白坂和哉 デイ ウォッチ

安倍首相、台風15号被害を激甚災害と見なさず千葉県民を見捨てる!

Photo by : NHK NEWS WEB
「安倍首相 停電復旧に全力挙げる考え強調」
9月11日、安倍首相は記者会見で、台風15号による影響で発生した停電の復旧に全力を上げる考えを強調しましたが、内容は前日の菅官房長官による政府見解を ”オウム返し” したものに過ぎませんでした。

Introduction:台風15号による千葉県の被害は日を追うごとに甚大さを増しています。
9月13日の金曜日。朝5:00現在、千葉県全体の停電の状況は未だに30万件を超えています。

先進国家・日本において、あまりに情けない状況ではないでしょうか?
一体、なぜこのような悲惨なことになったのか? なぜ復旧が遅々として進まないのか?

答えは明確。
「台風15号被害」は安倍首相による ”人災” だったからです。

ここまで復旧が遅れるのは明らかにおかしい

千葉県では、各地のガソリンスタンドに長蛇の列ができ、携帯電話もまともに通じることなく、ラジオや防災無線が頼りとなています。そのような中で、自衛隊が給水活動などの被害者支援を行っています。

今回の台風15号については、「観測史上最大」の未曽有の勢力になることは事前に分かっていたことで、だからこそJRも計画運休を行いました。

確かに、成長した多くの樹木が電柱や電線をなぎ倒すように倒れ、そのことが復旧工事を妨げていることが分かっています。

とはいえ、停電戸数、30万件超!
台風15号が首都圏を直撃をしたのが9日の月曜日。
そして、週末の13日金曜日においても、”このざま” なのです。
これって、なんだかおかしくないですか?

台風15号直撃前後に安倍首相は一体何をしていたのか?

「観測史上最大」の台風が首都圏を直撃することは、あらかじめ分かっていました。当然、甚大なる被害になることも予想できました。
被害が広範囲に及ぶ場合、対応する自治体の力は限られています。

このような場合、国家の力、つまり政府が動き、政治の力によって台風被害を最小限にする事前対応が必要となります。そして、その旗振り役はもちろん安倍首相となります。

ところが実際は、台風に対して政府や安倍首相が積極的に動いた様子が全く見えてこないのです。

この1週間、安倍首相は何をしていたのか?
ここ最近の安倍首相の動向を、具体的に検証したいと思います。

9月8日の動向

【午前】
自民党の下村博文・元文科省の次男の披露宴に、昭恵夫人と共に出席
(ホテル椿山荘東京・宴会場「ボールルーム」)

【午後】
3時09分:渋谷区富ヶ谷の私邸に帰宅
3時27分:麻生太郎・財務相の訪問
5時03分:麻生氏帰宅

※麻生氏が帰宅した時点で、JR東日本は首都圏全ての在来線での計画運休を発表(その後、台風に関する安倍首相の動きはない)

9月9日の動向

【午前】
10時08分:沖田・内閣危機管理監、関田気象庁長官と会談(約16分)
10時51分:河村建夫・自民党衆議院議員と会合
11時32分:北村滋・内閣情報官と会合

【午後】
2時55分:世耕弘成・経済産業相、広瀬直・経済産業省通商政策局長と会合
5時33分:森健良・外務審議官と会合
6時28分:渋谷区富ヶ谷の私邸に帰宅

※10時08分に行われた会合により、初めて台風に関するレクチャーを受けたと思われるが、その後の台風に関する安倍首相の動きはない。

※菅官房長官による午前の定例記者会見で、菅氏は要旨次のように発言。
「現在、台風と災害との関係を調査中であり、死者を伴う被害の報告を受けている。政府は被害の状況の把握に努め、対策に全力で取り組んでいる。なお、自衛隊の出動要請はしていない

9月10日の動向

【午前】
09時54分:首相官邸到着
10時03分:閣議
10時12分:麻生太郎・外務相と会合

【午後】
5時27分:谷内正太郎・国家安全保障局長、北村滋・内閣情報官、槌道明宏・防衛省防衛政策局長、大塚海夫・情報本部長と会合
5時37分: 北村滋・内閣情報官、槌道明宏・防衛省防衛政策局長、大塚海夫・情報本部長と会合
5時46分: 北村滋・内閣情報官と会合
7時41分: 渋谷区富ヶ谷の私邸に帰宅

※菅官房長官による午前の定例記者会見で、菅氏は午前中に行われた閣議は「一般案件と人事について」のものであると説明(※台風に関しては協議されていない。 その後、台風に関する安倍首相の動きはない)

9月11日の動向 ※改造内閣人事が発表

【午前】
09時17分:自民党本部到着
09時25分:自民党新役員呼び込み
10時01分:自民党臨時総務会
10時14分:自民党役員との記念撮影
10時31分:自民党役員会
11時02分:首相官邸到着
11時35分:臨時閣議
11時53分:退任閣僚の挨拶

※菅官房長官による午前の定例記者会見で、菅氏は午前中に行われた臨時閣議は 「安倍首相から内閣改造をする旨、話があったこと」と説明(※台風に関しては協議されていない)

また、台風15号について、政府はどのような対応をしているかの質問については要旨次のように回答。
「現在、1万人態勢で復旧対応を行っているが、作業に大幅な遅れが生じ40万戸以上が停電している。政府として自衛隊を派遣し、千葉県庁や千葉の各市区町村に経産省職員を派遣し、東電と共に復旧に全力をあげている。また270台の電源車を用意し、暑さ対策に取り組んでいる」

