河井克行・案里夫妻を有罪にできるか?~16日の広島地裁判決が鍵を握る

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Introduction:河井夫妻の立件に向けての動きが加速していますが、河井夫妻を有罪にできないかもしれません。

一部では今国会の閉会直後に立件されるとの報道もあります。明らかにこの夫婦が行った買収疑惑は「黒」でしょうし、妻の杏里氏の違法報酬も「黒」でしょう。

しかし、彼らが実際に「有罪」となるかは、現在の司法の在り方を考えれば予断を許さない状況です。

6月16日に広島地裁で言い渡される「百日裁判」の判決が、河井夫妻の今後の帰趨を占うすべての鍵を握っていると考えられます。

河井夫妻は何をやらかしたのか?

河井克行・案里夫妻をめぐり、現在取り沙汰されている疑惑は、大きく2つに分かれます。

  • 違法報酬疑惑(河井案里 案件)
  • 政治家買収疑惑(河井克行・案里 両案件)

違法報酬疑惑

自民党の河井案里・参議院議員(46)が初当選した2019年7月の参議院広島選挙区で、車上運動員(ウグイス嬢)に、法定額の上限を超え倍額の報酬を支払ったとして公職選挙法違反(買収)に問われている案件です。

ただし、実際に罪を問われたのは案里氏本人ではなく、彼女の公設第2秘書である立道浩被告(54)です。

政治家買収疑惑

さらに、この参院選においては、夫の河井克行・衆議院議員(57)が約2400万もの金を広島県の地元議員ら政治関係者95人に渡した疑いがあり、案里氏も同様に約150万を5人の政治関係者に渡した疑いが持たれています。

つまり、夫婦揃って参院選の票の取りまとめを、約100人に対し「金」で依頼していたわけで、これも公職選挙法違反(買収)に問われている案件です。

百日裁判の判決がすべての鍵を握る!

「違法報酬疑惑」における立道浩被告の公判は、広島地裁での「百日裁判」で行われました。

「百日裁判」とは、公職選挙法に基づいて行われる裁判です。つまり、連座制の対象者の選挙違反事件は、「起訴から100日以内の判決に努めるべし」とする規定に基づき行われ、選挙結果が不安定な状況を長引くことを避ける意図があります。

起訴状によれば、立道被告は案里氏の夫である河井克行・衆議院議員の政策秘書であった高谷真介被告(43)と共謀。選挙カーの車上運動員(ウグイス嬢)14人に公選法の上限(1日1万5000円)を超えて倍額の3万円、合計204万円を支払ったとされています。

検察側は──
立道被告が案里氏らの意向を受け選挙活等を取り仕切る立場にあり、ウグイス嬢への報酬額決定にも関与していたと主張。立道被告は河井事務所の会計担当にウグイス嬢への報酬支払いを指示したり、隠蔽工作のために2枚の領収書を作らせたりもしていたなど、悪質性を訴えています。

弁護側は──
当時、立道被告は秘書ではなく案里氏の運転手の立場であり、ウグイス嬢の報酬額を決める権限はなかったと反論。立道被告は、あらかじめ決まっていた報酬額について、別の陣営幹部への伝達者に過ぎなかったとしています。

百日裁判の判決は6月16日、広島地裁で言い渡される予定になっていますが、この判決は今後の日本の政治を行方を占うほど極めて重要な判決になると言っても過言ではありません。

なぜなら、判決次第では河井案里氏の当選が無効になる可能性が極めて高いからです。

検察側は立道被告に対し「懲役1年6カ月」を求刑しています。
一方、弁護側は ”連座制の対象外” となる罰金刑を主張。
立道被告に執行猶予を含む有罪判決が出され確定すれば、案里氏の当選は無効となるでしょう。

立道浩被告は罰金刑となり、案里氏に連座制は適用されないだろう

違法報酬疑惑について、検察側の主張は筋が通っており弁護側の反論には無理がある。その意味で立道浩被告は「黒」であることで間違いないでしょう。

しかし、立道浩被告は、結局「罰金刑」になるのではと予測しています。
つまり、河井案里氏は、この判決による連座制の適用で当選無効にはならないということです。

もし、そうなれば一連の違法報酬については ”秘書が行った不手際” で事が済んでしまいます。
そして、安倍首相は「今後とも河井案里議員には、身を引き締めて職務に精進していただきたい」と言い、この件の幕引きを図るに違いない。

