石破茂 首相待望論 ~次期首相が石破茂であるべきたった一つの理由

国内政治

Introduction:党内では人望も薄く、噛んで含めるような話しぶりといい、政治家というよりも評論家と評される理屈屋。
そんな石破茂氏ですが、最近になって最も首相にふさわしいといった調査結果が出たことで、にわかに注目を集めています。
果たして石破茂が首相となる日は来るのか?
彼は尊敬する故・田中角栄氏の言葉を引用し、首相になれるかは「天命」であると言います。
石破氏に天命が授かるかは不明ですが、少なくとも首相となるべき「理由」は存在します。

「ポスト安倍」石破茂がトップに!

7月に行われた日本経済新聞社の世論調査では、最も首相にふさわしい人として石破茂氏が初めて安倍首相を抜いて首位となりました。

1位石破茂26%
2位安倍晋三21%
3位小泉進次郎17%
4位河野太郎14%
5位岸田文雄7%
6位菅義偉4%
7位茂木敏允2%

ちなみに、3位の小泉進次郎氏については単なる人気投票以上の意味はなく、当面は首相の芽はありませんし、4位の河野太郎氏については昨今のイージス・アショア問題で注目を帯びたことでの一時的に人気が出たケースなので考慮するに値しないでしょう。残り5位以下は目下のところ問題外です。

自民党内では人望も薄く、噛んで含めるような話しぶりといい、政治家というよりも評論家と評される理屈屋ですが、その一方、なぜゆえに世論調査では石破氏を望む声が多いのか?

これはむしろ、安倍首相の方にこそ問題があるのではないでしょうか? 気になるのは安倍首相の「言葉」です。

森友・加計疑惑、そして桜疑惑では説明責任を放棄してはぐらかし、河井克行・案里夫妻に象徴される閣僚の不祥事に対しては、責任を痛感すると幾度となく言いつつも責任を取った試しがない。

さらに昨今のコロナ禍においての記者会見では、プロンプターに映し出された ”官僚作文” を読み上げるだけで言葉はまるで国民の心に響くことがない。挙句の果てには、自粛もせずフラフラ会食や旅行を楽しんでいる昭恵夫人の醜態ぶりを国会で追及されると、ムキになってかばい続けている。

うわっ滑りで不誠実、かつ実効性の伴わない安倍首相の「言葉」に、国民はいい加減うんざりしていると思われます。

その一方で、地味で理屈っぽいものの石破氏は新型コロナ対策でも、河井夫妻の買収疑惑でも、常に正論で押してくる。安倍首相による政治の劣化が極まった現在において、「石破茂待望論」が出るのも無理からぬことと思われます。

総理は天命、そして田中角栄は神!?

「努力すれば大臣というものはなれる。すごく努力すると大臣、2回、3回できる。ものすごく努力すると、幹事長とか政調会長とか総務会長とか、自民党三役はなれる。だけど総理大臣だけは、努力だけではなれないぞ」

この話を「2回聞いた」という石破氏は、石破氏の「総理大臣になるには、何が(必要)?」という質問に「(党三役の)そっから先は、天命っていうの? お前がやれっていう、天からの命令でしょう」と答えた。

2020年7月22日 Business Journal『石破茂“次期首相”候補、石橋貴明に「総理になるのは天命」「田中角栄は神、本当の天才」

7月21日、フジテレビ系『石橋、薪を焚べる』に出演した石破氏は、司会のタレント・石橋貴明氏との話の中で総理大臣について語っています。

石破氏に言わせれば、大臣や自民党三役の地位は努力して掴めるものですが、総理大臣については「天命」ということになり、そんな言葉を過去に2回聞いたと言っています。そして、誰から聞いたのかと言えば、紛れもない「田中角栄」だったのです。

