中村哲医師の死去に際し、あまりに非情な安倍首相

Introduction:アフガニスタンで銃撃され、不慮の死を遂げた中村哲さんに対しては世界中から追悼の声が寄せられています。
彼はアフガン人のヒーローであり、日本人の誇りです。
そんな彼は日本の憲法をリスペクトし、安倍政権に対してはバカな政権であると痛烈に批判しました。
そんな中村哲さんこそ「国民栄誉賞」に最も相応しいのではないでしょうか?
中村哲さんには極めて冷酷な安倍首相ですが、今、安倍首相の「器の大きさ」が試されています。

中村さん銃撃事件の生存者は語る

アフガニスタンで銃撃され、非業の死を遂げた福岡市の国際NGO団体・ペルシャワール会の現地代表、中村哲医師の眠る棺は8日の夕方に成田空港に到着、そして翌9日午前10時過ぎ、福岡空港に到着しました。

中村医師は今月4日、アフガニスタン東部ナンガルハル州シャララバードで、車で移動中に何者かに銃撃され、死亡しました。

当初、死亡したのは警備員、運転手を含めた同行者6名と報道されましたが、実は、その後のNHKの取材により、現地スタッフの1名が銃撃を逃れ生存していることが分かりました。

◆ 出典記事 ◆
『中村哲さん銃撃で生存者 事件語る 「20~25秒の間に一斉に…」』

~NHK NEWS WEB~

生存していたのは、現地のペルシャワール会の運転手の男性。
彼の話では、銃撃は待ち伏せしていた4,5人の者たちにより、わずか20~25秒の間に一斉に行われたとのこと。そして、銃撃後に中村医師のもとに駆け寄ったこの男性に対し、中村医師は『私は大丈夫だ』と答えており、病院に搬送されている途中でも何度も『大丈夫だ』と答えていたことから、この時点では中村医師に意識があったことを伺わせます。

現地の警察はこの男性の発言をもとに、犯人の特定を急いでいます。

ガニー大統領が自ら中村医師の棺を担いだ

12月7日、アフガニスタンの首都カブールの空港で、中村医師の追悼式が行われました。この式典にはアシュラフ・ガニー大統領も参列し、軍人と共にアフガニスタン国旗で包まれた中村医師の棺を先頭に立って担ぎ、飛行機まで運びました。

このことは特筆すべきことと言えましょう。一国の大統領が自ら棺を担ぐとは、いかに中村医師が現地の人々に敬愛されていたかを物語るに十分です。
挨拶に立ったガニー 大統領は、「すべてのアフガン人は、彼をアフガンの勇敢な男として記憶する」と、中村医師の功績を称えました。

フランス外務省は最も強い非難を表明

フランス外務省は12月5日に声明を出し、人道支援の担い手への攻撃に対する「最も強い非難」を表明しました。

◆ 出典記事 ◆
『仏外務省、中村医師殺害で「最も強い非難」』

~2019.12.6 産経新聞 THE SANKEI NEWS~

ロックバンド「U2」も中村医師をライブで追悼

12月5日、さいたまスーパーアリーナでは、ロックバンド「U2」の13年ぶりの来日公演が行われていました。

ボーカルの「ボノ」さんはライブの中で、「偉大な中村医師を追悼するひとときを持とう。中村哲さんのために」と、中村さんを追悼。会場一杯に広がったスマートフォンのイルミネーションは、まるで追悼キャンドルのように観衆を包み込みました。

安倍首相はどのように動いたか?

今回の中村医師の殺害については、上皇ご夫妻が12月5日、上皇侍従長を通じて中村医師の遺族に弔意を伝えました。中村医師が1996年に医療功労賞を受賞して以来、上皇ご夫妻は度々皇居の御所に彼を招き、活動に耳を傾けてきた経緯があるからです。

◆ 出典記事 ◆
『 上皇ご夫妻、中村医師の死に「深い悲しみ」 交流20年 』

~2019.12.6 朝日新聞~

また、皇后雅子さまも12月9日、ご自身の56歳の誕生日に寄せて、中村医師に対しての残念な気持ちを綴っています。

◆ 出典記事 ◆
『 【全文】皇后さま56歳お誕生日 アフガンで死亡の中村医師に追悼の意も 』

~2019.12.9 FNN PRIME~

ことほど左様に、中村医師の突然の死には多くの人々が悲しみに暮れ、各地では追悼の声が日々高まっているように感じられます。

では、安倍首相はどうだったのでしょう?

