Introduction:既にこのニュースサイトでも取り上げていますが、今年の4月19日、東京豊島区の東池袋で自動車暴走致死事件を起こした「飯塚幸三・容疑者」について 、驚くべきことが報道されています。
この事件をきっかけに ”上級国民” なる言葉が世に出回りましたが、今回は上級国民の信じられない ”特権ぶり” を明らかにします。
そして、飯塚幸三・容疑者をこのまま放置すれば、彼はまんまと逃げきってしまうかもしれません。
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いったい飯塚幸三・容疑者はいつ逮捕されるのか?
報道によれば、東池袋自動車暴走致死事件については、より詳細な状況を把握するため、 9月に入ってから飯塚容疑者の「妻」を立ち会わせて実況見分を行っていたというのです。
ところが、当の妻は「衝突のことはよく覚えていない」といった有様で、まるで使いものになっていません。
さらに驚くべきことは、飯塚幸三・容疑者の身柄について、警視庁は「年内にも過失運転致死傷の疑いで書類送検する方針」だというのです。
つまり、警視庁は、事件から5カ月が経ったこの期に及んでも、飯塚幸三・容疑者を逮捕するどころか書類送検すら行っておらず、しかも、容疑は「危険運転致死傷罪」ではなく、「過失運転致死傷罪」だというのです。
この判断には非常に違和感を感じます。
車で人を怪我させたり死亡させたらどうなるのか?
そもそも、飯塚幸三・容疑者のように、交通事故で人を轢き殺した場合、どのような罪に問われるのでしょうか?
車の事故で人に怪我をさせたり、死亡させてしまった場合、自動車運転処罰法の「過失運転致死傷罪」が加害者に適用され、次のいずれかの刑罰が科せられます。
①7年以下の懲役
②7年以下の禁固
③100万以下の罰金
ただし、事故において以下に示す悪質な要因が含まれていた場合、「危険運転致死傷罪」が適用されます。
a.進行を制御できない走行
b.制御困難な速度での走行
c.信号無視などの危険運転
d.飲酒や薬物で酔った状態
e.免許証を携帯しない運転
f.あおり運転等の危険運転
そして、「危険運転致死傷罪」では、次のいずれかの刑罰が科せられます。
④人を負傷させた場合:15年以下の懲役
⑤人を死亡させて場合:1年以上、20年以下の懲役
暴走タクシー事故が名古屋で起きたばかりだが・・・
実は、9月14日、名古屋で開催された駅前ライブ会場に暴走タクシーが突っ込み、7人が重軽傷を負うといった事故が起きています。
その際の警察の加害者への対応を見てみましょう。
「タクシー暴走 7人けが」
名古屋 歩道侵入し停止、急発進
十四日午後九時二十五分ごろ、名古屋市の金山総合駅南口ロータリーでタクシーが歩道に突っ込み、複数の通行人をはねた。市消防局によると、男女七人が重軽傷を負って緊急搬送された。いずれも意識はあるという。愛知県警中署は自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、タクシーを運転していた同市中川区の小森勝弘容疑者(七五)を現行犯逮捕した。
目撃者によると、ロータリーのタクシー乗り場に入ってきた車両が石柱をなぎ倒し、広場のようになっている歩道に侵入。通行人らをはね、開催中だった路上ライブの機材に乗り上げ、いったん停止した。
車両はその後、バックで急発進し、さらに人をはねて停止した。現場にいた人がキーを抜き、車内にいた運転手を引きづり出したという。
~2019.9.15 東京新聞 朝刊~
タクシーを暴走させ歩道に突っ込んだ挙句に負傷者を出し、逮捕された小森勝弘・容疑者の事故の場合、幸いにも死者は出ておりません。
記事によれば 自動車運転処罰法違反(過失傷害)とあることから、警察は 「過失運転致死傷罪」の疑いで逮捕したことが分かりますが、「a.進行を制御できない走行」「b.制御困難な速度での走行 」についても該当すると思われるため、その後の現場検証により「危険運転致死傷罪」へと罪状が変わってくるかもしれません。