石破氏の父親は鳥取県知事、参議院議員、農林水産大臣、自民党幹事長などを務めた田中派の政治家で、石破茂氏が政界に入るきっかけを作ったのも田中角栄氏でした。

そんな田中角栄氏を石破氏はそのように見ているのかと言えば、それはまさに「神」──しかも「魔神」だと言うのです。これはなかなか上手い表現です。

次期首相が石破茂であるべき理由

田中角栄氏は天命に従い総理大臣となったわけですが、彼のその後の天命を考えれば、石破茂氏が首相になるべき理由もおのずと見えてきます。

ズバリ言いましょう。
それは、「安倍首相を訴追」することです。
これはおそらく彼にしかできないことです。

田中角栄氏が「ロッキード事件」によって逮捕、起訴されたのはご存知の通りです。その前に、当時の田中氏は一連の田中金脈問題もあり、一旦は内閣総辞職を決定しています。つまり、首相を辞職していたわけです。それが1974年12月。

その後、1976年2月に問題のロッキード事件が起きたのですが、当時の首相は三木武夫氏でした。ここで重要なのは、当時の首相が田中角栄氏ではなかったことです。なぜなら、検察が政界の大物を釣り上げる、いわゆる逮捕に踏み切る場合、必ず首相に許可を貰うからです。

検察は政治的に中立で、唯一の起訴権限を持っています。(国会開催中の不逮捕特権はあるものの)これは政治家に対しても例外はなく、建前上は首相であっても逮捕、起訴することは可能です。しかし、それはあくまで ”建前” であって、実際に政界の大物を逮捕するような場合、検察は首相に ”お伺い” を立てるのです。

さて、安倍首相の場合、言うまでもなく森友加計疑惑を抱え、桜疑惑でも公職選挙法に抵触しているのは濃厚で、さらに河井夫妻の買収疑惑が畳みかけてきています。端的に言えば、安倍首相は「黒」であることには違いないのでしょうが、なぜか捕まる気配がありません。それもそのはずで、検察が安倍晋三氏を逮捕しようにも当の本人が首相であるわけですから ”お伺い” を立てる相手がいないわけです。まさか、安倍首相本人に「逮捕してもいいですか?」とは言えないでしょう。

そう考えると、次期首相が岸田文雄氏であっても、麻生太郎氏であっても、河野太郎氏であっても安倍晋三氏が逮捕される可能性はほとんどゼロなのです。基本的に安倍首相の仲間である彼らは、安倍首相逮捕にGoサインは出しますまい。

しかし、石破茂氏ならば可能性は一気に高まります。今までの二人の関係からすれば、三木武夫氏がロッキード事件で田中角栄逮捕にGoサインを出したように、石破氏もそうする可能性がある。

これこそが、次期首相が石破茂であるべきたった一つの理由です。

世論の力が何よりも大事!

しかし、石破茂氏が首相になるだけでは安倍首相を訴追することはできません。ここで何よりも必要なのは「世論の力」です。

ロッキード事件が発覚した当時、事件の究明に意欲的な当時の三木首相に対し、椎名悦三郎、福田赳夫、大平正芳といった自民党主力の面々たちは三木首相に退陣を迫る ”三木おろし” で一致します。

しかし、新聞報道でこの動向を知った国民は一気に噴き上がり、世論は三木首相側に味方します。椎名、福田、大平らは世論の激しい反発にうろたえ、三木首相によるロッキード事件の真相究明を了承せざるを得なくなったという経緯があるのです。

「世論」というキーワードで言えば、最近でも黒川検事長を巡る定年延長問題で「#検察庁法改正案に抗議します」のTwitter のハッシュタグが数百万レベルで拡散し、改正案破棄への大きな原動力となったことは記憶に新しいところです。

もし、石破首相が現実のものとなり、安倍 ”元首相” の逮捕もまた現実のものとなれば、「#検察庁法改正案に抗議します」以上に世論は大沸騰するのではないでしょうか?

実際問題、石破茂氏が首相に上り詰めるには非常に高いハードルが待ち受けています。それでも彼が晴れて首相となり、安倍晋三氏の一連の疑惑に対する真相究明の「世論」が盛り上がった時、”石破首相” が検察に対しGoサインを出す土壌が醸成されることになります。
──政治を動かすのは「世論」です。

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