安倍首相は12月4日、首相官邸での記者団の質問に「医師として医療分野に、また灌漑事業などにおいて大変な貢献をしてこられた。危険で厳しい地域にあって、本当に命がけでさまざまな業績をあげられ、アフガンの人々からも大変な感謝を受けていた。このような形で亡くなったことは本当にショックで、心からご冥福をお祈りしたい」と答えました。

コメントの内容については特に問題ないものの、これは首相官邸での ”ぶら下がり取材” に答えたもので、安倍首相のコメントはこれだけです。

アフガニスタンの大統領は自ら中村医師の棺を担いでくれたというのに、安倍首相はと言えば、その後「首相声明」や「首相談話」といった「日本政府としてのコメント」を世界に向けて発信するわけでもなく、後にも先にも ”ぶら下がりでのコメント” だけなのです。

では、福岡空港まで行けと言うつもりはありませんが、せめて成田空港まで中村医師を出迎えても良さそうなものを、この首相はそういったことすら一切しようとしませんでした。そのくせ、意味のない ”外遊” は早速出かける予定が組んであるとか・・・

筆者はこのような冷酷な首相など、見たことも聞いたこともありません。
これでは首相どころか「人間失格」です。

中村医師が到着した9日の日には、日本人に混じって地元九州で暮らす数十人ものアフガニスタン人が福岡空港を訪れ、中村医師の死を悼みました。

なぜ安倍首相は中村医師に冷酷なのか?

「憲法は我々の理想です。理想は守るものじゃない。実行すべきものです。この国は憲法を常にないがしろにしてきた。インド洋やイラクへの自衛隊派遣……。国益のためなら武力行使もやむなし、それが正常な国家だなどと政治家は言う。私はこの国に言いたい。憲法を実行せよ、と」

「天皇陛下と同様、これ(憲法9条)がなくては日本だと言えない。近代の歴史を背負う金字塔。しかし同時に『お位牌(いはい)』でもある。私も親類縁者が随分と戦争で死にましたから、一時帰国し、墓参りに行くたびに思うんです。平和憲法は戦闘員200万人、非戦闘員100万人、戦争で亡くなった約300万人の人々の位牌だ、と」

◆ 出典記事 ◆
『「憲法9条なくては日本でない」「豊かさの考え変えないと」 中村哲さんの言葉』

~2019.12.4 毎日新聞~

「 日本に帰ると別の惑星に来たように感じる。第一に元気がない。アフガニスタンでの最高に近い医療が受けられ、恵まれている割にみな不幸な顔をしており、自殺が多い。アフガニスタンは貧しい国で、他殺はたくさんあるが自殺はない。日本の政権については、こんなバカな政権はない。向こうではみな権力に対して従順でない気風がある。対照的に日本人ほど権力に弱い国はないと感じる。現政権がアフガニスタンに出現したとするなら、もう何十回か暗殺されている。その点が日本との違いだ。個人的なことをいうと憲法に従う義務はあるが、政権に従う義務はないと考えている。 」

◆ 出典記事 ◆
『中村哲氏「アフガニスタンに生命の水を」 2015年の講演より再掲』

~2019.12.5 長周新聞~

ここに引用した中村医師の言葉が、全てを物語っています。

彼は自衛隊の海外派兵を否定。理想である憲法を実行せよと政治に要請し、その根拠となる憲法9条がなければ日本ではないと言いました。
また、日本の政権ほどバカな政権はなく、これがアフガニスタンだったら(首相)は何十回も暗殺されているだろうとまで言っており、締めくくりとして「憲法に従っても、政権に従い義務はない」と、自身の強い決意を表明しています。

中村医師を左翼や護憲派と言うのは容易いでしょうが、彼はそのような薄っぺらなイデオロギーよりも遥かに重い人生を過ごし、異国の地で誰にも真似できない偉業を達成しています。したかって、これらの一連の主張は彼の人生そのものであり、安倍首相ような薄っぺらな人生を送る者には全く到達不可能な、まさに偉人から発せられた言葉なのです。

「ガラスの心臓(晋三)」と揶揄され、その小心者ぶりは広く世間に知れ渡っています。また、女性議員から突っ込まれたり、教え諭されたりすると激高するといったように、自身のコンプレックスを取り繕うことで精一杯の安倍首相にとって、政権に真正面から立ち向かい、安倍首相の存在そのものを全否定する中村医師の存在に対し、安倍首相の小さなマインドは耐えられなかったに違いありません。

ゆえに、中村医師に対しては、今回のように冷酷な態度に安倍首相は出たものと思われます。
「小心」「コンプレックス」の他、「小さな器」が安倍首相を形容する言葉として加わったようなものです。

中村哲さんに「国民栄誉賞」を!

安倍首相は元大リーガーのイチロー選手と会食し、「国民栄誉賞」の打診をしたと噂されていますが、ものの見事に袖にされました。
今は国民的アイドルグループの『嵐』に色目を使っているようですが、自分の人気取りのためには見境がなくなるところ、安倍首相は実に無様だと思います。

今現在において、国民栄誉賞に値するのは中村医師以外に存在しないものと筆者は考えていますが、いかがでしょうか?
たしかに、『嵐』も国民に夢と希望を与えた点では一定の評価をされるべきと考えますが、中村医師の偉業はそれとは次元が異なるように思われるのです。

今後、安倍首相がどのような立ち振る舞いをするのかは注目です。

今後も中村医師を無視してアイドルに「国民栄誉賞」を授けるのか、あるいは命がけで海外での人道支援に邁進した中村医師に栄誉を手向けるのか?
安倍首相の「器の大きさ」がこれで分かります。

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