いづれにしても、今回のように死者がいなくとも ”悪質事故” の可能性がある場合、報道でも明らかなように、ほとんどの場合逮捕されているのが分かります。
ところが、不思議なことに飯塚幸三・容疑者の場合、逮捕どころか書類送検すらされていないのです。
竹田恆和・元JOC会長も人を轢き殺したことがある
明治天皇の「ひ孫(孫の子供)」であり、日本オリンピック委員会(JOC)の会長を務め、自らも「馬術」の日本代表として2回のオリンピックの出場経験を持つなど、竹田恆和(たけだ つねかず)氏もまた、立派な ”上級国民” と言えるでしょう。
その竹田氏は1974年(昭和49年)の10月、茨城県で22歳の女性を車で轢き殺してしまうといった事故を起こしたことがあります。
この事故の場合、約1億円の傷害保険金によって遺族との示談が成立したとのこと。
おそらく、”悪質性がない” ということで略式起訴となり、罰金刑で済んだものと思われます。
現在であれば 「過失運転致死傷罪」が適用され、示談が成立したことで略式起訴処分となり「 ③100万以下の罰金 」が科せられるパターンです。
実は、このようなことは現在でも頻繁に見られるケースで、車で人を轢き殺した場合、必ずしも厳罰が下るというわけではありません。
竹田氏は人を轢き殺した2年後の1974年(昭和51年)、自身2回目のモントリオール ・オリンピックに出場しています。
しかし、次に紹介する ”上級国民” の場合は明らかにケースが異なります。
弁護士・ 石川達紘の人身事故はあまりに不可解だ
石川達紘(いしかわ たつひろ)氏は、中央大学法学部在学中に司法試験に合格。東京地検特捜部長、東京地検検事正、名古屋高検検事長といった要職を歴任しています。
特捜部時代には、ロッキード事件、平和相互銀行事件、そして撚糸工連事件などなどの事件を手がけ、金丸信・自民党副総裁、中村喜四郎・元建設相の逮捕においては検察幹部として指導的な役割を果たした、文字通りの「スパーエリート検事」でした。
2001年に62歳で退官後は、弁護士としての活動を行い、大学の教授や講師、複数の大手企業の顧問や取締役、監査役を務めています。
退官後の年収は1億円前後にもなっていたと言われ、そして2009年の春には叙勲( 瑞宝重光章受章)されているのです。
まさに、飯塚幸三・容疑者と極めて似通った人生を送った ”上級国民” なのですが、そんな 石川達紘氏が車で人を轢き殺したのが2018年2月18日です。当時彼は78歳でした。
当時石川氏は、20代の女性とゴルフに行く約束をしておりました。
東京都港区白金の都道において、石川氏は運転していた車を交差点近くに停車させ、運手席からトランクを開け、女性がゴルフバックを積み込もうとしたところ、車が急発進。
300~400メートルを猛スピードで直進した挙句、反対車線側の歩道に突入し歩いていた男性をはね、沿道沿いの金物店に突っ込み、そこでようやく車が停止しました。車の速度は100キロを超えていたものと見られています。
はねられた 堀内貴之さん(37) は全身を強く打ったことにより死亡。内臓が体の外に出てしまう程、現場は凄惨を極めました。
事故現場にはブレーキ痕などは全く見つかっておらず、石川氏は運転ミスを認めず「車がおかしくなった」「車が勝手に暴走した」ことを主張。また、亡くなった被害者に対し飯塚幸三・容疑者と同様、自責の念がまるでなかったと伝えられています。
上級国民は明らかに存在する
車を暴走させ歩道に突っ込み、人に怪我をさせたり、人を轢き殺したことについては、上述した9/14の名古屋での暴走タクシー事件とパターンは同じです。暴走タクシーの運転手は現行犯で逮捕されましたが、石川達紘氏の場合はどうだったか?
