Introduction:2019年の参院選の投票日を前日に控えた7月20日。
東京新聞の看板記事『こちら特報部』の、挑戦的な記事に眼を引かれました。
最後の「デスクメモ」にもあるように、今この選挙期間中に「れいわ新選組」を取り上げることは、彼らへの ”肩入れ” と受け取られても仕方ありません。
それでも、こうして大きな記事にした東京新聞に、あらためて敬意を表したいと思います。
見出しは『「れいわ現象」本物か?』
「れいわ新選組」に期待する市井の人々の声を紹介し、「れいわ新選組」がここまで支持を拡大してきた背景や、その理由などを分析しています。
有権者は何を考えているのか?
今回の『こちら特報部』は、あらためて有権者一人ひとりの声を浮き彫りにしたと感じます。
つまり、人々は普段から ”薄々と” なにを感じているのか、ということです。
例えば、消費税一つとってもそうです。
テレビや新聞などでは、有識者と称する立派な方が、消費税増税の理由や根拠を、これまた立派な理屈で蝶々していますが、みんな内心では《いい加減にしてくれ!》と思っているのです。
そして、消費税なんて増税どころか、税制を正すことによって、実は必要ないんじゃないかと、薄々感じているわけです。
そんな中に現れたのが「れいわ新選組」代表、山本太郎氏だったりするわけです。
山本氏は明確に「消費税廃止」を訴えています。そして、廃止できる根拠をしっかりと提示しているわけです。この瞬間、山本太郎氏は有権者の心の声の代弁者となりました。
生活が苦しい、生活に不安を抱えている、だから消費税を廃止して欲しい。
そう願う人々は、ある種の疎外感を少なからず感じていますし、自分は取り残された人間であるといったような不安や劣等感に少なからず苛まれています。
彼らは、勝ち組と言われる1%には到底なれない、底辺に位置する残り99%の ”負け組” であると、いつの間にか刷り込まれてしまっています。
「いや、あなたはそうではない。あなたが行動することで政治が変わり、あなたの生活も変わる」と明確に説いたのが山本太郎氏でした。他の政治家と違って、今や山本氏とその支持者は完全に一体です。
「れいわ新選組」が躍進した外的要因
前回、2017年10月の衆院選では、”排除” 発言により選挙戦の主役と目されていた小池百合子氏が失速。そのため小池氏率いる当時の「希望の党」も選挙で大敗を喫してしまいました。
代わりに55議席を確保し、野党第一党に躍り出たのが、枝野幸男氏率いる「立憲民主党」です。以後、立憲民主党は日本のリベラル層の受け皿になると期待されてきましたが、ここにきて人気に陰りが出ています。
東京新聞『こちら特報部』に目を通すと、今回の「れいわ新選組」に躍進については、いくつかの外的要因があることに気づかされます。
立憲民主党への失望感
有権者の中には「連合」とは関係のない人が多くいるのにも関わらず、立憲民主党は(かつての ”民主党” がそうだったように)「連合」の顔色ばかり窺っている。結局のところ、組織に縛られた政党でしかないのでは、という失望感が立憲民主党には蔓延しています。
また、野党を束ねるリーダーとして期待された割には、野党共闘に消極的であることも、人々の心が離れる原因となっています。
左右のイデオロギーなど時代遅れ
「右翼」や「左翼」、「保守」や「リベラル」といった左右のイデオロギーなど、今どきの日本において有効なのでしょうか?
現在、国民の大多数は自分の生活のことで手一杯です。
求められているのは左右の思想ではなく、「エリートと普通の人々」の格差。先ほど指摘した ”上位1%と残り99%” の格差問題の解消です。
残り99%の代弁者が不在の中、そこに登場したのが「れいわ新選組」の山本太郎氏なのです。
SNSで支持層を拡大
Video by : れいわ新選組
『#新宿センキョ 開催!7/20(土)16時~ @東京・新宿駅西口小田急デパート前 山本太郎(全国比例)&れいわ新選組候補者街宣! 参院選』
その他にも、「れいわ新選組」では、自分ではなく他者の利益のために力を尽くす「利他主義」といった特徴が挙げられます。
既に報じられているように、山本氏は「特定枠」を活用し、自分の上位に2名の候補者を擁立しています。
この2名が当選しないと自分も当選しないといった ”背水の陣” を敷くことで、”自分のための選挙ではない” ということを内外にアピールし、支持層を拡大してきました。
また、SNSの活用も見逃せません。
特に今回は YouTube を始めとする「動画」が大きな役割を果たしたのではないでしょうか。
「れいわ新選組」の演説会にや街頭演説に参集した方々は、口々に YouTube や Twitter の動画がきっかけだったと言います。
これは、Twitter 上でリツイートされている回数が、他党と比較し「れいわ新選組」が断トツに多いといった数字にも表れています。
SNSは、今やどの党でも活用していますが、最も活発に活用し、幅広い層にわたってネット選挙を展開しているのは、「れいわ新選組」であることに間違いはないでしょう。
盛り上がりに欠けると言われている今回の参院選ですが、唯一、異彩を放つ「れいわ新選組」。
彼らの動向に最後まで目が離せません。
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