立道浩被告が有罪となった場合のシミュレーション

それは、立道浩被告に有罪判決が言い渡された場合をシミュレーションすれば分かります。

  1. 立道浩被告に有罪判決が下る。
  2. 立道浩被告が控訴する。
  3. 6月17日に国会が閉会(議員の不逮捕特権が切れる)
  4. 検察が「政治家買収疑惑」での河合夫妻の立件に向けて本格始動。
  5. 河井夫妻が逮捕される。

仮に立道被告が控訴しても、一度は有罪判決が出たという事実は重く、検察は今国会閉会後に「政治家買収疑惑」での河井夫妻の立件に向け本格的に活動するでしょうし、国会閉会後の数日のうちに二人は逮捕される可能性もあります。

そうなれば、逮捕者は河井夫妻に留まらず、夫妻から金を受け取った政治関係者らが数十名単位で逮捕される一大疑獄に発展する可能性が高く、さすがにこれでは安倍首相といえども政権を維持することはできません。

こうなった場合、安倍首相の取り得る選択肢は2つしかありません。
辞職するか、国民の信を問う ”やぶれかぶれ解散” をするかです──

結局、河井夫妻は逃げ切るのか?

立道浩被告に有罪判決が下っても、事を大きくしないために国会を延長する方法も考えられます。国会議員には、国会期間中は逮捕されない ”不逮捕特権” があるからです。

しかし、新型コロナ対策のための国会延長を、あれほど野党から要求されておきながら、なぜか安倍首相は今国会を延長しようとしていません。よって、国会は6月17日に閉会します。

なぜ、安倍首相は国会を延長しないかについては、延長しなくともよい理由があるはずです。このことは、6月16日に判決を出す広島地裁に、既に政権の手が回っているのではないか? と推測させるに十分です。

安倍政権と最高裁の関係は、今では広く知られるようになりました。首相官邸は各省庁のトップの人事を一手に握っていますが、それは最高裁でも例外ではありません。

司法も手玉に取る安倍政権

現在は最高裁判事15名のうち、12人が安倍政権からの任命者となっており、その中の一人は、加計学園問題で揺れた学校法人加計学園の監事を務めていたような人間です。

そして、地裁を初めとする地方裁判所の裁判官は押しなべて最高裁の意向を気にし、最高裁の気に入る判決を下すようになっているのが、日本の司法の現状となっています(もちろん、全ての裁判官がそうとは限らないのですが)

よって、16日の広島地裁でも裁判官が最高裁を上目遣いに眺め、結局は安倍首相が気に入る「罰金刑」といった判決を下すような気がしてならないわけです。

そうなった場合、案里氏は政治家のままであり、「政治家買収疑惑」の追及はたとえストップは掛からないにしても、勢いは相当削がれるのではないでしょうか?

河合夫妻をめぐる一連の疑惑は、政権、司法、検察がどのような形で ”手打ち” をするのかといった段階に突入しているかもしれません。その中で、この夫妻はまんまと逃げきってしまう可能性が出てきました。

【6/16追記】案里氏秘書に懲役1年6月、執行猶予5年 広島地裁判決 連座制で当選無効も

自民党の河井案里参院議員(46)=広島選挙区=が初当選した2019年参院選で、車上運動員に違法な報酬を支払ったとして公職選挙法違反(運動員買収)に問われた案里氏の公設第2秘書、立道(たてみち)浩被告(54)の判決が広島地裁で16日あり、冨田敦史裁判長は懲役1年6月、執行猶予5年(求刑・懲役1年6月)を言い渡した。この判決が確定すれば、案里氏の当選無効につながる連座制が適用される可能性もある。

2020年6月16日 毎日新聞「案里氏秘書に懲役1年6月、執行猶予5年 広島地裁判決 連座制で当選無効も」

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