Introduction:信じられないことですが、安倍政権は『中村哲医師』を「泉ピン子」や「由紀さおり」と ”同列” に扱っています。
「泉ピン子さん」や「由紀さおり」さんらは、芸能界で優れた功績を残された方々です。しかし当時に、中村医師が彼女たちと同じであるはずもないと強く確信しているのも事実です。
中村医師の突然の悲報に際しては、日本やアフガニスタンのみならず、世界中からその死を悼む声が相次ぎました。アフガニスタンのガニー大統領は自ら中村医師の棺を運び、アフガニスタンの航空会社は翼に中村医師の肖像画を描くことで、彼の功績を称えようとしています。
そんな中、安倍政権による中村医師への叙勲が発表されました。これは明らかに中村医師を貶める行為のように映ります。中村医師を侮辱するなと、あらためて訴える所存です。
中村医師への叙勲に違和感を禁じ得ない
報道によれば、政府は23日、アフガニスタンで銃撃され死亡した中村哲 医師に対し、「旭日小綬章」と「内閣総理大臣 感謝状」を贈ると発表しました。
中村医師の死に際しては、アフガニスタンのガニー大統領が追悼式典の席上、中村医師の棺を自ら担ぎ、また現地の「カーム航空」では、垂直尾翼に中村医師の肖像画を描いた旅客機が登場しました。中村医師への感謝の念を表し、長きにわたりその功績を称えるためであるといいます。
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そのような中、安倍政権もようやく重い腰を上げ感謝状の他、中村医師を叙勲しようということなのですが、それが「旭日小綬章」と聞いて筆者は半ば呆れ、なかば脱力した次第です。
まずは内閣府の公表する「勲章の種類及び授与対象」に目を通していただきたい。ここには、勲章の種類と順位が記載されています(上図)
そして、今回中村医師に授与される「旭日小綬章」はどういった位置づけにあるのかと言えば、「旭日章」の括りの中の順位で言えば「4番目」の章なのです。
泉ピン子や由紀さおりと同列なのか?
政府は11月3日、2019年秋の叙勲受章者4,113人、及び外国人叙勲受章者136人を発表しました。毎回かなりの数の方々受賞されますが、芸能界では女優の「泉ピン子」さんや歌手の「由紀さおり」さんが、中村医師と同じ「 旭日小綬章 」を受章しています。
泉さん、由紀さん共に芸能界で長年にわたり活躍し、文化的な功労があったことは筆者のみならず誰もが認めるところです。これに対しては全く異存はありません。
しかし、果たして中村医師は彼女たちと同列であるのかと言えば、全くのところ違和感を禁じ得ません。圧倒的違和感です。
もちろん、人々の功績、特に中村哲医師の功績に対し、順位をもって云々することは誠に不謹慎ですし、全くをもって意味をなさないのは重々承知しております。それでも、旭日章の4番目という微妙な位置づけに、筆者としては政府の対応についてどう評価して良いのやら、戸惑いを隠せずにいるのです。
これは、もはや叙勲の順位の問題ではないのかもしれません。
なぜゆえに安倍政権は、中村医師に対し真摯に礼節を尽くさないのか? といった人としての「心」の問題です。
おそらく、かつて中村医師が自衛隊のアフガニスタン派遣に強く反対し、国会でも「自衛隊派遣が取り沙汰されているようでありますが、当地の事情を考えますと有害無益でございます」と国会で明言したことが、安倍首相としては気に入らないのでしょう。
そのような訳で、敢えて芸能人と同じ序列に組み入れることにより、中村医師の存在感と功績を過小評価したように思われるのです。
安倍政権の極めて悪意に満ちた、今回の中村医師に対する叙勲となりました。