【安倍首相辞任!】最後の最後まで嘘をつき続けた男

国内政治

Introduction:8月28日、安倍首相は辞任する意向であることを電撃的に表明しました。

持病の「潰瘍性大腸炎」が再発したことで、今後は安定した政権運営が困難となり国民の負託に応えられなくなること。よって、これ以上は首相の座にあり続けるべきではないことを、安倍首相は自らの言葉で語りました。

しかし、この問題の本質はここにはありません。安倍首相を語る上で見過ごせない特徴の一つとして、彼は「嘘つき」であることが挙げられます。

そして、最後の辞任会見の時ですら、安倍首相はその性分を隠しきれませんでした。

首相官邸記者会見は八百長だ!

首相官邸の記者会見会場
Photo by :神保哲生氏のTwitter

「記者クラブ」とは、首相官邸や各省庁に張り付いている複数の報道機関から構成される記者組織のようなものです。

例えば、首相官邸では日々菅官房長官による記者会見が行われていますが、予め定められた報道機関の記者のみ参加が認められています。フリーランスのジャーナリストで参加が認められているのは、ビデオジャーナリストの神保哲夫氏や江川紹子氏、上杉隆氏といったごく一部の方々に過ぎません。

記者の質問については、最初に幹事社の2社からの質問を受け付け(幹事社は持ち回り制になっている)、その後、幹事社以外の報道機関による質問。最後は記者クラブとして常勤していない報道機関からの質問を受けるといったことが、首相官邸などでは慣例になっています。

質問の内容は予め報道機関から官邸側に渡されており、安倍首相などは既に出来上がった回答を読み上げるだけです。この悪しき風習は、最近では記者クラブの会員のみならず広く一般にも知られるようになった、いわば記者クラブの ”常識”。端的に言って、行われているのは ”八百長記者会見” なのです。

基本的に、フリーランスのジャーナリストは質問をするためにいくら挙手をしても指名されることはありませんが、新型コロナが蔓延するようになってからはフリーランスへの質問の機会が若干増えています。
8月28日に首相官邸で行われた「安倍首相の辞任表明記者会見」でも、何名かのフリーランスが質問する機会を得ることができました。

そして、この記者会見の席で ”八百長記者会見” に対し大きなカウンター・パンチを放ったのが、ビデオジャーナリストの神保哲生(じんぼう てつお)氏だったのです。

安倍首相への厳しい質問が炸裂した!

ビデオジャーナリストの神保哲生氏
Photo by :TBSラジオ

ビデオジャーナリスト・神保哲生氏が放った質問は、安倍首相の7年8カ月の在任の中で最も厳しいものだったと言っても過言ではありません。

神保氏はこの質問を安倍首相に突きつけるためにこの7年8カ月もの間、待ち続けていたわけです。ここにはジャーナリストとして誇りと矜持、そして執念が込められています。

では、どのような質問であったのか、その内容を見てみましょう。
記者会見の終盤で、その機会はやってきました。

【神保哲生氏の質問】
ありがとうございます。ビデオニュースの神保といいます。
総理、お疲れのところ申し訳ありません。

総理の在任期間に是非どうしても伺いたいと思っていたことですので、ちょっと立ち入ったことになりますが、総理、安倍政権はこれまでの政権に比べて非常に徹底したメディア対策というものをなされた政権だと思っております。
例えば、今まで輪番で出ていたものを個別のメディアに一本釣りのような形で出演されるとか、あるいは質問を事前に取りまとめて、それを出した社にしか記者会見で質問を当てないとか、かなり徹底したメディア対策というのをされた。

それ自体が悪いと言っているわけではないのですが、それは総理ご自身の指示によるものだったのでしょうか?
それとも、ワーキングレベルで行われたものが、総理が知らずにやっていたものなのか?
あるいは、総理が仮に知らなかったとしたら、総理は記者会見でですね、質疑の場面なのに、なぜか質問と答えが目の前のメモに書いてあるという状況を御覧になって何か違和感を覚えられなかったのか?

また、そのような関係がですね、メディアと政治という関係において、民主主義において総理はどのようにお考えになっているのか?

そのお考えをお聞かせください。お願いします。
※太文字は筆者による

この質問は記者クラブのあり方、さらにはメディアの在り方にも裾野を広げ、これまで安倍政権がやってきたメディア対応は全く民主的でないと、痛烈に批判している意味において極めて重要な質問です。基本的にサラリーマンである大手メディアの記者の中に、このような質問ができる者は皆無です。

◆ 関連記事 ◆
『「記者会見」アメリカと日本はここまで違うのか!?~”幼児化” する安倍政権』

ここで重要なのは、安倍首相が何と回答したかです。
安倍首相の回答を見てみましょう。

【安倍首相の回答】
まず、安倍政権が、例えば幹事社から質問を受けるというのが安倍政権の特徴ではなくて、ずっと、恐らく前の政権もずっとそれは同じだったと思います。安倍政権の特徴ではないということは、まずはっきりと・・・
(ここで他の記者が「幹事社に限らず!」と叫び、一瞬中断)
それは、幹事社からの質問について最初に受けるということは、これは今までの各政権が皆そうだったのだろうと思います。

また、当然、正確性を総理大臣の発言ですから、これは正確な答弁をしなければいけないわけでありまして、どういう質問が出るかということは想定でつくっているということでありまして、これは必ずしも、あらかじめ、今日だって全部、私はこうやってお答えをさせていただいておりますが、それぞれ前もって頂いた質問ではないわけでございまして。

それと、メディアにそれぞれどうやって出演するかどうかということについては、それはその時々の政権が判断するのだろうと思います。いいか悪いかというのは、また、それはそれぞれの判断だろうと思います。
※太文字は筆者による

最後の最後まで嘘をつき通す安倍首相

たどたどしい安倍首相の回答で、しかも彼は質問にきちんと答えておりません。しかし、それより重要なことは、またしても安倍首相は「嘘」をついたということです。

どういう質問が出るかということは想定でつくっているということでありまして、これは必ずしも、あらかじめ、今日だって全部、私はこうやってお答えをさせていただいておりますが、それぞれ前もって頂いた質問ではない──

前述の通り、日本のメディアは海外のそれに比べると極めて劣化しており、それは記者クラブによる ”八百長記者会見” に端的に表れています。つまり、記者は質問を予め官邸側に送り付けており、官邸は既に出来上がった回答をもったいぶって粛々と読み上げるだけで、このような会見なら子供でも務まるのです。

それをこともあろうに、安倍首相は「それぞれ前もって頂いた質問ではない」としれっと否定しているのには唖然とさせられます。これは神保氏が言うように、民主国家の根幹に関わる問題です。メディアと八百長記者会見を続ける限り、適正かつ本質的な情報を得ることが阻害され、国民は誤った情報でミスリードされかねないからです。

しかし、そのようことなど意識の片隅にもない安倍首相は平気で「嘘」をつく。とかく安倍首相は嘘をつくことで有名でしたが、彼は最後の辞任会見の場ですら嘘をついてその場を取り繕っているのです。
実に安倍首相らしい、最後の記者会見となりました。

▼ 神保哲生さんは『ビデオニュース・ドットコム』を主宰しています

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