北方領土問題が絶対に解決しないたった一つの理由 ~安倍首相の責任を問う!

Introduction:北方領土問題は ”終わり” ました。それは「絶対に解決しないことが確定した」という意味において終焉を迎えたのです。

日本のメディアはこの大事件について意図的に抑制していると思われるので、今回あらためて取り上げます。

7月になってロシアでは大きな社会的変革が起こり、実質的にプーチン大統領の終身大統領が確定しました。そして、日本にとって見過ごすことができないのは、北方領土問題も絶対に解決しないことが確定したということです。

これは紛れもなく安倍政権による「外国敗北」です。安倍首相はこの責任をそのように受け止めているのでしょうか?

ロシアで憲法改正をめぐる国民投票が行われた!

ロシアでは7月1日、憲法改正をめぐる国民投票が実施され、投票率「65%」の内、「77.9%」がこれに賛成しました。

改正案には大統領の立候補要件の緩和が盛り込まれており、これによりプーチン大統領が「84歳」になる2036年まで大統領であり続けることが可能になりました。言わば、プーチン ”終身” 大統領が確定した瞬間でもあります。

今回の憲法改正点は200以上に及んでいます。そして、実施された国民投票が極めて独善的だと言えるのは、本来であれば改正項目ごとに是非を問うべきところを、200以上の改正を一括して承認する・しないを問う形式にしたことです。

当然、ロシア国内でも批判はありましたが、プーチン大統領はこれを強行し、あらためて独裁ぶりを印象付ける結果となりました。

ちなみに、期日前投票を含め、7日間にわたって行われた国民投票には独立した監視機関も設置されず、民間の選挙監視団体には2000件以上もの不正が報告されていたにも拘わらず、結果的にこれらは黙殺された格好になっています。

北方領土問題に止めを刺された!

ロシアのクナシル(国後)島のユジノクリリスクに、ロシア憲法の改正条項の文言が刻まれた石碑が設置された。サハリン州政府が2日、これについてのプレスリリースを発表した。
Photo by :SPUTNIK「クリル諸島 国境不可侵の改憲条項を刻んだ石碑が設置」

日本にとってロシアの憲法改正で最も重要な点は、何と言っても「北方領土問題」となります。

結論から言えば、今回の改正により『領土の割譲やそれを呼びかける行為は認められない』といった領土割譲を禁止する条項が新たに盛り込まれ、これこそが北方領土問題が絶対に解決しないたった一つの理由となります。

つまり、今後日本がいくら交渉を持ち掛けても、ロシア側は「もはや領土の割譲ができないのは憲法にも書き込まれている」として、間違いなく日本の要求を突っぱねることは確実となります。これで北方領土問題は止めを刺されたも同然、「北方領土問題」は終わってしまったのです。

北方領土については今年の6月、プーチン大統領が「クリル諸島などの祖国は家族であり、家だ」として、北方領土を含む千島列島全域がロシア領であることを強調し、国営テレビも「憲法が国境をしっかり守る」と、憲法改正への支持を呼び掛けています。

国境線の除外規定は全く無意味だ!

その一方で、「近隣諸国との国境線の画定や再画定については除外する」といった条項も同時に盛り込まれていることから、日本のメディアは「ロシア側としても日本との北方領土交渉を続ける意思は残している」といったように実にナイーブで楽観的な報道をしていますが、この認識は完全に誤りです。

この除外規定については7月16日、ロシアのマリア・ザハロワ外務省報道官がロシア外務省の主催するブリーフィングの場で明確に述べています。

【質問】
1956年の日ソ共同宣言第9条で、ソ連は日本に歯舞・色丹諸島を引渡すこと。これら諸島の日本への引き渡しは、ソ連と日本との間で平和条約が締結された後に行われることが記されています。
先日、国民投票で承認され正式に導入された憲法改正項目のなかには、隣接する国家との間でのロシアの国境画定を除き、ロシア領土の分割を目的とする行為を禁止する項目があります。
これらの例外は、1956年日ソ共同宣言に適用されるものか否か、お聞かせください。
【回答】
まず、国境画定は日本との平和条約交渉に何ら関係がないという点を申し上げておきます。
日本との対話では、我々は常に国境が不可分であることを前提に、日本が第二次世界大戦の結果を、南クリル諸島がロシア連保に法的に所属することを含め、完全に受け入れる必要性があると強調しています。
この点においては何ら変更はなく、その可能性もありません。──単純に、今となってはこの概念がロシア連邦憲法にはっきりと反映されているのですから。
交渉の目的は、このような単に平和条約というよりも幅広くなるであろう、根本的な文書を締結することだと認識しています。つまり、両国の関係を質的に新しい段階に引き上げるための、強靭で近代的な法的根拠となりうる平和、友情、善隣関係、協力に関する条約だということです。
出典:ロシア連邦外務省 ”Брифинг официального представителя МИД России М.В.Захаровой, Москва, 16 июля 2020 года(2020年7月16日、モスクワのロシア外務省マリア・V・ザハロワ スポークスマンによるブリーフィング)”

つまり、ロシアとしては「北方領土は分割など不可能であり、北方領土は法的にもロシアものであるという第2次大戦の結果を日本は認める必要がある。そして、今となってはロシア憲法にもこのことは明示されている」と言っているのです。
さらに、返す刀で北方領土が日本に返還される「可能性もない」と、ご丁寧にダメ出しまでしています。

ここで分かるのは、日本のメディアが期待する「近隣諸国との国境線の画定や再画定については除外する」といった規定は、ロシアが日本と北方領土をめぐる領土交渉をすること自体は ”違憲ではない” といった程度の意味しか持たないということ。

また、国境画定と平和条約について最初に関連性を否定し、最後に「強靭で近代的な法的根拠となりうる平和、友情、善隣関係、協力に関する条約」といったように日ソ共同宣言を定義していることから、ロシアは日本が想定している以上にロシアにとって有利な条件で平和条約締結を狙っていることは、ほぼ間違いないと考えられます。そして、この事と北方領土問題は完全に別問題としてロシアは扱うと言っているのです(そしてロシアは北方領土を返還するつもりは全くありません)

安倍首相は責任を ”痛感” するだけ?

これは明らかに日本の「外交敗北」となります。

安倍政権は、北方領土について耳ざわりの良い言説をこれまで繰り返してきました。しかも、経済協力と称してロシア政府やロシアの企業が進めるエネルギー開発、医療分野を中心に、3000億円とも言われる資金を投入してきました。

すなわち、安倍首相はプーチン大統領のご機嫌取りのために日本の民間企業をも巻き込み、多額の金をロシアに貢いでしまったのですが、その結果はロシアの憲法改正での『領土の割譲やそれを呼びかける行為は認められない』とする、日本にとっては最も過酷で悲劇的な結末でした。

安倍首相がやったことは北方領土問題を進展させるどころか、”無限後退” に陥れたことです。一体彼はこの責任をどのようにして取るつもりでいるのか?
また例のごとく「責任のすべては私にあります」と言うだけで一切の説明責任を放棄し、逃げ回るだけなのでしょうか?

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