日本経済を粉飾する安倍首相 ~GDP年率6.3%減でも「緩やかに回復」

経済

Introduction:一つの予言をします。安倍首相は、目の前に迫った未曽有の景気後退を ”新型コロナウイルス” のせいにするはずです。

一つには彼の人間性がアベノミクスの失敗を認めないだろうと考えられるからですが、事態がパンデミック化すれば誰であっても打つ手がなくなるからです。

それほど日本経済は崖っぷちに立たされているのですが、こともあろうに安倍首相は「景気は緩やかに回復」していると言ったとか。

もはや呆れて開いた口が塞がらないのですが、ここまでくると企業に例えるなら「粉飾決済」しているようなもの。それに加え、野党の体たらくも目に余ります。

GDP年率6.3%減の衝撃はアベノミクスの失敗を象徴している

これは安倍政権による経済政策、「アベノミクス」の完全なる失敗です。

2019年10月~12月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動を除いた実質で前期比の「1.6%減」、この状態が1年続いた場合の年率換算は「6.3%減」にもなることが、2月17日に内閣府から発表された調査で分かったというのです。

”失われた30年” とも言われる世界に類のないデフレ・スパイラル。このような長期にわたりデフレが続いた国など、世界の歴史を紐解いても実は日本しかないことは安倍首相でさえ認める ”事実” です。にもかかわらず、安倍首相は在任中に2度も消費税を増税しました。

アベノミクスの「第一の矢」は、なかなか興味深い金融緩和政策(インフレターゲット)でしたが、「第二の矢」の財政出動政策が実に中途半端で、しかも、安倍政権による2度にわたる消費税増税のおかげで財政出動の効果が完全にかき消されてしまいました。

下のグラフに注目してください。
このグラフの頂点は何年でしょうか?
──そうです、2014年です。

まさに、この2014年4月から施行された消費税増税(5% ⇒ 8%)こそが、アベノミクス効果を抹殺し、人々の消費マインドに止めを刺したのです。

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 『アベノミクス大失敗! 日本が沈没するエビデンスが突き付けられた!』

今回の「GDP年率6.3%減」の原因について、西村康稔・経済財政相は「台風の影響や暖冬、さらには天皇陛下の誕生日や土日の関係で祝日が2日少なかった」などと寝ぼけたことを言っていますが、非常に誤った認識です。

原因は明らかに「消費税増税」です。

日本は1997年以来、全く成長しておりません。
主要国の賃金は軒並み右肩上がりを続ける中で、日本だけが緩やかに下がっています。しかも、企業の生産性も一向に改善が見られず、もちろんデフレ・スパイラルからも全く脱しておりません。

Photo by : OECD(経済協力開発機構)「 実質賃金指数の推移の国際比較 」

日銀も異次元緩和の追加導入、さらにはマイナス金利を導入したにもかかわらず全く効果が現れない。つまり「アベノミクス」の失敗であるのは明らかな中での昨年10月に実施された二度目の消費税増税(8% ⇒ 10%)です。これでGDPが下がらないはずがないのです。

現在の日本の状態からすれば「GDP年率6.3%減」で留まっているのは、むしろ ”奇跡” なぐらいです。

野党が経済政策に切り込まないワケ

今後、日本経済は明らかに景気後退(リセッション)してゆくであろうことが確実視される中、驚いたことに安倍首相は、20日行われた2月の月例経済報告会の席上で「景気は緩やかに後退している」との認識を示したのです。

安倍首相は、先に述べた2014年の景気後退を意図的に無視しているように見えます。そして、日本経済は堅調で「いざなき景気を超えた」などと得意の嘘を撒き散らしています。しかも、このニュースサイトでも度々取り上げていますが、安倍首相は絶対に誤りを認めない性格であるために、今後も景気対策は行わないと考えられます(対策を行うと、これまでの嘘を認めることになるからです)

極めて悲劇的な状況ですが、消費税を初めとする経済政策については、本来は野党がもっと厳しく追及しなければなりません。

「立憲パートナーズ」を前に思いを語る枝野幸男代表。枝野氏は「私が総理ならば消費税はこれ以上は上げない」と約束したのだが・・・
(画像:立憲民主党のHP

2月16日に開催された立憲民主党の党大会「立憲フェス」では、1200人もの一般の支援者が「立憲パートナーズ」として参加しましたが、やはり消費税について「れいわ新選組は5%に戻すと言っているが、立憲としてはどのように考えているか?」といった質問が飛び出しました。

これに対する枝野代表の回答がふるっています。
「消費税を上げれば消費にマイナスの影響を与えるのは確かだが、下げたら消費にプラスの影響を与えるかというと、必ずしもそうではない」

立憲民主党の代表がこのような回答を続ける限り、「とても野党には経済は任せられないな」といった印象を有権者は持つでしょう。このような煮え切らない姿勢が、安倍政権の長期化を許す一つの原因にもなっています。

実はそれもそのはずで、立憲民主党に関しては決して財務省の緊縮財政に反対しているわけではなく(むしろ推進する立場)、新自由主義といった経済のグローバル化についても賛成しているからです。そして、そのような立憲民主党の立場をよく認識しておらず、誤解している ”市民派” の支持者が大変多いのには驚かされます。

さて、日本は東京五輪に向け、経済がさらに落ち込むといった想定外の事象が起こると考えられます。安倍首相は第二次政権発足直後に「デフレからの脱却」を声高に叫び、現在も相変わらず「デフレからの脱却」を唱えています。

現在の景気後退はこの ”アベノミクスの失敗” に因るものなのですが、安倍首相はそれを新型コロナウイルスのせいにして政権延命を図れるだろうことは、実に悪運だけは強い首相と言えるでしょう。

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