これが驚いたことに、逮捕などされておりません。
しかも、事故から10カ月も経った2018年12月になってからの書類送検です。その際も、石川氏は「アクセルを踏み込んだ覚えはない」と、往生際の悪さを露呈しています。
このケースでは被害者遺族に対し多額の保険金がおり、何らかの示談が成立したと思われますが、とはいえ 「a.進行を制御できない走行」「b.制御困難な速度での走行」を行ったことは明らかで、 間違いなく「危険運転致死傷罪」が適用されるケースと考えられます。
しかし実際は、書類送検後、事故から1年以上経った2019年3月22日にようやく ”在宅起訴” されたに過ぎません。
石川氏は事故で足を骨折し入院したようですが、それにしても逮捕もされず1年以上ゆるりと放置した挙句の在宅起訴とは、名古屋のタクシー運転手とあまりに待遇が違い過ぎるのではないでしょうか?
東京都内で2018年2月、乗用車で歩行者をはねて死亡させたとして、東京地検は22日、元東京地検特捜部長の石川達紘弁護士(79)を自動車運転処罰法違反(過失運転致死)などの罪で在宅起訴した。
(中略)
石川弁護士の代理人を務める小林正樹弁護士は「石川氏は過失でアクセルを踏んだことはないと主張しており、起訴は誠に残念。法廷で事故は過失に基づかないことを明らかにしたい」とコメントした。石川弁護士は東京地検の特捜部長や検事正を歴任。福岡、名古屋の両高検検事長を経て01年に退官し、弁護士登録した。弁護士法は裁判で禁錮以上の有罪判決が確定した場合、弁護士資格を失うと規定している。
~2019.3.23 日本経済新聞 朝刊~
しかも、在宅起訴の罪状が「過失運転致死」であることも気になります。つまり、「危険運転致死」は適用されていないように見えるのです。
危険運転致死で実刑となれば1年以上、20年以下の懲役となりますが、過失運転致死であれば、下記の3つのいずれかになります。
①7年以下の懲役
②7年以下の禁固
③100万以下の罰金
つまり、「 ③100万以下の罰金 」の可能性もある、ということなのです。
筆者は刑法の専門家ではないので詳細は分かりませんが、どうも石川達紘氏は上手いこと逃げ通してしまったように見えてしまうのです。
飯塚幸三・容疑者を逃がしてはならない
石川達紘氏のケースは、百歩譲って「過失運転致死傷罪」といたしましょう。
しかし、飯塚幸三・容疑者の場合はそうはいきません。
彼の場合は「a.進行を制御できない走行」「b.制御困難な速度での走行」を行った上に、「c.信号無視などの危険運転」を2回も行っているのです。危険運転致死傷罪でなければおかしい。
今回の事故でなくなった松永真菜(まつなが まな)さん(32歳)と長女・莉子(りこ)ちゃんのご主人が、飯塚幸三・容疑者に厳罰を求める署名活動を行っていますが、この場合の「厳罰」とは、まさに「危険運転致死傷罪」のことであると筆者は推察しています。
※『東池袋自動車暴走死傷事故 遺族のブログ』
飯塚幸三・容疑者を逮捕もせず、書類送検もしていない警察は明らかにおかしい。しかも、妻を立ち会わせての実況見分をするなど、不毛な時間稼ぎに余念がない。
飯塚幸三・容疑者の場合も石川達紘氏と同様に逮捕もされず、我々が忘れた年末ごろに書類送検され、来年の3月頃に在宅起訴されるものと考えられます。
しかし、ここで問題になるのは、どういった罪状で在宅起訴されるかです。
これで「危険運転致死傷罪」を適用しないということであれば、もはや日本は法治国家を語る資格など無く、また ”上級国民” の存在を証明したことにもなります。
このままでは、飯塚幸三・容疑者はたいした罪にも問われず、逃げ切ってしまう可能性があります。