100年の人生なんてもういらない!? 金融庁「老後資金2000万」の衝撃

Introduction:「老後資金には2000万円が必要」とする金融庁の報告が物議を醸していますが、問題はこれに留まりません。

この2000万問題を含む、金融庁が作成した資料「人生100年時代における資産形成」 はあまりにも衝撃的です。

これを見て、怒りを覚えない人はおりますまい。日本はここまで酷くなったのかと、絶望の淵に落とし込まれるに十分過ぎる内容なのです。

平均所得金額・所得代替率は主要国より低い

ここに提示したのが実際の資料の中身ですが、資料にもありますように、日本の高齢者世帯の平均所得、そして所得代替率は欧米主要国と比較して大きく下回っています。

ちなみに、所得代替率とは、年金を受け取る時点(65歳)での年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較し、どのくらいの割合かを示すものです。

例えば、「所得代替率50%」の場合、現役世代の手取り収入の50%を年金として受け取れるということです。

§:ここから分かること
日本の高齢者世帯は、所得が低く年金水準も低い、ということ。

日本の高齢者の就業率は、諸外国と比べ高い

驚くべきは、日本の高齢者の就業率が断トツに高いということと、フランスが断トツに低いということです。その差は男性で日本が100人当たり「52人」であるのに対し、フランスはわずか「8人」です。

しかも、就業理由のアンケートにもあるように、日本の高齢者はリタイヤもできず、生活のためにやむなく働いているのが現実です。

§:ここから分かること
日本の高齢者世帯は、半数以上が低賃金で働いている、ということ。

つまり、日本は年金水準が低いために、高齢になっても半数以上が低賃金で働かざるを得なくなる、ということです。
最近、”社畜” という言葉をよく耳にしますが、高齢者になると社畜以上に過酷な現実が待ち受けていると想定されます。

「老後資金2000万円」の根拠はこれです

金融庁が想定しているのは、65歳で定年退職し、毎月生活費として25万円を使いながら95歳まで生きたケースです。

その場合、年金だけでは到底足りないので、それとは別に©「1500万円~3000万円」を用意しろ、ということです。
この試算結果より、「2000万円」という金額が飛び出してきたわけです。

ただ、問題は高齢者に留まらず、現役世代についても経済的に苦しい状況が浮き彫りになっていることです。
下図で見て取れるように、端的に言えば、すべての世代にわたって収入と貯蓄が減少しているのです。

よって、この問題は何も高齢者だけに留まらない。核心部分は、全世代にわたる収入と資産の減少にこそあると考えています。

◆資料のリンク先
 ⇒ 金融庁HP 事務局説明資料 『人生100年時代における資産形成』

政府の意図はどこにあるのか?

金融庁、つまり政府が年金の破綻を自ら白状した格好になっていますが、今回の報告については非常に違和感を感じます。なぜなら、政府にとって不都合なことを自ら公表することは、通常あり得ないからです。

ここには政府の何らかの意図があるに違いありません。理由として考えられるのは2点です。

とにかく国民に投資をさせたい

理由の1点目については、既に答えが出ております。

今回紹介した資料 「人生100年時代における資産形成」 が、金融庁で作成されたということがミソです。
つまり、「人生100年」レポートにもありますし、既に皆が議論しているように、金融庁は「投資」をさせたいのです。

これは、20年程前から掲げているスローガン『貯蓄から投資へ』を推進するのが狙いです。

90年代初頭のバブル経済の崩壊により、日本の金利は急激な低下を見せ、現在はゼロ金利政策が進行中です。

そういった中で「貯蓄から投資」が叫ばれ始め、政府は2014年に「投資非課税制度(NISA)」スタートさせ、2018年には「つみたてNISA」も始めました。
また、その中で「個人型確定拠出年金(iDeCo)」なども登場しましたが、いかんせん投資人口が一向に増えず、個人資産の内、現金と預金の保有比率にほとんど変動が見られませんでした(つまり、相変わらずタンス預金や、貯金をしている人が多いということ)

そして、これらの金融商品を扱う銀行や証券会社の財政状態が厳しい中、監督省庁である金融庁としても、何らかの対応を迫られていたと考えられます。

今回の「人生100年」レポートは、一般の我々にとっては ”ショック療法” になったことでしょう。金融庁も「つみたてNISAの更なる普及・定着が必要」と明言している通り、今後はこれら金融商品へ現金・預金資産が流れてゆく可能性は否定できません。

衆議院解散の大義名分が欲しい

「老後資金2000万円」などと突然言い出したら、当然、野党は猛反発しますし、世論も噴き上がるのは明らかです。2000万なんてお金、一般の家庭ではどうにもならない額だからです。

よって、このような反発については政府も折り込み済みだと考えられます。
つまり、野党を挑発し衆議院解散へ道筋をつけるのが狙い ”だった” と考えられるのです。

[ 老後資金には2000万が必要であることが分かった ]
 ↓
[ 野党は猛反発する ]
 ↓
[ 対応策として消費税増税を改めて俎上に載せ、その他、国債発行も示唆]
 ↓
[ 上記の民意を問うことを大義名分とし、衆議院解散 ]

ただし、最新の報道では衆議院の解散も見送られ、消費税増税も予定通り実施されるとのこと。自民党は目下のところ、選挙は十分勝てると踏んでいます。

今回は常に解散に怯える野党の情けなさばかり目立ったわけですが、”ショック” となった2000万問題について、火種は残されたままです(どれほどの人が投資に走るのかは予想困難です)

もしかしたら、次の参院選は自民党にとって想定外のハプニングが待ち構えているのかもしれません。
たしか、第1次安倍政権が崩壊したのは「消えた年金」が発端だったと記憶しています。

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