【午後】
0時25分:自民党の西村明宏・衆議院議員、岡田直樹・参議院議員と会合
1時02分:山口那津男・公明党代表と党首会談
1時16分:組閣本部設置
1時22分:新閣僚呼び込み
2時03分:自民党の秋葉賢也・衆議院、木原稔・衆議院と会合
3時23分:皇居到着。内奏、官僚認証式
5時20分:官邸到着
6時00分:記者会見
6時38分:各閣僚に辞令交付
6時52分:初閣議
7時22分:閣僚と記念撮影
7時27分:秋葉賢也、木原稔、今井尚哉各氏に首相補佐官の辞令交付。
8時37分: 渋谷区富ヶ谷の私邸に帰宅

※6時から行われた記者会見の席上、安倍首相から台風15号への対応について説明があったが、前日午後に行われた菅官房長官による定例記者会見のものと全く同じ内容であった。

9月12日の動向

【午前】
09時57分:東京虎ノ門の日本消防会館到着。消防殉職者に献花。
10時40分:首相官邸到着。報道各社のインタビュー
10時51分:下村博文・自民党選対委員長と会合

【午後】
0時00分:黒田東彦・日銀総裁と会合
1時55分:自民の細田博之、下村博文・選対委、稲田朋美・幹事長代行と会合。
3時25分:北村滋・前内閣情報官と会合
3時30分:石川正一郎・拉致問題対策本部事務局長と会合
4時22分:谷内正太郎・国家安全保障局長、外務省の秋葉剛男・事務次官、金杉憲治と会合
5時03分:ワールドラグビーのボーモント会長、ラグビーワールドカップ2019組織員会の御手洗富士夫、森喜朗・正副会長、日本代表リーチ・マイケル主将の表敬訪問
5時38分:東京・ホテルニューオータニ到着。宴会場「鳳凰の間」の「日本歯科医師会役員就任披露パーティー」に出席。
6時09分: 渋谷区富ヶ谷の私邸に帰宅

菅官房長官が政府の舞台裏を白状した

安倍首相の動向を調べてみると、9月9日に 沖田・内閣危機管理監、関田気象庁長官から台風15号の被害について何らかのレクチャーやブリーフィングがあったことは想像に難くありませんが、その後の安倍首相に目立った動きはありません。また、菅官房長官による定例記者会見の発言からも、この時点で政府は被害の実態を全く把握していないことが分かります。

日本政府の動きに大きな動きが見られたのは、実に9月11日、すなわち改造内閣の中身が明らかになった日です。
この時になって初めて、菅官房長官が停電戸数、自衛隊の派遣要請、経産省職員の応援部隊の派遣と言ったように、ようやく具体的な内容がちらほらと語られ始めたのです。

しかるべき対策会議を開いていなかった!

しかし、夕方6時に行われた記者会見では、安倍首相が千葉県の被災地に向けて放った言葉は菅官房長官のコピペでしかありませんでした。
つまり、この時点で安倍首相は千葉県の被害状況に関心を払わず、驚いたことに、通常の台風被害と変わらぬ ”おざなりの対応” しか念頭になかったと推察できるのです。

極めつけは9月13日(金)、午前の菅官房長官の定例記者会見でしょう。
記者から次のような鋭い質問が飛び出しました。

今回は「非常災害対策本部会議」を開いていないが、それはなぜか?

問題の核心を突く質問です。
これこそが、今回の「台風15号」による被害の全てを物語っています。
理由はご存知の通り、内閣改造を優先したから対策会議を開かなかったのです。
この質問に対する菅官房長官の弁明は下記の通り、用意された原稿の ”棒読み” になります。この時、菅官房長官は明らかに追い詰められました。

政府は山本・前防災大臣を派遣し、政府一体となって災害対策をするなど、政府一体となって対策を講じてきた。被害が報告されてからは、関係省庁、災害対策会議を開催するなどして対応を強化してきた。今回の豪雨災害への対策については、大雨になる前から災害発生後にかけて、迅速かつ適切に行ったと考えている。

非常に苦しい答弁です。
今回の「台風15号」の被害に対して、関係省庁の対策会議は行われたものの、「非常災害対策本部会議」は開かれなかったことを、菅官房長官は認めたということなのです。

台風被害を激甚災害と見なさず、千葉県を見捨てた安倍首相

「非常災害対策本部」とは、今回のような「激甚災害」に際し、災害対策基本法・第24条に基づき内閣府に臨時に設置される機関です。

今回、「非常災害対策本部会議」が開かれなかったということは、すなわち内閣府に「非常災害対策本部」が設置されなかったに他らなず、
つまり
・・・

安倍首相が、台風15号被害を「激甚災害」として見なしていなかった

ということに尽きます。これが結論です。

千葉県では、各地のガソリンスタンドに長蛇の列ができ、携帯電話もまともに通じることなく、ラジオや防災無線が頼りとなています。
千葉県では現在も停電が続き、熱中症による死者も出ています。
入院患者が停電のため、呼吸ができずに亡くなりました。

なぜこのような事になったのか?
答えは明確です。安倍首相は千葉県の台風15号被害を軽視し、激甚災害と見なさず、おざなりの対応で済ませ、内閣改造を最優先にしたからです。

つまり、安倍首相にとっては千葉県民の「命」よりも、内閣改造が大切だったということです。

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