Introduction:この夏の参院選は7月4日公示、21日の投開票の日程が有力視されていますが、その中で最も注目されているのが山本太郎 参議院議員で間違いないでしょう。
山本氏が掲げる公約は「消費税廃止」「最低賃金1500円」「奨学金徳政令」など、その他にも多岐にわたっておりますが、このたび雑誌『AERA』の電子版が山本氏にとの興味深いインタビュー記事を掲載しました。
今回は『AERA』の記事、公約の消費税について、そして、山本氏と野党との関係について考察します。
山本太郎が財務大臣になる日
6月19日に公開された、雑誌『AERA』の電子版『AERAdot』は、今夏の参院選に向けた山本太郎 参議院議員の意気込みについてのインタビュー記事です。
この記事の特筆すべきは、その質問の内容と、それに対する山本氏の直截(ちょくさい)な受け答えに尽きるでしょう。
安倍首相から手を組もうと言われたら?
記事ではズバリ、
〔安倍首相から「山本さんの政策を取り入れるから手を組もう」と言われたらどうしますか?〕
と、単刀直入に質問しています。
これは、山本氏が主張する「デフレ脱却のための一人3万円給付金」に絡んだ質問です。つまり、山本氏は現在の緊縮財政ではデフレは解消しないし、景気も上向かないと考えているからです。
この質問に対する山本氏の答えはこうです。
「 自民党が本気で減税すると言うならば、そちらに乗ります。 」
山本氏としては野党にこだわる必要もなく、政策実現のために手をつなげるならつなぐという考えのようです。
このことは、山本太郎という政治家としての資質を表わしています。
なぜなら、政治家とは正しいことや理想を語るのも結構ですが、それ以上に清濁併せ呑むといったことが極めて大切となるからです。
まじめで優秀ですが全く使いものにならない政治家、正しいことや正論ばかり述べて一人悦に浸る政治家が存在する中で、山本氏はそうはならないだろうことを暗示しています。
安倍首相から財務大臣になってくれと言われたら?
もちろん山本氏の答えは、
「 引き受けますよ。いいじゃないですか、そんな大きな役職をもらえるなら。 」です。
ちなみに、副大臣や政務官なら断るそうです。
記事:「山本太郎議員、誘われたら安倍内閣の財務相に? 自民と組む条件は…」(AERAdot)
野党は役立たずで劣化している
財務大臣の話が出たところで、山本氏の財政に関する考えを見てみましょう。
基本的に、山本氏はデフレ脱却のための国の借金を問題視していません。
日本は経済成長率と政府支出の伸び率がかなり低いわけですが、これに対しては、政府が緊縮財政をするあまり適切な財政出動をしてこなかったからだと、山本氏は指摘しています。
一理ある考え方です。
ただ、財政出動については箱モノ建設や、旧態依然とした公共事業ではない、もっと柔軟で構想力に溢れた対応が必要であることは、あらかじめ指摘させていただきます。
そして、このことは野党の政策についても当てはまると考えられます。
なぜ、野党に支持が集まらないのか? という事についてです。まるで支持があつまらない野党の面々は、そのことで役立たずと世間から見なされています。結局のところ、野党が人の心に響くような政策を打ち出せていないからでしょう。
このことは、例えば「消費税」の考え方についても如実に表れています。
今回は「立憲民主党」「日本維新の会」「国民民主党」について、各党の消費税の捉え方について見てみましょう。
立憲民主党
立憲民主党は、党の政策として次の通り、軽く抽象的に触れられているだけです。具体的にどのようにしたいのかは、この文面では分かりません。
⇒ 「所得税・消費税・資産課税など税制全体を抜本的に見直し、税による再分配機能を強化します。」
日本維新の会
日本維新の会の場合は、立憲民主党よりは具体的です。要するに ”凍結” の立場をとっています。
⇒ 「国民への負担を求める消費税の10%への増税は、身を切る改革と充分な歳出削減を前提とすべきであり、それまでは凍結する。」
国民民主党
驚くべきは国民民主党でしょう。この党は、政策として消費税には触れておりませんでした。
本当に闘う相手は誰なのか?
消費税について、主だった野党の政策を見ましたが、野党の面々は山本氏が指摘するように、財政再建ありきの緊縮財政を志向しています。
そして、これの行き着く先は間違いなく「増税」なのです。
一般の有権者はその辺のことは直感的に分かっているので、野党に投票する気になれないのだと考えられます。増税、例えば消費税増税によって生活が苦しくなるのは目に見えているからです。
そして、これが野党に対して、一向に支持が広がってゆかない最大の原因と思われます。
今の野党共闘はまったく体をなしておらず、このまま選挙に突入したとして、(老後資金2000万円問題があったとしても)、とても自公の牙城は崩せないことは誰もが予感しています。
このままでは、今夏の参院選は実に不毛な選挙戦となりそうです。
現在の与党(自公)と ”その他野党” の選挙など、一体どこに政治の面白みがあるというのでしょうか? ワクワクするような、将来について明るい見通しが立てられるでしょうか?
もしかしたら、山本太郎氏はもっと先の将来を見据えているのかもしれません。闘うべき相手は自民党(自公)かと思いきや、実はそうではなく、山本氏は野党全体が闘う相手であると認識しているかもしれません。
つまり、現在の野党を潰して吸収し、「山本新党」を組織、あらためて自民党に決戦を挑む戦略です。
もちろん、今夏の参院選には到底間に合いませんが、「次の次」あるいは「次の次の次」にターゲットを絞れば、案外それは夢物語ではないかもしれません。
現在の野党の体たらくに、国民はもう耐えきれません。弱小野党が点在し、巨大で盤石な自公政権が立ちはだかる構図に、日本国民はこれ以上耐えきれないのではないでしょうか?
「山本新党」VS「自公政権」
これは、ある意味「2大政党」の闘いです。これであれば、国民は政治に燃え上がると思われます。