Introduction:新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための法案「改正新型インフルエンザ対策特別措置法」が、3月13日に成立しました。

安倍首相は「現時点は緊急事態宣言を出すような状態ではない」と余裕の構えを見せていますが、どうでしょう?

これが4月末頃にはいよいよ五輪中止が決定的となり、5月末頃には正式に五輪中止が決定されたとします。その頃、日本国内では検査をせずとも感染者が蔓延していることが明白となり、感染者の粉飾も不可能になっていることでしょう。

そんな時に安倍首相が慌てて「緊急事態宣言」を発令したとしても、何もかもが手遅れなのです。結局、日本は何をやっても常に物事が後手後手であるように思われます。 

「緊急事態宣言」付帯決議に意味などない

改正新型インフルエンザ対策特別措置法、通称『新型コロナ特措法』は、審議入りからわずか3日間の3月13日にスピード成立し、翌日14日から施行されています。この法案では、急速な感染拡大が認められ首相の「緊急事態宣言」の発令により、各都道府県知事の行政権を強めることが可能となります。

具体的には「外出の自粛要請」「映画館や運動施設の使用停止要請」「医薬品の強制収用件」「医療施設のための土地や建物の強制使用権」などです。

まさに私権の制限が危惧されるわけですが、新型コロナ特措法担当大臣を兼務すす西村経済再生相は「宣言が出された場合、必要最低限の措置となるよう適切に運用する」「対処方針の策定に際しては専門家の意見を尊重する」「人権を尊重し私権制限は必要最小限とする」と答弁しましたが、果たしてどうでしょうか?

”専門家の意見” と言ってみたとて、安倍政権の場合、いわゆる ”御用専門家” しか招聘しないのは今や皆が知るところです。例えば、感染症の専門家で構成される「諮問委員会」に、該当事例が緊急事態に当てはまるかどうかを諮問した場合、間違いなく政権が想定した通りの都合の良い回答が返ってくるでしょう。

また、緊急事態宣言の前には「やむを得ない場合を除き、国会へ事前報告する」といった25項目の「付帯決議」を採択したことについて、野党などは一つの成果として胸を張っているようですが、これは明らかに彼らの詭弁です。

「国会の事前承認」であれば、緊急事態宣言を適性にコントロールするのは可能だと考えられます。しかし、現実は事前承認ではなく「国会への事前報告」に過ぎず、”やむを得ない場合を除き” とあるように、実際の運用において自民党は「今回はやむを得なかったので、国会に事前報告できなかった」と言い出すのは、これまでの乱暴極まる国会運営から見ても明らかです。

しかも、「付帯決議」については、あくまで法案に対する意見や希望を記したものに過ぎず法的拘束力はありません。自民党の議員にしてみれば、付帯決議などはおそらく「傍論」程度にしか映っていないでしょう。

ヒトラーの反省に基づくドイツとヒトラーを利用する日本

緊急事態宣言の発令に際し、国会の「事前承認」が必要である事と「事前報告」で構わない事とでは、意味合いにおいて雲泥の差があります。
つまり、宣言の主体が「国会」なのか「首相」なのか、ということです。

緊急事態宣言に対し国会への「事前報告」を認めるということは、宣言の主体を「首相」で構わないと認めたことになります。これまでの立ち振る舞いを見れば、そのような権限を安倍首相に与えて良いはずがないことは明白です。

ちなみにですが、第二次世界大戦前にドイツで制定された「ワイマール憲法」にも、緊急事態条項が盛り込まれていました。

国家が緊急事態に陥った際、政治指導者は公共と安全の秩序回復のために必要な措置を採ることができるという内容です。つまり、国家の緊急事態にあっては政治指導者は何でもできてしまうことになるのですが、これを利用・悪用・乱用し独裁体制を確立したのが「ヒトラー」であることは今では広く知られています。

そして、現在の「ドイツ憲法(ドイツ連邦共和国基本法)」にも緊急事態条項は存在していますが、発令に際しては「連邦議会が連邦議会議員の過半数かつ投票の3分の2の多数の同意を必要とする」といったように、議会の「事前承認」を必要とし、範囲も「防衛事態」に限定されていることが大きな特徴です。

今回の「新型コロナ特措法」における「緊急事態宣言」は、明らかに憲法へ緊急事態条項を盛りこむために ”地ならし” ということで間違いないでしょう。というのも、2012年4月に発表された自民党による改憲草案にも緊急事態条項は盛り込前れており、当然のことながら宣言の主体が「首相」となっているからです。

しかも、緊急事態の定義自体が「外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、大規模自然災害その他の法律で定める緊急事態」といったように極めて曖昧です。特に「内乱等による社会秩序の混乱」「その他の法律で定める緊急事態」といった文言は、ドイツ憲法が範囲を「防衛事態」に限定していることとは対照的に、解釈が無限に広がってしまうことを許容するものです。

安倍政権は過去に南スーダンPKOで発生した事態を「戦闘ではなく衝突」と解釈したり、最近では検事長の定年問題で法の曲解を行ったことでも分かるように、安倍首相に「緊急事態」云々といったフリーハンドを与えるのは極めて危険、子供にピストルを与えるようなものです。

安倍政権はもとより野党も共犯者である

とはいえ、オリンピック開催に固執している安倍首相は、さすがにこのタイミングでは「緊急事態宣言」は出せないと考えられます。それでも安倍首相がどのように期待しようとも、現状を考えれば到底オリンピックの開催など今となっては絵空事です。

そして、オリンピックが正式に中止となった5月末頃に、安倍首相は慌てふためくようにして「緊急事態宣言」を発令するでしょう。これは恐ろしいシナリオです。なぜなら、検査数を抑え込んできた反動として、その時点では日本国内での感染が爆発的に広がっており、感染者数の粉飾はおろか、もはや手の施しようがなくなっているからです。医療機関の機能も破綻していると考えられます。

つまり──
【過去に起こった事】
 安倍首相は、習近平の来日を意識するあまり、新型コロナウイルスの初動対応に遅れを生じさせた(中国からの渡航禁止の遅れなど)
【現在起こってる事】
 安倍首相は、オリンピックを開催させたいあまり、感染の検査数を意図的に抑え込んでいる(海外と比較して日本の感染者は少なく見えている)
【未来に起こる事】
 安倍首相は、早急に緊急事態宣言を発令すべきところを、オリンピック中止が正式に決まるまで傍観する(その時には全てが手遅れになっている)

新型コロナウイルスの脅威に対する安倍首相の行動は極めてシンプルです。
上述したように、安倍首相は政治判断(習近平対日)や利害関係(オリンピック開催)しか眼中になく、日本国民の命を守るといった大命題を完全に忘れているということです(忘れているというよりも、そもそも意識していないのかもしれませんが・・・)

そういった、意図的とも言える不作為により、近い未来に起こることは「多くの日本人が手遅れによって死んでしまう」という図式です。おそらく死者の大部分は老人だと思われますが、安倍首相としては「老人だから、まあいいや」とでも思っているのでしょうか?

今回、野党は「国会の事前報告」を付帯決議に採択することで安倍首相の土俵に完全に乗っかってしまった形になりました。つまり、野党は緊急事態宣言の主体を首相であることを認めてしまったわけで、近い将来い何かあった時、「あの時、野党は首相が宣言することを認めたじゃないか!」と、逆に安倍首相に突っ込まれることになります。

新型コロナ特措法とは、まさに安倍首相を増長させる野党の政治的敗北であり、今回この法案に賛成した野党各党は、日本人を犠牲にする ”共犯者” 以外の何物でもありません。

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