先端企業の最新トレンドは ”太っ腹” であること

経済

Introduction:個人的な話で恐縮ですが、筆者は3月末にそれまで勤務していた八王子のIT関連企業を退職し(自宅も八王子でした)、4月11日に実家のある福島県福島市にやってまいりました。

 八王子宅のネット環境は光ケーブル(ソフトバンク光)でしたが、福島に引っ越しする際、ソフトバンクのなかなかの ”太っ腹”ぶりに感嘆しましたので、まずはそのことを書かせていただきます。

ソフトバンクはさすがに ”太っ腹”

 引っ越しをする旨の連絡をソフトバンクに連絡したのが、3月の中旬頃で、引っ越し先の光ケーブルの工事が地元業者の都合でどうしても4月20日前後になってしまうとの事。約10日間のインターネット空白期間ができてしまいました。

 そうしたらなんと、「ポケットWi-Fiを貸しますので、工事が完了するまでそれで凌いで欲しい」とオファーしてくれたのです(もちろん工事は無料)。さらに、ポケットWi-Fiの回線使用料その他、一切が「無料」とのこと。すぐに本体が送られてきたので、筆者は5月の初めごろまでソフトバンクから借りたポケットWi-Fiを使い倒していたのです。

 ただ、さすがに返却しないとまずいだろうと気づき、また、同封の書類に「工事が終了したら速やかに返却してほしい」「返却が遅れたら場合によっては課金されることもあります」といった文言もあるので、5月になってようやく ”代金着払い” でポケットWi-Fiを返却したのです。

Photo by :SoftBank Group HP

 コンビニで宅急便での返却手続きを済ませ、自宅に帰るとソフトバンクからの封書がポストに入っている。「いかん!これは督促状に違いない」と思い、恐る恐る開封すると中には「10,000円」の為替が入っていました。――そして、中には下記のような意味の文面が…

「引っ越しキャンペーンに該当しましたので 10,000円を差し上げます。郵便局で換金してください」

 ソフトバンクは、貸したポケットWi-Fiのことなどまるで忘れたように、さらに「10,000円」をくれるというのです。

 一度つかんだ顧客は絶対に離さない!
 そのためには、でき得る最大限のサービスを提供する!

 ――あまりに真っ直ぐで徹底した企業姿勢に、新鮮な驚きを感じずにはいられませんでした。

お金を使えば効率的に顧客を獲得できる

 ここ最近、顧客獲得のための ”太っ腹” キャンペーンが話題を呼んでいます。
 キャッシュレス決済の「PayPay」は2回ににわたって「100億円キャンペーン」を行いましたし、同業種の「LINE Pay」も「全員にあげちゃう300億円祭」を展開しています。


 また、一歩街に出れば「サントリー ペプシ ジャパン」がコンビニエンスストア「ファミリーマート」とタイアップし、”ペプシ ジャパンコーラ(600ml)一本につき、ファミリーマート・ブランドのポテトチップス 1袋をプレゼント” といったキャンペーンを行っています。
https://bit.ly/2QoxDew

 そういえば、ZOZOTOWNの前澤社長がTwitterで行った、「100万円を100人にプレゼント」なんて企画もありました。これは、企業のキャンペーンとは異なりますが、”顧客獲得” や ”フォロワー獲得” といったように、本質的には同じであるように感じます。

センスの良い経営者は既に行動している

 企業は現在、顧客の囲い込みにしのぎを削っているのは間違いありません。そのために、大規模な予算を投入して一大キャンペーンを展開するようになりました。
 今回紹介した ”太っ腹キャンペーン” は一例に過ぎませんが、ではなぜ、このようなキャンペーンが一つのトレンドになっているのでしょうか。

 それは、今後の日本経済が確実に縮小するからです。
 なぜ、経済が縮小するかの理由も明快です。
 ――日本の人口が減るからです。しかも、先進国の中でもトップレベルのスピードで人口減少と、高齢化が進行してゆくからです。

 良いモノをつくれば必ず売れるとか、良いサービスを提供すれば企業が儲かる、といった世界はとうの昔に終わっています。日本経済は確実に右肩下がりになってゆきます。

 ある意味、これは当然の帰結です。人口が減り、お年寄りが増えたからといって、一人ひとりの消費が2倍、3倍と増えるでしょうか?
――増えるわけがない。だから日本の経済は縮小するしかないのです。

 だから、企業は今のうちから一人でも多くの顧客を囲い込みたいのです。手放したくないのです。
 センスの良い、鋭い経営者は既に行動を起こしています。ソフトバンクしかり、サントリーしかり、そしてZOZOの前澤社長も時給を一気に跳ね上げ、瞬く間にアルバイト人員を確保して見せました。

 これら動向の底流には、そこまで迫っている人口減少社会、高齢化社会といった現実が横たわっています。

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