です

ちなみに、両陛下のような高貴な方を沿道から撮影する場合、カメラのフラッシュは固く禁じられています(報道関係者も同様です)
両陛下の車両には先導として白バイや警察車両が連ねていますが、フラッシュによる事故を防止するためです。

当日は雨降りの夕方だったこともあり、困難な撮影となりました。

えぽか(本宮市民 元気いきいき応援プラザ)近くの交差点付近の模様。この後、両陛下は本宮第一中学校に戻り、陸上自衛隊のヘリコプターで福島空港へと帰路に向かわれた。
(動画撮影:白坂和哉)

本宮市の現在について

本宮市では阿武隈川の氾濫、そして支流の安達太良川の堤防決壊により、駅前市街地を中心に約1400棟が浸水し、7名が死亡しました。

このニュースサイトでは、10月17日に台風・水害被害後の本宮市を現地レポートしましたが、現在の市内の様子はどうなっているでしょうか? いくつかのスポットを紹介します。

JR本宮駅

JR本宮駅。現在は工事中でもあり、駅建物はコンパクトなプレハブ造りになっている。
(撮影:白坂和哉)

うなぎ屋さん

駅前にあるうなぎ屋さんの様子。現在は綺麗に復旧されているのが分かる。
下の画像は10月17日時点での同じ店の様子。

(撮影:白坂和哉)

空き地になってしまったエリア

駅前には台風・水害被害後、空き地となったエリアが存在する。
(撮影:白坂和哉)

阿武隈川

阿武隈川では、護岸工事が現在も進行中であった。
(撮影:白坂和哉)
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