Introduction:政府は本日25日、緊急事態宣言の全面解除を発信します。4月7日から始まった緊急事態宣言は、約1カ月半ぶりに終了することになりますが、これは ”ささやかなティータイム” かもしれません。
というのも、新型コロナ禍は今後2年間も継続し、しかも、秋から冬にかけてさらに大きな「第2波」がやってくるかもしれないからです。
日本は海外に比べ、幸いにしてコロナの被害が少なかったかもしれませんが、やってくるであろう「第2波」で最も甚大な被害を被るのは、他ならぬ日本かもしれません。
「第2波」の到来は、もはや常識!
北海道や神奈川では新規感染者数が基準を上回っているものの、感染理由をある程度特定できるという理由で、そして、東京・千葉・埼玉では直近1週間の新規感染者が解除基準を満たしたという理由で、政府は新型コロナウイルスの拡大に伴う緊急事態宣言を、25日に全面解除する方針を決定しました。
その一方で、巷では感染「第2波」がやってくるのではないかと噂されていますが、その懸念は全く正しいものと言えるかもしれません。というのも、ウイルス感染症の専門家の間では、「第2波」が確実にやってくることが半ば常識になっているからです。
ミネソタ大学感染症研究政策センター(CIDRAP)は4月末、新型コロナウイルスに関する視点(Viewpoint)を記載した報告書を公表。新型コロナは無症状でも感染力があることから、これまでの歴史の中でパンデミックとなった他のインフルエンザ比べ、制御困難となる可能性があることを指摘しています。
さらには、世界の人口の3分の2が免疫を獲得するまで制御できないだろうとして、新型コロナウイルスの世界的流行は今後も最長で2年間は続く可能性を示唆しています。
研究政策センターの Viewpoint では、今後1~2年の大規模なウイルス拡散に対して、備えを怠ってはならないと警告しています。
今後、起こるだろう「3つのシナリオ」
ミネソタ大学の研究チームは、パンデミックはあくまで序章に過ぎず新型コロナウイルスの長期化は必至と見て、今後起こり得るだろう「3つのシナリオ」を私たちに提示しています。
第1のシナリオ
「第1のシナリオ」では、現在の「第1波」の後に小さな波が連続してやってくるというものです。これらは地理的に異なる様相を見せる可能性があるものの、その後の1~2年間は波の発生が繰り返され、2021年のある時点から終息の方向へと向かうものと思われます。
第2のシナリオ
今回、問題としているのが「第2のシナリオ」です。これまでにパンデミックを起こした「スペイン風邪」や「アジア風邪」の経緯から導き出したシナリオです。
このシナリオでは、今年2020年の秋から冬にかけて第1波を上回る「第2波」が発生し、世界に襲い掛かります。そして、2021年以降は少なくとも1つ以上の小さな波が発生します。
1918年に発生した「スペイン風邪」が、上記のような挙動を示したことで知られています。スペイン風邪のパンデミックの間、最初の小さな波は1918年3月に発生し、夏に一旦収まりました。その後、遥かに大きな「第2波」が1918年の秋に発生、さらに1919年の春に発生した第3波は夏まで継続しています。
1957年に発生した「アジア風邪」も同様の傾向を示しました。
1957年の春に最初の第1波が襲った後に、さらに大きな第2波が秋に発生しています。
第3のシナリオ
現在の第1波は夏にかけて収束した後、その後は明確で大きな波は起きることなく、地域によって感染拡大と終息を繰り返しつつ、じわりじわりと流行が継続するのが「第3のシナリオ」となります。
このシナリオにおいては明確な波動パターンは確認されず、地理的な影響や、各地域での対応策にも影響を受けることになります。このシナリオでは感染事例や死亡者は増えるものの、新たな対策の導入はさして必要はないと考えられています。
給付金10万円は1回のみで良いのか?
日本は偶然?にも、新型コロナは収束の傾向に向かいつつあると思われ、冒頭で触れたように緊急事態宣言も解除される見通しが立っています。
しかし、世界に眼を転じてみれば5月25日現在、感染者は540万超、死亡者は34万5千人を超えています。また、日々の感染者数は世界レベルでは減少には至っておらず、当面は極めて厳しい状況が継続するものと思われます(上記画像)
そのような中、上述した通り今後は秋から冬にかけて新型コロナの「第2波」が襲ってくる可能性は高いと言えます。そして、日本はそれに対する備えが十分かと言えば、甚だ心許ない。
「第2波」が襲った場合の経済的、そして何より国民の心理的影響は甚大なものになると考えられます。日本では給付金10万円が決定されて以降、追加支給の議論は全くなされていませんが、果たしてこのままで良いのでしょうか?
ただでさえ対応が遅い安倍政権です。次なる支給についての議論(それは10万円に留まらない、もっと多くの支給が望まれますが)を、今から進めるべきではないでしょうか?