Introduction:『私や妻が関係しているということになれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきり申し上げておきたい。』
痛いところを突かれるとすぐにムキになってしまう安倍首相。感情の抑えが効かない残念なタイプの人間の典型ですが、「森友疑惑」は2017年2月17日に安倍首相が発したこの言葉がターニングポイントになったのは明白で、相澤冬樹氏も同様の指摘をしています。
そう、相澤氏の手による『週刊文春 』(3月26日号)はあまりに衝撃的です。ここには森友疑惑によって自殺に追い込まれた近畿財務局職員・赤木俊夫氏が書き残した手記(遺書)が全文公開されています。
それでも「官僚が勝手に忖度しただけだから、私は知らない」と、安倍首相はなおも逃げ続けるつもりでしょうか?
何が赤木俊夫氏を自殺に追い込んだ?
4.決裁文書の修正(差し替え)
本年3月2日の朝日新聞の報道、その後本日(3月7日現在)国会を空転させている決裁文書の調書の差し替えは事実です。
元は、すべて、佐川理財局長の指示です。
局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。
佐川理財局長の指示を受けた、財務本省理財局幹部、杉田補佐が過剰に修正箇所を決め、杉田氏の修正した文書を近畿局で差し替えました。
その量、A4サイズで7枚に及ぶ近畿財務局職員・赤木俊夫氏(享年54歳)の手記は極めて細密に書かれており、十分な説得力を持って私たちに訴えかけてきます。
冒頭に紹介した2017年2月17日に安倍首相の「私や妻が関係しているということになれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞める・・・」が思わず口をついて出ると見るや、その9日後の2月26日、一回目の公文書改ざんが始まりました。
財務省は、鑑定価格9億円余の土地を8億以上も値引きして森友学園へ売却したのですが、この土地に建設予定であった小学校の名誉校長が昭恵夫人でした。そして、300箇所以上とも言われる昭恵夫人が関与した記述の改ざんが行われたのです。
ちなみに、この首相夫人は、経産省職員や外務省職員からなる5人もの秘書を従え、安倍首相の周辺を常にチョロチョロと動き回っていますが日本の国益には1ミリも寄与することなく、森友疑惑においても民間学校法人の利権構造にどっぷり浸かるなど、日本にとって文字通りの ”禄でもない” 存在です。
自身の職責に真摯に向き合っていたからでしょう、公文書の改ざんについて赤木氏は相当抵抗した模様です。時には二人の若い部下と共に涙を流してまで改ざんに抵抗したと言います。赤木氏は部下にはこんなことはやらせられない考え、改ざんの大部分を一人で行いました(正確には ”行うことを強制された”)
続く3月7日に行われた公文書改ざんは、次のような流れで行われました。
頂点で指示を出していたのは、もちろん佐川宣寿・財務省理財局長です。
『現場の赤木氏は公文書改ざんに抵抗』
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上司である近畿財務局・楠敏志 管財部長もこれに同意
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財務省理財局・中村稔 総務課長から改ざん遂行の圧力
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近畿財務局トップ・美並義人 局長が改ざん実行を決定
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財務省理財局・ 杉田補佐が修正箇所を支持
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財務省管財部・小西次長らと共に赤木氏は文書改ざんに着手
つまり森友疑惑における公文書改ざん事件は、当時の佐川宣寿・財務省理財局長が改ざんを指示。途中様々なキーパーソン(共犯者)を介在させながら、赤木氏のような現場職員に改ざんを強要し、そしてこの末端の職員に ”しっぽを切る” ようにして最後は罪をなすりつけようとしていました。
このことについては、実は検察も同罪です。なぜなら、赤木氏は2017年11月と12月の二度にわたって検察の事情徴収を受けており、大阪地検特捜部はこの事実関係をすべて把握していたからです(検察が事情を詳しく知りながら事態を放置してきたことは極めて遺憾であり、今後厳しき追及されるべきです)
