白坂和哉デイウォッチ

【逮捕されない上級国民】飯塚幸三・容疑者は収監可能です!

飯塚幸三・容疑者
Introduction:東池袋で母子2人を轢き殺しておきながら、「安全な車をつくれ」とまるで事故が車のせいだと言わんばかりの ”上級国民” こと飯塚幸三・容疑者。

彼は「フレンチに遅れる!」と焦って車を運転していたことは、世論の激しいバッシングを受けました。

そして、さらに驚くべきは、刑事訴訟法の規定により飯塚容疑者は収監すらされない可能性も出てきたのです。
本当に飯塚容疑者は ”牢獄” に入らないで済むのか!?

いや、そんなことはありません!
飯塚容疑者に相応しい刑務所を、今回は紹介します。

実刑判決でも飯塚容疑者は収監されない!?

今年の4月19日。東京の東池袋で母子2人を轢き殺し、10名に重軽傷を負わせた飯塚幸三・容疑者。

彼はその後TBSテレビの単独取材に応じ、「安全な車を開発するようにメーカーの方に心がけていただき、高齢者が安心して運転できるような、外出できるような世の中になってほしいと願っています」といった発言で世間を仰天させたことは、既にこのニュースサイトでも取り上げました。

◆ 関連記事 ◆
 『【逮捕されない上級国民】仰天発言した飯塚幸三・容疑者の今後を予想する!』

しかし、問題はこれだけに留まらず、テレビ東京の独自取材では飯塚容疑者が「予約していたフレンチに遅れそうだと」供述していたことが判明、ここにきて再び飯塚容疑者へのバッシングが過熱する要因となりました。

さらに驚くべきは、飯塚容疑者が実刑判決を受けたとしても収監されない可能性すら出てきたことです。
これは「 刑事訴訟法第482条 」により、 70歳を超えた場合は刑の執行停止、つまり、服役しないですむ場合がある、といった規定によるものです。

なぜ刑の執行停止になるのか?

これはとても納得できる話ではありません。
なぜ、70歳を超えた場合は刑が執行されず、収監されない場合が生じるのか?
これについては、過去の事例から考えてみることにします。

難病と診断され一旦は刑の執行停止になったケース

◆ 出典記事 ◆
『詐欺罪の男、難病もウソ 懲役9年の刑執行停止を取り消し』

~2014.12.25 日本経済新聞~

これは、2014年に詐欺罪などで懲役9年を言い渡された男が難病と診断され、刑の執行が停止になったケースです。
この男は難病である「 重症筋無力症 」と診断されましたが、その後自力で歩けることがバレしまったために、服役に問題がないと判断され刑の執行停止は取り消しとなりました。

生体腎移植を受けても結局は収監された暴力団組長

◆ 出典記事 ◆
『京都府立医大、山口組系組長の診断に疑い 病気で刑執行停止』

~2017.2.16 山岸弁護士の正義は我にあり!!~

これは2017年に起きたケースです。
生体腎移植を受けた暴力団組長が、手術後の感染症のため医療体制が乏しい刑務所内の医療施設での生活は困難との医師の判断を受け、刑の執行が停止となったケースです。
もっとも、この場合は病院側が組長に脅され、実際の病状よりも重い判断を下したことが濃厚となり、検察側は刑務所の医療態勢で診察や治療が可能として、刑の執行停止を取り消しました。

服役に支障がでる心身の状態ならば刑は執行されない

ここで紹介した事例にもあるように、病気などで歩行が困難になったり、手術などにより服役に耐えられないと医師が判断すれば、刑の執行が停止される場合があることが分かります。

また、服役後に心神喪失となったときも、一旦刑の執行を停止する場合もあるようで、これらの判断根拠は刑事訴訟法の第480条、第482条の中に見いだすことができます。

「 刑事訴訟法第480条 」により、刑の執行が停止されるケース
懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官又は刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によって、その状態が回復するまで執行を停止する。

「 刑事訴訟法第482条 」により、刑の執行が停止されるケース
・刑の執行によって、著しく健康を害するとき、又は生命を保つことのできないおそれがあるとき。
・年齢70年以上であるとき。
・受胎後150日以上であるとき。
・出産後60日を経過しないとき。
・刑の執行によって回復することのできない不利益を生ずる虞があるとき。
・祖父母又は父母が年齢70年以上又は重病若しくは不具で、他にこれを保護する親族がないとき。
・子又は孫が幼年で、他にこれを保護する親族がないとき。
・その他重大な事由があるとき。

そして、刑の執行停止の判断は検察が行うことになっているようですが、特に第482条の中に「 その他重大な事由があるとき 」といった条件が加えられていることから、判断に際してはいかようにもできる ”仕組み” が何気なく実装されていることが分かります。

よって、刑の執行停止の条件に「年齢70年以上」が加えられているということは、高齢で服役に耐えられない程衰弱している場合は、刑の執行が停止される可能性があることを如実に物語っています。

