Introduction:残念ながら「日米貿易協定」は手遅れです。
「日米にとってWIN-WINの合意」だなんて、安倍首相はとんでもない ”嘘” をついたことになります。
日米貿易協定をめぐってはアメリカで公聴会が開かれ、アメリカが沸騰していることが分かりました。
そして、日米貿易協定の恐るべき試算結果!
もう、日本は沈没寸前です。
与野党の八百長によって承認される協定
今年の9月、アメリカのトランプ大統領と、日本の安倍首相との間で署名・締結された「日米貿易協定」については、「両国にとって、”WIN-WIN” の合意となりました」と安倍首相が胸を張りましたが、その実態は日本の一方的な ”ゴールド負け” であることが明らかになっています。
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『「日米貿易協定」WIN-WIN どころか安倍首相の ”コールド負け”』
この日米貿易協定は様々な問題を孕んでいますが、そもそもの大前提の問題として、この協定は国会で審議される前に安倍首相によって署名されてしまったことが挙げられます。
この協定が発効すれば日本の農業、林業、畜産業は大打撃を被ることは間違いありません。日本の国益を著しく毀損する大きな原因となるにも関わらず、さらに悪質なことには、本来国会で協定の危うさを追求し、協定破棄に向けて働きかけなければならない野党が水面下で自公と手を握り、いとも容易く11月19日に衆議院で採決することに合意してしまったのです。
この日米貿易協定については、21日から参議院において審議入りしていますが、今となっては既に国会承認を得たも同然です。仮に参議院で否決されても、最終的には衆議院での採決が優先されるからです・・・
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『「桜を見る会」疑惑など ”政治ショー” に過ぎません。 ~日米貿易協定めぐる与野党のディール!』
アメリカの公聴会では不満が噴出
与野党が結託した ”八百長国会” が私たちの眼前で展開されているわけですが、問題はこれに留まってはおりません。
アメリカ下院では11月20日、日米貿易協定に関する公聴会が開かれましたが、この席上で野党議員や業界関係者から不満の声が噴出したというのです。
この件については、11月22日に読売新聞と朝日新聞が、小さくではありますが報じています。
◆ 出典記事 ◆
『「日米合意は限定的」 貿易協定巡り不満 米下院公聴会』
~2019.11.22 朝日新聞 DIGITAL~
記事によれば、日米貿易協定の「第2段階」の交渉が本格化すれば、日本はさらなる譲歩を迫られるとのこと。
アメリカ産の米などの品目が関税削減の対象から除外されたことを問題視する声が上がり、さらには「対日貿易赤字を減らすには、輸入車の数量制限をするしかないだろう」といったように、日本が最も恐れる日本車の「数量制限」にまで公聴会では議論が及んでいるわけです。
こうしてみると、日米貿易協定についての安倍首相の説明が実にいい加減であったことが分かります。端的に言えば「嘘」です。
安倍首相がまた嘘をついた
特に自動車関連について、政府の説明は国民に対するミス・リードではないでしょうか。
協定では「付属書の規定に従って、市場アクセスを改善する」と書かれていますが、ではその付属書には「関税撤廃に関してさらに交渉する」としか書かれていません。撤廃時期などについては全く触れられてはいないのです。
それを安倍首相は勝手に都合よく解釈して「関税を撤廃することは約束されている」と説明しているのです。全くのところ ”素敵な勘違い” としか言いようがありません。
実際問題、交渉に直接当たったアメリカの米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表も「関税撤廃をする約束をした」などとはひと言も言っていません。
つまり、日米貿易協定については、日米間の温度差は「水と沸騰水」ぐらいの開きがあるわけなのです。
日米貿易協定で日本は「4倍の負け越し!」
衝撃の試算結果
日米貿易協定については『論座 RONZA』が極めて重要な記事を発信しています。
◆ 出典記事 ◆
『日米貿易協定は「4倍の負け越し」の不平等条約だ』
~2019.11.22 『論座 RONZA』~
この記事によれば、例えば、政府が言うように「自動車関税の撤廃が実現したことを織り込んで」日米の関税減税額を試算すれば次のようになります。
安倍首相はこの試算をもとに「両国にとって、”WIN-WIN” の合意」と言い、倍以上に ”勝ち越した” と胸を張ったわけです。
日本が米国に輸出する際の削減額 2128億円
米国が日本に輸出する際の削減額 1030億円
しかし、自動車関税の撤廃は全く約束されていないので、その分を除外して試算する必要があります。『論座 RONZA』では、「三菱UFJリサーチ&コンサルティングの中田一良・主任研究員」と共に試算に取り組んでいます。
その結果は恐ろしいものでした。
日本が米国に輸出する際の削減額 260億円
米国が日本に輸出する際の削減額 1030億円
いざ蓋を開けてみれば、倍以上の勝ち越しどころか「4倍の負け越し」だったわけです。まさに日本は日米貿易協定で ”コールド負け” していたのです。
もはや手遅れ・・・
アメリカのトランプ大統領は、次の大統領選のことしか眼中にないと思われます。そして、来年になっていよいよ大統領選が煮詰まってくれば、日本に対し更なる要求を叩きつけてくるのは必至でしょう。
日本では「桜を見る会」疑惑で持ちきりの感がありますが、それはそれで重要な案件ですが、本当に重要なのは「日米貿易協定」であったはずです。
ところが上述したように、野党はこの国会審議について与党と手を握り、まるで何事もなかったかのように桜疑惑で ”やっている感” を演出しています。
日米貿易協定の問題は、もう手遅れだと言わざるを得ません。
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