白坂和哉デイウォッチ

山本太郎がいるじゃないか!~山本太郎の財政政策がドケチ安倍政権を駆逐する

Introduction:新型コロナウイルスの世界的な蔓延の中、皆さんは重要人物を忘れてはいませんか?──そうです『山本太郎』です。彼はいつもにも増して精力的に活動しています。
安倍政権は ”マスク2枚” といった珍妙な政策を出してきたと思ったら、今度はタレントを利用した ”貴族動画” の拡散に余念がありません。
しかし、山本太郎は違います。彼は安倍首相と違って、日本の財政政策に既に答えを出しています。それは「日本が復活するシナリオ」です。
安倍政権は生活支援臨時給付金を出す気配など全くありません。その一方で、山本太郎は『コロナ緊急提言』としてこれをまとめ安倍政権に申し入れています。さて、政権側はこれを無視できるでしょうか?

金も出さずに自粛要請など不可能だ

安倍首相は4月7日に記者会見を開き「緊急事態宣言」を発令しました。その際、人同士の接触を7~8割減らせれば2週間後には感染者の増加をピークアウトできるとして、5月6日までの1カ月間、人同士の7,8割減を目指す外出自粛を要請しました。

このことは、4月11日にさらに強化されます。繁華街への外出自粛要請は全国へと拡大し、緊急事態宣言の対象となった7都府県の全事業者に対しては、オフィス出勤者を最低7割削減するよう要請しました。

ここで問題となるのは、それらの要請に対する実行性の可否というよりも、この期に及んでもなお、政府から自粛に対する保証金が支給されないということです。自粛と保証金は必ずペアでなければ実効性は伴いません。それでも、安倍政権は何を思ってか、この重大局面を自粛で乗り切ろうとしているのです。

文藝春秋 2月号に答えは出ているじゃないか!?

文藝春秋 2020年2月号

なぜ、安倍政権は国民や事業者に対し「生活(事業)支援臨時給付金」といったものを支給せず、”ドケチ路線” をひた走っているかについては、おそらく財政規律主義・財政均衡主義を旨とする財務省の抵抗に直面しているものと考えられます。

しかし、日本の財政政策については、既に山本太郎が答えを出しています。その中で最も良くまとまっている、これまでの主張の集大成とも言うべき政策論文が『文藝春秋(2020年2月号)』に掲載された『「消費税ゼロ」で日本は甦る』なのです。

「政府の借金」は「民間の資産」である

よく取り沙汰されることとして「日本には1000兆円以上の借金がある。これでは国民一人当たり約900万円の借金を背負っていることになり大変だ!だから基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化しなくてはならない」
──といった議論をよく耳にします。

一見、もっともな話に聞こえますが、山本太郎はこれに疑問を投げかけます。つまり、「政府の借金増 = 民間の借金増」という関係は成り立つのか? ということについてです。

ここで彼が取り上げるのが、日本銀行が作成する「資金循環統計」です。

資金循環統計は何を物語るのか?

資金循環統計とはざっくり言えば、政府と民間のそれぞれの収支(資産・負債の残高や増減など)を年ごとに集計したものです。

この表を見ると、政府の赤字が増えている(財政出動されている)場合、民間の黒字は同額分増えていることが分かります。政府が景気調整などのために財政出動するわけですから、出動された財政は当然民間に向かうわけで、このような当たり前の結果となります。

※厳密には、民間の黒字が企業の余剰資金として内部保留といった形で貯め込まれ、家計に流れる資金が減少している問題もあります。

つまり、資金循環統計を見て分かるのは、政府の赤字は民間の黒字を生み出している(家計・企業の貯蓄を生み出している)ということです。

しかし、2000年頃から政府の支出が少なくなり、家計が貯蓄できなくなっているために需要も減少しています。そのために企業も投資ができなくなっていることが分かってきたわけです。

財務省はダブルスタンダードだ!

そんな中、財務省は「日本には財政破綻の危機が迫っている!だから消費税増税が必要だ!」と危機感を煽るのに余念がありません。しかし、日本にとって財政破綻などあり得ないことは、実は財務省自身も公式に認めているのです。

上に紹介するのは財務省のWebサイトに掲載されている『外国格付け会社宛意見書要旨』です。

かつて、海外の格付け会社が、日本国債の格付けを主要国の最低ラインまで引き下げたことがありますが、これは格付け会社へ反論するために作成され資料です。
そして、[ 1.-(1)] を見ると「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」を明確に主張しているのです。

例えば、ギリシャなどは自国通貨ではないユーロで負債を貯め込んだために、最後はユーロで借金が返済できなくなり財政破綻に陥りました。

しかし、日本は違います。
日本の借金はほとんどが自国通貨の「円建て」となっています。よって、借金返済には日本銀行が円を刷れば良いことになります。まさにミラクルですが、無尽蔵にお金を刷ればい良いわけではありません。当然、気をつけなくてはならない指標が存在します。──それが『インフレ』です。

国民一人一人にお金を支給できる!