さて、ここで飯塚幸三・容疑者の話に戻りましょう。
10月19日の共同通信によると、飯塚容疑者がパーキンソン症候群に罹患している疑いがあると報道されています。

◆ 関連記事 ◆
 『【逮捕されない上級国民】飯塚幸三・容疑者のパーキンソン症候群の疑いは「減刑の言い訳」になるか?』

なぜ、ここにきて ”パーキンソン” なのかと言えば答えは明白だろうと思われます。飯塚容疑者は間違いなく、この難病による刑の執行停止を狙っていると推察できるからです。

”上級国民” のための刑務所が存在する

病気などで歩行が困難になった、手術などにより服役に耐えられない、あるいは高齢で弱っているために服役が困難であると検察が判断すれば、刑の執行が停止される場合がある。そして、飯塚幸三・容疑者は高齢であることと、パーキンソン症候群を理由に刑の執行停止を狙っている。

そんな、飯塚容疑者に対して、検察は刑の執行停止という判断を下すのか?
そして、もしそうでないとしても、現実的に飯塚容疑者は服役に耐えられるのか?

そんな飯塚容疑者にうってつけの刑務所があります。
――それは、栃木県さくら市にある「 喜連川社会復帰促進センター 」です。

◆ 出典記事 ◆
『ウマいメシ!エアコン完備!塀の外より快適な“民間刑務所”の実態』

~2018.3.24 livedoor NEWS~

選ばれし者が収監される刑務所

一般にはあまり知られてはいませんが、官民で共同運営する刑務所というものが世の中には存在します。そのような刑務所が今回紹介する「喜連川社会復帰促進センター」です。

つまり、民間企業からの社会資本整備事業のお金によって運営されている PFI(Private Finance Initiative)方式の刑務所ということです。そして、名称も「○○刑務所」ではなく「社会復帰促進センター」という名前がつけられているのが特徴です。

この「喜連川社会復帰促進センター」は、実は「鈴木宗男」氏も収監されていたことから、ある意味「選ばれし者」が入所できる施設なのです。

センター入所の条件とは

初犯や刑務所に初めて入る ”犯罪傾向が進んでいない者” という大前提のもとに、このセンターに入所できる条件は以下の3種類に大別されます。

刑務所とは思えない待遇

こうしてみると、飯塚容疑者はA級やP級に属することが分かります。ちなみに、このセンターには高齢者や障がい者に配慮した特化ユニットも設置され、このユニット内はバリアフリーになっています。

また、収容される房は90%以上が完全個室となっており、窓には強化ガラスが埋め込まれているだけで鉄格子などはなく、個室の中にはテレビやベッド、机、鍵付きの棚に加え、冷暖房も完備されているといった豪華な仕様となります。

その他にも、受刑者と面会人との間に仕切りのない「家族面会室」、障がい者のために理学療法士、トレーナーによるリハビリや作業療法を行い、高齢受刑者には行動・感情の抑制や、認知症予防のための脳トレドリルを活用するなど、実に充実した施設やカリキュラムが組まれています。

刑務所とは思えない食事

社会復帰促進センターの食事はとても多彩で本格的、バリエーションに富んでいるのが特徴です。栄養のバランスも良く考えられており、また高齢者に対しては柔らかめな食事を提供するなど、至れり尽くせりです。

朝食: 焼き魚配食(焼き鮭、わかめと豆腐の味噌汁、白飯、きんぴらごぼう、さくら漬け)

昼食: とんかつ配食(とんかつ、ポテトサラダ、なめこの味噌汁、白飯、白菜の浅漬け)

ここは本当に刑務所なのでしょうか?と思えるほどの食事が出されるようです。上の食事を見る限り、普段筆者が食べているものよりも豪華である気がしてなりません。

まとめ:飯塚幸三・容疑者を収監すべし

一口に刑務所と言っても、暗く厳しい場所ばかりとは限りません。
今回紹介した喜連川社会復帰促進センターを始め、全国に5か所ある「社会復帰促進センター」といった受刑者の更生、障がい者・高齢者のケアに特化したPFI方式で運営される半官半民の施設も存在します。

木津川社会復帰促進センターには先に紹介した鈴木宗男氏や、”参院のドン” と呼ばれた村上正邦氏、そして山田洋行事件で実刑判決を受けた元防衛省事務次官・守屋武昌氏も収監されていたこと。そして、刑務所とは思えない好待遇であることから、まさに ”上級国民” にうってつけの施設だと考えられます。

飯塚幸三・容疑者については、高齢者だから刑は執行されないであるとか、パーキンソン病だから服役は困難といった理屈は、もはや世論が許さないレベルにまで達しています。

とはいえ、いくら犯罪者とはいえ、必要以上に過酷な服役暮らしを強いるのも人権上いかがなものか?との声も上がるでしょう。そういった中で、今回は彼に見合った施設はしっかりと存在しているのだということが分かりました。

つまり、世の中に ”上級国民” が存在しているように、そんな彼らに見合う刑務所もまた用意されているといった、世の理不尽さがここに露呈したということです。

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