Introduction:さすがにこれには仰天しました! 2019年4月、東京都東池袋で車を暴走させ母子2人をひき殺し、9人に重軽傷を負わせた ”上級国民” こと飯塚幸三 被告の初公判が10月8日、東京地裁で始まりました。 飯塚被告は真摯に罪を認めるのかと思いきや、驚くべきことに『何らかの異常のために車が暴走した』と言い、こともあろうに「無罪」を主張したのです。 さすがは上級国民と思わせる飯塚被告のメンタリティーですが、この期に及んでの彼の主張にはどのような狙いが隠されているのでしょうか? |
一貫して罪を認めない飯塚被告
2019年4月19日。東京都豊島区東池袋の東京メトロ東池袋駅付近で、飯塚幸三 被告が運転する自動車が暴走、赤信号を無視して交差点の横断歩道に突っ込むなどして多重衝突時を起こしました。この事故では松永真菜(まつなが まな)さん(32歳)と長女・莉子(りこ)ちゃんが死亡。9人が重軽傷を負う大惨事となりました。
10月8日午前に行われた初公判の罪状認否で、飯塚被告は──
「今回の事故により奥様とお嬢様をなくされた松永様とご親族の皆様に心からお詫び申し上げます。最愛のお二人を突然失った悲しみとご心痛を思うと言葉もございません。また、お怪我をされ苦しまれた方々とご親族の皆様にも深くお詫び申し上げます」
といったように一旦は謝罪の態度を示しましたが、問題はこのあとに続く言葉です。
「起訴状の内容については、アクセルペダルを踏み続けたことはないと記憶しており、暴走したのは車に何らかの異常が生じたため暴走したと思っております。ただ暴走を止められなかったことは悔やまれ、大変申し訳なく思っております」
と延べ、事故の原因は「車の暴走」であり、飯塚被告は「無罪」を主張したのです。
言葉はとても丁寧ですが極めて慇懃無礼と言う他なく、「亡くなった人は可哀想だが、俺は悪くない」と言っているように聞こえてしまいます。
亡くなった松永真菜さんの夫である松永拓也さんは「車の不具合を主張するなら謝ってほしくない」と吐き捨てるようにコメントしましたが、それは全くその通りで、飯塚被告に人を殺したことに対する自責の念があるのか甚だ疑わしいと思われてなりません。
TBSの単独取材では爆弾発言
飯塚被告の一貫した「俺に罪はない、車が悪い」といった姿勢は、何も今に始まったわけではありません。
実は、昨年の11月にTBSが飯塚被告に単独インタビューしており、その際、彼は「安全な車を開発するようにメーカーの方に心がけていただき、高齢者が安心して運転できるような、外出できるような世の中になってほしいと願っています」といった ”爆弾発言” をしているのです(下の動画 ▼)
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飯塚被告に無罪はあり得ない
今回、飯塚被告は「過失運転致死罪」を問われていますが、凄惨な事故の状況を踏まえると「危険運転致死傷罪」を問われても不思議ではないように思われます。
「過失運転致死罪」の刑罰(下記①~③のいずれかが課せられる) ①7年以下の懲役 ②7年以下の禁固 ③100万以下の罰金 |
「危険運転致死傷罪」の刑罰(下記①~②のいずれかが課せられる) ①人を負傷させた場合:15年以下の懲役 ②人を死亡させて場合:1年以上、20年以下の懲役 ※「危険運転致死傷罪」の適用条件 a.進行を制御できない走行 b.制御困難な速度での走行 c.信号無視などの危険運転 d.飲酒や薬物で酔った状態 e.免許証を携帯しない運転 f.あおり運転等の危険運転 |
いずれにしても「無罪」はあり得ないと考えられ、有罪となり「実刑」となるか「執行猶予」となるかが焦点となります。というのも、公判の冒頭陳述で「事故前の車の定期点検ではブレーキやアクセルに異常が見つかっておらず、ブレーキは踏まずに、アクセルを踏んでいた ”記録” が残っている(要するにブレーキとアクセルを踏み間違えた)」と検察が明確に述べているからです。
この検察の発言は、自動車に備えられている「イベント・データ・レコーダー(EDR)」に事故時の記録が残っていることを意味しています。
EDRに関しては今では多くの自動車に採用されており、2017年の時点では新車の9割以上に搭載されています。ちなみに、トヨタ自動車では2000年頃には同じ機能を有する車両が既に販売されており、事故当時、飯塚被告が運転していた『トヨタ プリウス NHW20型』にもEDRが搭載されております。
これにより、事故を起こした時にブレーキを踏んでいたか、あるいはアクセルを踏んでいたか、そしてどのくらいハンドルを切りながら、どの程度の速度を出していたかが判明しているということ。
つまり、飛行機事故では「フライト・レコーダー」を回収して事故の真相に迫るのと同様、自動車事故では「イベント・データ・レコーダー」を回収して事故原因を調査するわけで、今回の事故においては検察が「EDRを解析し事故の状況は把握している」と言っているのです。
飯塚被告は「ブレーキを踏んだが効かなかった。アクセルが戻らなかった」との供述を繰り返していますが、事故当時87歳であった彼の曖昧な記憶よりも、EDRといった機械的な記録の方が遥かに確度が高いことなど、東大工学部卒の工学博士であり工業技術院長であった飯塚被告が一番良く分かっているはずです。
飯塚被告の狙いは何か?
もはや飯塚被告について無罪はあり得ず、「実刑」か「執行猶予」かが焦点となります。しかし、有罪であっても年齢が70歳以上の場合は「 刑事訴訟法第482条 」により刑の執行が停止されるケースもありますが、高齢者でも受け入れ可能な ”上級国民向け” の刑務所が実は存在します。
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そんな飯塚被告は今回の初公判で「無罪」を主張しましたが、そもそも彼の狙いは一体何でしょうか?
それは間違いなく「裁判の引き伸ばし」だと考えられます。
交通事故のような刑事裁判の場合、被告人が最初から罪を認めてしまえば裁判は数ヶ月で結審します。つまり、運転者の過失が争点となるので、被告人がこれを認めれば裁判進行の障壁は特に何もないからです。
しかし、今回のように被告人が「無罪」を主張し、自動車の性能(ブレーキを踏んだのに暴走したといったように──)を争点化した場合、被告人の過失の有無と、自動車の瑕疵の有無を審議してゆかねばなりません。
そのためには目撃者を証人として出廷してもらったり、自動車メーカーから技術者を証人として呼んだりで、裁判は一気に長期化するわけです。
その辺の事情については、弁護士の岡野武志氏がとてもわかり易く解説してくださっています(下の動画 ▼)
飯塚幸三 被告は、長年にわたり高級官僚としての人生を歩んできた人間です。
そのような間違いがあってはならない官僚の世界で、一般国民などとは違って国家を牽引する特別な官僚メンバーの一人だと自負してきた人間が、ひとたび「交通事故で人を殺す」といった間違いを犯した時、彼らは「他責的」になってしまうのでしょう。
つまり、飯塚被告は今でも「自分は間違いは犯していない」と本気で考えているのです。だからこそ「車が暴走した」と言っては罪を自動車に転嫁し、当たり前のように「無罪」を主張するのでしょう。
それでも有罪の可能性があるならば、裁判を長期化させることで自身が有罪となる瞬間を極力先送りしようする。
──それが現在の飯塚被告の姿です。この期に及んで「無罪」を主張し、裁判の長期化を狙うこと自体が「罪」に値すると思われますし、それは極めて不毛な行為と言う他ありません。
彼は人としては成功したかもしれませんが、人間として道を踏み外してしまったことに、未だに気づいていないようです。
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