有害な男らしさ( toxic masculinity )を持つと言われた
先日、筆者は次のようなツイートをしました。
最近話題となっている「KuToo」( 職場でのヒールやパンプスの義務づけに異議を唱えるAction)についてです。
そして、大いにひんしゅくを買いました。
すべてのフェミニズムがそうだと言うつもりは毛頭ありませんが、一部の「KuToo」アクティビスト、あるいは支持者については、とても残念だと思わざるを得ません。
つまり、Twitterで少しでも苦言を呈すると、”上から目線( マンスプレイニング )”な奴とレッテル張りをされ、ついには「黙ってろ」と命令してくる輩も出てきてしまうのです。
そして、挙句の果てには、「有害な男らしさ( toxic masculinity )」特有の固定観念など捨てろとまで言われる始末です。つまり、いわゆる ”マッチョニズム” の権化のように見なされてしまったわけですね。
「KuToo」に好意的だったのにもかかわらず、苦言を呈しただけで ”敵” のような扱いを受けるのです。
このように、日本のフェミニストの中には、異なる意見を排除しようとする歪な純血主義が蔓延っているようにも思われますし、その排除の仕方も極めてステレオタイプ的な反応(マンスプレイニング、マッチョニズム、マウンティングなどもそうかもしれない)に集約されるわけです。
有害な男らしさを持つ ”女性議員”
Video by:三原じゅん子チャンネル
【公式】参議院議員三原じゅん子 安倍内閣総理大臣問責決議案 反対討論
6月24日、自民党の三原じゅん子 参議院議員によって行われた安倍総理問責決議案反対討論は、「野党よ、恥を知れ!」の言葉が瞬く間に全国に伝播し、今でも賛否両論が渦巻いています。
筆者はこの光景を目にしたとき、
まさに「 有害な男らしさ」ここにあり! と思った次第です。
威圧的な態度。
恫喝とも受け取れる発言。
何かを憎み蔑むような目つきから叩きつけられる言葉の数々は、正直に申し上げると、とても彼女が「女性」とは思えませんでした。
自民党はなぜかこのような ”マッチョ” で ”有害な男らしさ” を持つ女性議員が多いように見受けられます。
停波をちらつかせてメディアに圧力を掛けた「高市早苗氏」しかり、国を護るためには血を流せと堂々主張する「稲田朋美氏」しかり。
そして今回の「野党よ恥を知れ!」の「三原じゅん子氏」といったところです。
メリル・ストリープがいない日本の不幸
Video by : Kimie Kanno
(日本語字幕)「メリルストリープがトランプを批判 Meryl Streep Speech The Golden Globes 2017」
「しかし、この1年で、 驚愕 させられる演技がありました。私にはその針が深く刺さっています。それがいい演技だったわけではない。ぜんぜん良くないのに、効果 覿面、狙った客たちを受けさせました」
「この国で一番尊敬される立場にまもなく就任する人物が、体に障がいを持つ記者のまねをした時のことです」
「人を侮蔑する言動が、表舞台に立つ権力者によって行なわれるなら、広く蔓延し、お墨付きを与えてしまうことになります。軽蔑は軽蔑、暴力は暴力を誘います。強者が他者をその権力を使って虐げる時、我々全員が敗北するのです」
少々正確ではないところもあるけど、ニュアンスは壊していないと思う。これが、おそらく全米で生中継された。
大統領選挙期間中に行われたらトランプの勝利の目はなかったとも思われる強烈なメッセージだ。
<中略>
日本には、メリル・ストリープがいない。彼女のような力強い発言を、権力者に対してぶつけることができるスターがいない。
よしんばいたとしても、黙殺されてしまうことが多い。
そういう意味で、アメリカのアーティストにはこういう機会が与えられることは羨ましいところである。彼女のみならず、ロバート・デ・ニーロやジョージ・クルーニー、リチャード・ギアなど、自身の信条に基づく政治的な発言をする俳優は多い。彼らは、現役で大作の主演を張る人たちだ。
~松尾貴史『違和感のススメ』(毎日新聞出版)~
俳優の松尾貴史氏による『違和感のススメ』(毎日新聞出版)は、政治、社会、メディアといった ”ある種の権威” に対する、松尾氏の懐疑的思考、批判的思考の痕跡、集大成です。
その「メリル・ストリープがいない日本の不幸」の章の中で、松尾氏はゴールデングローブ賞授賞式で行われた、女優メリル・ストリープのスピーチを取り上げています。
この彼女のスピーチは世界中で大きな反響を呼び、日本のメディアでも大きく取り上げられました。ウィットに富み、そして大切な部分は真摯に語り掛ける熱い口調は、人々に深い感動を与えました。
松尾氏が評するように、「大統領選挙期間中に行われたらトランプの勝利の目はなかった」かもしれません。それほどのインパクトのあったスピーチです。
実際、アメリカでは大物俳優が、自由闊達に自身の政治的見解を表明する様をよく耳にします。
ジョージ・クルーニーなどはオバマの大統領選のために、自宅を開放して支援者のためのパーティーを開催したこともあるほどです。
翻って、日本はどうでしょう?
日本の女優をはじめとする芸能人は、基本的に政治的発言は御法度とされています。政治的色が付くのを嫌うのか、理由はまったく定かではありませんが、最近では沖縄辺野古基地に反対した、タレントのローラが大バッシングを浴びました。
芸能人であっても、自由に政治的発言ができない日本はあまりに不幸です(そのくせ、政権寄りの発言だとなぜかバッシングは起きないのですが・・・)
一方で日本の政治家は(特に自民党などは)タレントや女優を候補者として担ぎ上げ、政治家に仕立て上げています。
今回取り上げた三原じゅん子氏も、まるで政治に無知で関心もなかったであろうにも関わらず、今では ”立派な” 政治家として壇上から威圧的な態度で、恫喝とも受け取れる発言を、憎み蔑む目つきで叩きつけるようになりました。
なるほど、メリル・ストリープがいない日本は不幸です。同じ女優出身として三原じゅん子氏もメリル・ストリープの爪の垢でも煎じて飲んでみてはいかがでしょうか。
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