実はこの時、赤木氏は改ざん行為が原因で心身にダメージを受け、精神科で「うつ病」と診断されたことで病気休暇に入っていました。この時の心境を、赤木氏は次のように語っています。
検察は恐ろしいところや。何を言っても思い通りの供述をとる。検察はもう近畿財務局が主導して改ざんしたという絵を描いている。そのストーリーから逃れなれない。ぼくが何を言っても無理や。本省の指示なのに最終的には自分のせいにされる。ぼくは犯罪者や。
そのような無責任で恐ろしい財務省の組織構造がはっきりと見えてしまったからこそ、赤木氏は自ら命を絶ったのだと思われます。
人間のコンプレックスが生み出した事件
人間は誰しも「弱み」や「恨み」、そして「コンプレックス」を抱えて生きています。かくいう安倍首相夫妻もそのような人間の典型として位置づけられますし、安倍首相のインナーサークルもそのような人間たちで構成されているのは、安倍首相を語る上で大きな特徴と言えるでしょう。
安倍首相は首相官邸主導のいわば独裁体制を敷いていますが、ここで暗躍している ”官邸官僚” もまた 何らかの ”ルサンチマン” (強者に対して仕返しを欲する鬱血とした弱者の心)を抱えています。
彼らは皆一様に優秀ですし実行力も備わっているのですが、出世コースから外されたり左遷させられたりと、一度はメインストリームから弾かれた経験を持ち、安倍首相のインナーサークルに拾われることによって息を吹き返した者たちです。
今回の赤木俊夫氏による手記(遺書)で分かったことは、ここでも人間の「弱み」「恨み」「コンプレックス」が関係者をあらぬ方向へと導く原動力となっていること。
例えば、安倍首相。
東大・京大をはじめとする一流大学出身者がひしめく政財界の中で、成蹊学園というエスカレータ式の教育環境で大学まで進んだことに、安倍首相は強烈な学歴コンプレックスを持っており、それが海外留学の学歴詐称にも繋がりました。また、法学部出身でありながら法律関係の知識に暗く、金融や経済についてはまるで理解できないことも彼のコンプレックスを醸成させています。
昭恵夫人も同様です。
彼女も小学校から高校まで聖心女子学院で学びましたが、勉強のできなかった彼女は聖心女子大学にエスカレータ式に進学することができず、聖心女子専門学校に進学しています。ただ、その後は第一次安倍内閣崩壊をきっかけに一発奮起し、立教大学大学院に入学しました。
また、問題の佐川宣寿氏の場合はどうでしょう。
福島県いわき市出身の佐川氏は中学3年の時に父親が亡くなり、東京の中学に転校します。高校は名門の九段高校に進学しましたが、学費は3人の兄が働いて負担したといいます。その後、2年間浪人して東京大学に合格しました。
彼の場合、能力以前にそのあまりに身長の低さに驚かされます。ネットでは153cmとも囁かれていますが、たしかに今時の女性よりも低く見えます。これでは学生時代、彼は全く女性に縁のなかった、つまり全くモテなかったと推察するに十分です。おそらく不毛であたってあろう彼の青春時代によって、彼はコンプレックスとルサンチマンを貯め込んでいったと思われます。
人間の心の闇に付け入る安倍首相夫妻
佐川宣寿氏にしてみれば家計が苦しい中、コンプレックスの塊だった学生が苦学して東大に入学し、卒業後は高級官僚として順風にやってきたという自負がある。公文書改ざんといった国家反逆罪級の犯罪を目の前に、学歴や官僚としてのキャリを台無しにしたくないという心理は当然働いたことでしょう。
安倍首相夫妻は、そのような人間の暗い部分を突いてきます。自分たちもコンプレックス人間なので、同類の心のうちはよく分かるのでしょう。この夫婦は言葉で直接何かを指示することはしないでしょう。阿吽の呼吸で相手が忖度できる状況をつくることに長けているものと思われます。
そして、この醜悪な夫婦を守るため自分の地位を利用し、最終的には現場職員である赤木俊夫氏に公文書改ざんといった国家反逆罪級の犯罪を強制し、自殺に追いやった佐川宣寿氏は安倍夫婦と同様に醜悪で、犯罪者としては同罪なのです。
安倍晋三、安倍昭恵、そして佐川宣寿。この三人の中には常人には計り知れない「弱み」「恨み」「コンプレックス」が流れています。このルサンチマンは赤木俊夫氏が亡くなろうとも全く意に介さないほど醜悪なものです。
”悪夢の民主党” だなんて安倍首相はよく口にしますが、この三人は悪夢どころか「悪魔そのもの」ではないでしょうか。