Introduction:「桜を見る会」疑惑など ”政治ショー” に過ぎません。
「桜を見る会」については、日を追うごとに様々な事実が明らかになり、関係者も公人私人含めてとても多いことから ”ワイドショー的” に面白いのですが、私たちにとって本当に重要な事はこの問題ではありません。
忘れてはなりません。安倍首相が、宗主国であるアメリカのトランプ大統領から与えられた今国会の最大のミッションは何であったか?
私たちは今一度振り返る必要があるのではないでしょうか。
招待者名簿は確実に存在する
今回の「桜を見る会」疑惑では、招待者名簿の在り方が焦点となりました。
当初、内閣府の担当者は「名簿は1年未満で廃棄」していると回答していましたが、11月12日の衆院本会議では「天皇皇后両陛下が主催の園遊会の招待者名簿は30年にも関わらず、なぜ桜を見る会の名簿は廃棄されているのか?」といった鋭い質問も飛び出しています。
ちなみに、総務省や文部科学省の担当者に文書管理についてヒアリングを行うと、文書管理規則上では「10年の保存期間」であると返事が返ってくる。
どうやら、省庁間で文書管理上の食い違いがあるかのように見えますがそんなはずはありません。結論を申せば、名簿は確実に存在していると考えられます。
なぜならば、資料管理や文書管理は官僚の ”メンタリティー” そのものだからです。
現役官僚が語る官僚のメンタリティー
ここに興味深い書籍を紹介します。
それは、2013年1月に出版された『現役官僚から学ぶ仕事の極意』(泰文堂)です。
筆者は東京大学を卒業し、数年間の民間企業に勤務後、省庁に転職し政策立案や法律改正などの業務に従事する現役官僚、井上健介氏です。
この書籍はタイトルにもあるように、「仕事のやり方」を指南するビジネス本の体裁をとっていますが、その中に官僚の仕事ぶりを知る上での重要な下りがあります。
作業での発言や判断は、いわゆる「議事録」的なメモとして必ずしっかり書面に残す・・・というのが、官僚の仕事の文化です。
『現役官僚から学ぶ仕事の極意』(泰文堂)
たとえば「この問題はAさんにヒアリングするのが一番早い」という判断が出たら、なぜAさんへのヒアリング、という選択肢になったのか、という経緯まで書き残しておき、メールで共有するのです。
洋の東西を問わず、そもそも官僚というものは文書(資料)をつくり、その文書を保存することそのものが仕事であるような面があり、文書(資料)管理こそが官僚の ”文化” であると言っても過言ではないでしょう。
そのような官僚の側面を、井上氏は現役官僚であるだけに、短い文章ながらも端的に言い表しています。
したがって、招待者名簿については、「自衛隊の南スーダン日誌」や「財務省の森友学園文書」がそうであったように、確実に存在していると言えましょう。
名簿は紙面(紙媒体)とデータの両方が存在し、かなり精度が高い名簿が出されるのは時間の問題と言えます。
「桜を見る会」疑惑で安倍首相を引きずり落とすことはできない
この問題においては「安倍晋三事務所」そのものが実行犯であることは確実で、安倍首相が直接的に関与していることは疑いようもありませんし、よって「招待者の人選に関わっていない」とする安倍首相の答弁が通用する域は既に超えてしまっています。
また、政治家といった「公人」や、一般の地元有権者のような「私人」も数多く関わっており口裏合わせが不可能です。加えて、証拠に値するような資料も ”発掘” されており、得意の ”黒塗り” や改ざん、隠ぺいもできない状況です。
「桜を見る会」疑惑の ”着地点” はどこにある?
安倍首相が税金を使い、「桜を見る会」にかこつけて地元有権者を ”接待” していたことが白日の下に晒されたわけですが、普通に考えれば、安倍政権は完全に崩壊するはずです。
しかし、国民の意に反して安倍首相は辞任することなく、安倍政権もこのまま延命するでしょう。なぜならば、「桜を見る会」疑惑には着地点がないからです。
この問題で野党はどこに着地点をみいだしているのか? つまり何を目的としているのかを、考えて欲しいのです。
安倍首相の辞任でしょうか? あるいは 衆議院の解散でしょうか?
つまり、野党が衆議院解散まで安倍首相を追い込み、政権奪取する準備と覚悟ができているのか? といった話になります。
野党にその準備もなければ、覚悟もありません。 特に立憲民主党の枝野代表は、政権奪取するつもりなど1ミリもなく、野党第一党としての党勢拡大しか眼中にないように思われます。
これは「日米貿易協定」をめぐる出来レース国会なのだ!
忘れてはなりません。
安倍首相が、宗主国であるアメリカのトランプ大統領から与えられた今国会の最大のミッション何であったか? についてです。
安倍首相は来年「1月1日」に日米貿易協定が発効することを、トランプ大統領から強く求められています。
よって、今国会の最大の目的は「日米貿易協定の国会承認」なのです。
そのためには11月中旬ごろまでには、国会で承認されていなければなりません。
これが今の国会の状況です。
そう考えると、野党が本当に大騒ぎしなければならないのは決して「桜を見る会」などではなく、「日米貿易協定」であることは明らかです。
「桜を見る会」では安倍首相が違法行為を行い、私たちの税金が無駄遣いされていましたが、「日米貿易協定」で失う「国益」に比べたら子供の小遣い銭程度の ”しょぼい” 話です。
一体全体、野党の面々は時間を潰して何をやっているのでしょうか?
実は、野党各党も「日米貿易協定の承認」については既に了承しているのです。
というのも、野党も基本は対米従属ですし、仮に政権が野党にあったとしても、やはり「日米貿易協定」については国会承認を求めるからです。
その証拠となる報道が地味ではありますが、早速発信されています。
しかし、現在は世間が「桜を見る会」で大いに噴き上がっているため、大きく報道はされておりません。
『「日米貿易」19日衆院通過へ 与野党、採決日程で合意』
~2019.11.13 jiji.com~
この記事が何を意味するのかは明確です。
「日米貿易協定」が11月19日に成立させることで、与野党が ”手を握った” ということです。両者はディール(取引き)をしたのです。
「桜を見る会」に踊らされてはならない!
「桜を見る会」ではこれほど大騒ぎをしておきながら、肝心の「日米貿易協定」では裏で与野党が手を握り合う。
今、私たちの目前で展開されているのは、まさに ”出来レース国会” そのものです。
「日米貿易協定」をまともに国会で審議すれば ”イカサマぶり” が明らかになり、世論が沸騰してしまう。その状態で国会で承認すれば「野党は何をしているのだ!」との声が噴き上がり、ただでさえ力を失った野党の勢力がさらに縮小してしまいます。
よって、貿易協定では裏で与野党が手を握り、表では「桜を見る会」で大騒ぎすることにより、野党の ”やっている感” を演出する。もちろん、このことは自民党も了承済みです。
このことが冒頭で「桜を見る会」疑惑は ”政治ショー” に過ぎないと揶揄した理由となります。
日本の政治においては与党も野党も同罪です。
これでは安倍首相の辞任などあろうはずがなく、気がついた時には何もかも手遅れになっていることに、多くの人々が気がつくでしょう。
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