Introduction: 東京大学先端科学技術研究センター特任助教でロシアの軍事・安全保障政策を専門とする軍事アナリストの小泉悠(こいずみ ゆう)氏は、 5月22日のTBSラジオ『荻上チキ Session-22』の番組最後に興味深い発言をしました。ちなみに、彼の職場は目黒区駒場の「東大駒場リサーチキャパス」内にあるそうです。
「上空で凄い音がしてるなと思ったら、ヘリコプターが4機編隊で飛んできまして、トランプさんが今度来るので予行演習をやっていたようなんですね。おそらく、横田基地から都内の米軍ヘリポートに降りる際、ちょうどアプローチの真下に東大があったようで・・・、ストライプが入っていたので、これは(大統領の)専用機だとすぐに分かりました」
この深夜12時近くに放たれた小泉氏の言葉は、今回のトランプ大統領の来日がどのようなものであるかを如実に示しています。
朝日は、リハーサルするヘリを写真入りで掲載
隊列を組んでいたヘリは、正確には5機だったのかもしれませんが、それは本質的な問題ではありません。
何気なく発したかもしれない小泉氏の言葉でしたが、翌日23日、朝日新聞が早速、しかも写真入りで反応しています。
22日、東京・六本木の米軍基地「赤坂プレスセンター」にあるヘリポートに、米軍のヘリコプター5機が離着陸した。25日のトランプ米大統領来日に備えたリハーサルとみられる。
2018年5月23日 朝日新聞DIGITAL https://bit.ly/30CENk6
ヘリポートには午後1時10分ごろから約25分間、トランプ氏が乗るとみられるヘリなど5機が離着陸した。
小泉氏の発言と朝日新聞の記事によって、筆者は今度のトランプ大統領来日はまたもや「米軍横田基地」に到着するのだろうと確信しました。
もしこの予想が的中したら、それは由々しき事態です。なぜなら、軍事基地である横田に降り立つようなアメリカ大統領が、このたび即位された「徳仁今上天皇」に謁見するのですから。これは極めて無礼千万な話です。
しかし、翌日の朝日新聞と東京新聞が報道しています。トランプ大統領は25日の午後、羽田空港に到着すると。筆者の予想は見事に外れましたが、これでよかったものと安堵しております。
観光旅行を楽しむトランプ大統領
ここで、今回のトランプ大統領来日に際しての日程を見てみましょう。
25日(土) | 午後 | トランプ大統領 羽田空港に到着 |
26日(日) | 午前 | 安倍首相とゴルフ(千葉県茂原市 茂原カントリークラブ) |
午後 | 東京 両国国技館で大相撲夏場所千秋楽を観戦 | |
27日(月) | 午前 | 皇居にて天皇、皇后両陛下に謁見。 |
東京 赤坂迎賓館にて日米首脳会談 | ||
午後 | 拉致被害者家族と面会 | |
共同記者会見 | ||
宮中晩餐会 | ||
28日(火) | 午前 | 海上自衛隊横須賀基地にて護衛艦「かが」に乗艦 |
午後 | トランプ大統領 離日 |
今回のトランプ大統領来日について、何が驚きかと言えば「共同声明」を出さないという点に尽きます。 国賓のアメリカ大統領と迎賓館で首脳会談をしておきながら、 共同声明一つ出さないというのは前代未聞も甚だしく、これでは一体何のための来日か?と言うことになります。
そのなことでは、上記に示した日程は ”トランプの観光旅行” に限りなく近づいてしまいます。
都内は大統領訪問に備え厳戒態勢を敷いていますし、トランプ大統領を各地で接待し、食事で ”おもてなし” もしますし、それらの法外なコストは我々の税金から捻出しているのですが、まるでトランプ大統領の ”観光旅行” にくれてやるようなものです。
日本とアメリカはご存知のように、日米貿易交渉を抱えている最中にありますが、どうやら安倍首相はトランプ大統領と密約を交わしたようです。
「参院選があるから、合意するのは待ってくれ」(つまりは、「国賓で来日する時は貿易交渉の件は封印して」くれと言う意味)
「その代わり、大統領選まではどうにかする」と、安倍首相はトランプ大統領に泣きついた模様です。
今回のトランプ来日では貿易交渉には触れず、大統領の接待に邁進する。そして、参院選を勝ち抜き、アメリカの大統領選の時には ”みやげ代わり” として、トランプに貿易交渉で全面譲歩してしまう。
「外交の安倍」どころか、日本の国益をアメリカに還流させるだけの不毛な外交でしかありません。安倍首相の外交は ”やってる感” しかありません。日本の体力が安倍首相によって日々削ぎ落されています。
5/27 追記 トランプ氏への厚遇ぶり報道=「ほぼ観光客」
米メディアは26日、国賓として来日したトランプ大統領に対する日本側の厚遇ぶりを大きく取り上げた。
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、大統領がゴルフ場で安倍晋三首相と自撮り写真に納まり、東京・六本木の炉端焼き店での夕食会では和牛ステーキを楽しんだことなどを紹介。「大統領はほぼ観光客として1日を過ごした」と皮肉った。
2019年5月27日 時事通信社