GDP 27.8%減↓の衝撃はアベノミクスの失敗から始まった!

経済

Introduction:「GDP 年27.8%減」は確かに衝撃でした。そして残念ながら、コロナが終息しても日本経済は復活しないかもしれません。

私たちは ”アベノミクスの失敗” があったことを忘れるべきではありません。

アベノミクスの失敗を総括せず、これまで通りの経済政策を続ける限り、日本経済が日の目を見ることはありません。

端的に言って、日本は近い将来「経済大国」から転落するでしょう。

景気後退!GDP27.8減の衝撃!

これは衝撃的な数値です。
内閣府が8月17日に発表した「2020年4~6月期」の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動を除いた実質で前期比「7.8%減」となり、この状態が1年続いた場合の年率換算では実に「27.8%減」にもなることが分かりました。

この数値はリーマン・ショック後の「2009年1~3月期」の年率「17.8%減」を大きく超えるもので、報道各社は戦後最悪のマイナス成長であることを伝えています。しかし、さらに踏み込んで言えば、戦争などの有事の際を除き、統計的な記録が残っている日本の歴史上最悪な景気落ち込みと考えられます。

この状況からは、なぜ政権が決して緊急事態宣言を再発令しないのかも窺い知ることができます。緊急事態宣言により外食・娯楽産業が大きく落ち込み、自動車などの売り上げも大きく減るといったように、「内需が大打撃を受けた」と政権が考えているからです(もちろん、輸出も急減したことで外需も崩壊しています)

よって、政権は『GO TO キャンペーン』といった無理筋な経済対策を今後も続けるでしょうし、緊急事態宣言もかなり悲劇的なことが起きない限り、再発令はしないものと考えられます。

さて、ここで重要なのは、日本での今回の歴史的な景気落ち込みは何も新型コロナだけが原因ではないということです。時計の針を昨年の終わりごろに戻し、当時を振り返ってみましょう。

2019年10~12月期

◆ 関連記事 ◆
 『日本経済を粉飾する安倍首相 ~GDP年率6.3%減でも「緩やかに回復」』

上の記事にもあるように、「2019年10~12月期」の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動を除いた実質で前期比の「1.6%減」、この状態が1年続いた場合の年率換算は「6.3%減」にまで落ち込んでいます。

これは何と言っても2019年10月に施行された「消費税増税」(8% ⇒ 10%)の影響が大きかったと言う他なく、安倍政権による経済政策「アベノミクス」の完全なる失敗とみなすことができます。

2019年10~12月期 GDP改定値

この「2019年10~12月期」については、さらに状況が芳しくなかったことが判明します。その後発表された改定値によれば、物価変動を除いた実質で「1.8%減」、年率換算は「7.1%減」に下方修正されてしまったのです。

平時において、これはあってはならない実に厳しい結果です。

2020年1~3月期

その次の四半期「2020年1~3月期」については既に改定値が出ています。
物価変動を除いた実質で前期比の「0.6%減」、年率換算では「2.2%減」といった数値に収まったことから、前期の反動により経済状況が若干持ち直したことが分かります。

しかし、その後に起きたのが、今回の年率換算「27.8%減」という衝撃的な景気後退です。つまり、日本の景気後退は ”アベノミクス” の失敗がまず前提として起こり、その後の新型コロナ禍により追い打ちをかけられた格好になっているのです。

景気は今後どのように推移するのか?

2020年の「4~6月期」が壮絶だっただけに、「7~9月期」は反動でプラスに転じるだろうと多くのエコノミストが予測しています。しかし、国内の新型コロナの感染は「第2波」となって増加傾向に歯止めが掛からないことから、経済の回復は限定的となるでしょう。

また、GDPを金額ベースで見てみると「2020年1~3月期」の実質GDPは「526兆円」あったことが分かっています。しかし、今回の「2020年4~6月期」では「41兆円」下落し、実質GDPは「485兆円」にまで落ち込んでいます。

【参考】
・GDP:国内で生産されたモノやサービスの付加価値を表す「国内総生産」
・実質GDP:「国内総生産(GDP)」から物価の変動による影響を取り除き、その年に生産された財の本当の価値を算出したもの

この失った「41兆円」のうち、次の「7~9月期」に取り戻せるのは、せいぜい3~4割程度といった見方もありますし、さらにこの「7~9月期」については、消費税増税前の昨年の「7~9月期」の水準に戻るまで「3~4年はかかる」と予想するエコノミストもいます。

日本経済は復活するのか!?

「GDP 27.8%減」については、『日本経済新聞』がエコノミスト22人の予測に関する興味深い記事を掲載しています。

日本経済が復活するのはいつか?
つまり、コロナ前の水準に経済が回復するのはいつか?

民間のエコノミスト22人にこの問いを投げかけたところ、最も多かった9人の回答が「2024年」でした。回復までに約4年を要するというのです。

◆ 出典記事 ◆
 『コロナ前GDP回復、「24年」最多 民間エコノミスト予測』

 ~ 2020.08.17 日本経済新聞 ~

この調査で特徴的なのは、2021年に経済が回復すると予測した者は一人もおらず、半数以上は2024年以降になるだろうと予測している点です。それほどコロナ禍による経済の打撃は深刻であるということです。

安倍政権は今回の「4~6月期」に経済が底を打ったと見ており、今後はプラスに転じるだろうと考えているようですが、いかにこれが甘い見通しであるか、ここからも窺い知ることができます。

さらに、安倍政権が ”アベノミクスの失敗” を総括していないのも大きな問題です。

冒頭でも触れたように、日本の経済の失速はアベノミクスの失敗に端を発しています。「2019年10~12月期」の国内総生産(GDP)の年率換算が「7.1%減」といったように、平時において未曽有の経済減速を記録しているのです。

つまり、日本の経済は仮にコロナ禍がなかったとしても、大きく後退していった可能性が高いということです。したがって、現政権のような経済政策を続ける限り、日本の経済復活は上記のエコノミストらが予測する以上に ”後倒し” になるはずなのです。

金額ベースのGDPは前述のように「2020年1~3月期」で「485兆円」まで落ち込みました。実は500兆円を割るのは7年半ぶりで、これは2012年末の第2次安倍政権が発足する直前の水準なのです。

──まるで神からの啓示を授かったかのようです。
これの意味するところは明白です。アベノミクスは失敗し、新型コロナの影響もあり、日本経済は ”元の木阿弥” になってしまったということです。

日本経済は私たちの想定を裏切り、今後は長期的に低迷トレンドで推移してゆくかもしれません。それはすなわち「経済大国」からの転落を意味しています。

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