安倍政権は財務省の意向もあり「生活(事業)支援臨時給付金」といったものを支給しようとせずに ”ドケチ路線” を堅持していますが、そんな財務省はダブルスタンダードを振りかざしていることが分かりました。

そして、日本は国民救済のために赤字国債を発行し、国民一人一人にお金を配ることが可能なのです。これを「100兆円」規模でやって欲しいものです。

コップと水のお話しで説明します

なぜ、そういったことができるのか?
コップと水の例で説明します。

▲ 今、コップに水がたまっていますが、
──コップは国の「経済」(生産力、販売力)
──水は「お金」(消費、投資)
に例えることができます。

完全雇用となれば正社員、非正規労働者、そしてワーキングプアも含め給料が全ての人に支払われます。ある意味、理想とする経済社会です。

▲ さらに水を入れてゆくと(財政支出を増やしてゆくと)コップは水であふれます。総需要が国の生産力を超えてお金があまる状態、すなわち「インフレ」であることを示しています。

このような状況になった場合、つまり、あふれた水を取り除くためには、どうすれば良いのか?
──「税金」によって水を吸い取れば良いのです。

そもそも ”税金” とは何か?

安倍政権と山本太郎とでは、税金に関する考え方が根本的に違います。

安倍政権もそうですし、これまでの政府は、税金とは政府支出の「財源」であると考えています。

しかし、山本太郎は徴税を政府支出を見つける手段とは考えておりません。山本太郎にとっての税金とは、経済から支出能力を取り除くための「調整弁」です。

日本はどのような状態なのか?

”失われた30年” と揶揄されている日本経済。日本は長期間にわたって ”デフレスパイラル” から抜け出せておりません。これを先ほどのコップと水に例えると、コップに少しの水しか入っていない状態です。

よって、今政府がやることは支出を増やす。つまり水(お金:投資)を注入することなのです。50兆円でも100兆円でも赤字国債を発行し、国民一人一人に現金を支給することです。

自国通貨建ての借金で国は破綻しないことは、今や財務省も認めていますし、この施策で市中にお金が循環し、それで「緩やかやインフレ傾向」を示してくれれば、それこそが安倍政権の目指した「アベノミクス」の目的に適うことではないでしょうか!?

国民一人一人にお金を支給できる根拠は、ここに見いだすことができるのです。

コロナ禍の今こそMMTを試すとき!

経済に関する山本太郎の発想は、最近話題になっているMMT(現代貨幣理論)に立脚しています。特徴を挙げると次のようになります。

安倍政権や財務省は予算を均衡するばかりに目を奪われ、挙句の果てには消費税増税を決行し国民を苦しめています。しかし、本当に大切なことは経済のバランスをとることです。政府の財政出動と税金の調整により、コップの水がこぼれないように、こぼれたとしても僅かなレベルに留めておくことです。

日本復活!のために今するべきこと

安倍政権を含め、これまでの政府は先ず税金ありきで、国の予算を税金で確保してからでないと政策立案できないという、硬直した発想から逃れられませんでした。

しかし、MMTでは発想が真逆になります。
「課税」する前に、「支出」が先にくるのです。
つまり、国民から集めた税金を予算といった「財源」とはせずに、政府は国債を発行することで事実上の貨幣を発行し、それを「財源」とする。そして、経済のバランスを取るために、それに適した税金を国民から徴収するという考えです。

安倍首相は4月7日の記者会見で、政府がまとめた緊急経済対策は「108兆円」規模に及ぶと胸を張りましたが、「真水」と呼ばれる国が新たに支出する分は「16兆7千億円」程度しかありませんでした。

これを仮に国民一人一人に配った場合、一人当たり約13万円程になりますが、政府は全くやる気を見せておりません。
一方、山本太郎は『真水 100兆円』規模の財政出動を提案し、4月6日、既に政府に提言しています。※【れいわ新選組のコロナ緊急提言】 『真水100兆円』で、徹底的にやる! 出歩くな、自粛しろの代償は、国が補償しなければなりません。

この政策をどのように捉えるかは国民一人一人の考えに委ねられます。
世界的な危機的状況の中、旧態依然とした発想による財政政策がどれほどワークするのか、筆者は疑問に感じています。

日本と同様、独自通貨発行権を有するアメリカ合衆国などは、さらにドラスティックな政策を打ち出しています。

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