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※高嶋哲夫氏(写真左)による小説『首都感染』は、新型コロナウイルスよるパンデミックを予言したと言われている。

Introduction:新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を予言したとして、今注目を集めている小説があります。

高嶋哲夫氏による『首都感染』がそれです。書かれたのが10年前でありながら、その内容たるや現在のコロナ禍とあまりに酷似しており、読者はショックを受けるでしょう。

そして、この小説作品から浮かび上がるのは日本の新しいグランドデザインかもしれません。私たちはこの作品から何を読み取るかが重要となります。
もはや戦慄している暇はありません。

コロナ感染のパンデミックを予言した小説!

──現時点においても、WHOも最新発表によると世界の感染者数は予想を上回り八億人におよんでいます。すでにその半数を超える約四億三千万人の方々が亡くなりました。感染者も重体の方が多く、死者はますます増える見込みです。この数はすでに一九一八年に世界に吹き荒れたスペイン風邪の犠牲者を遥かに上回っています。しかも今後この数倍の犠牲者を出すとも言われています」

 瀬戸崎総理はテレビカメラを一瞬睨むように見て息を吐いた。
「しかし幸いというか、我が日本においては奇跡的に感染者数が抑えられ、感染地域もきわめて狭い範囲に限定されています。これは今までの封じ込めが劇的に効果を出しているということです。だが残念なことに、徐々に感染が広がりつつあります。このまま状況が続けば、いずれ国中に広がることは避けられません。政府では慎重な討議の結果、東京都心を当分の間、封鎖せざるを得ないとの結論に達しました。これには東京在住の方の犠牲とともに、日本全国の皆さんの協力が不可欠です」

高嶋哲夫『首都感染』(講談社)

ここにきて高嶋哲夫氏による小説『首都感染』(講談社)が脚光を浴びています。理由は明快で、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの惨状を、あたかも予言したような内容となっているからです。

日本は4月6日現在、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて「緊急事態宣言」発令の秒読み段階に入ったと報じられています。

そして、上に紹介するのは『首都感染』の「第三章 封鎖」の冒頭部分。小説では世界で四億もの人々が亡くなっていますが、現実と異なっているのは感染被害の数ぐらいで、内容としてはまさに今の日本のみならず世界が直面している感染被害の状況を、そのままなぞったかのような描写が展開されており戦慄すら覚えます。

この作品の初版は2010年の12月。10年前にこの状況を予言したのは高嶋氏の先見の明と言う他ありませんが、彼はペストやスペイン風邪といった過去の事例から、パンデミックが将来起こることは分かっていたと言います。

筆者の高嶋哲夫氏は慶応義塾大学工学部、慶応義塾大学大学院修士課程修了後、旧通産省の研究所で核融合の研究を行うなど、元々は研究者の道を歩んでこられました。1999年に発表した小説が文学賞を受賞したことで作家デビュー。理科系出身らしく、情緒的描写を極力廃した現実的な文体が特徴です。

『首都感染』は今年に入ってから既に6万4000部を増刷。これはノベルティの世界にあって快挙です。

※筆者は電子書籍で読んでいます。

「首都封鎖」に日本は耐えられるのか?

──20XX年、中国の首都北京。
北京国会体育場、通称『鳥の巣』はサッカー・ワールドカップの異様な興奮に包まれていた。そのような人々の熱気をあざ笑うかのように発生したのが、強毒性のH5N1型高病原性鳥インフルエンである。


中国は国家の面子にかけて隠蔽を図るも、封じ込めに失敗。全世界で爆発的パンデミックが始まる中、元WHOメディカル・オフィサーの優司はこの致死率60%にもおよぶウィルスとの闘いに挑む──

日本国内での新型コロナウイルスによる死亡者は、4月5日12:00時点で70名となっています。

一方、小説『首都感染』では218人の死者が出た時点で「首都封鎖」を決行しました。荒川と多摩川に沿って機動隊と自衛隊が配置され、環状八号線に30㎞以上にわたり有刺鉄線による停止線が設置されました。3ヶ月以上にわたって人や物資の移動を停止するという緊急措置です。

この時、アメリカでは既に1千万人以上、EU諸国でも2千万人以上の死者が出ています。日本は奇跡的に死者の数が少ないという小説の設定ではありますが、この作品を読んでいて非常に気がかりなのは、「首都封鎖」が現実的になった今、これを叫んだ小池百合子・東京都知事は「首都封鎖」に対してどのような想定でいるのか、ということです。

同時に地方の体力も気になるところです。なぜなら、本当に首都封鎖が行われた場合、政治・経済といったあらゆる機能と人口が集中している首都東京を支えるのは、まぎれもなく「地方の力」だからです。しかし、残念ながら地方にそのような力はありません。

しかも、首都封鎖が解除になった後、元の社会に戻すには莫大な金と時間が掛かり、封鎖が2~3ヶ月といった長期に及んだ場合だと、経済はガタガタとなり日本社会は破綻してしまうでしょう。

そういった事を全てひっくるめて、小池都知事を始め全国の知事、そして安倍首相はどのように考えているのか? 非常に絶望的になるのは何も筆者だけではないはずです。

高嶋哲夫氏は「道州制」を提案している

今回のコロナウイルス騒動で明らかになった日本の問題点の一つとして、日本は小国なのにも関わらず、47都道府県といったように行政単位が非常に小さいということです。

また、今後必ず起こるとされている首都圏直下型地震や南海トラフ地震に対しても、細分化され過ぎた日本の行政単位では煩雑な事務手続きに追われるだけで、ドラスティック対応は全く期待できないように思われます。

そのような点も踏まえ、『首都感染』を初めこれまで様々なクライシス作品を手掛けてきた高嶋哲夫氏は、日本に「道州制」の導入を提案しているようです。

この「道州制」については一考に値します。これが今後の日本の新しいグランドデザインになるかもしれません。

47都道府県には各々首長がおり、その配下に県議会議員・都議会議員がいる。さらにその下には市会議員・町議会議員・村議会議員といったように、一体ひとつの行政単位には一体何人の政治家が存在するのか?といった話です。

それでも政治家としてきちんと機能していれば何の問題もありませんが、現実は全くそうでなく、政治を稼業・生業とする者たちを私たちの税金で食わせている仕組みでしかありません。

高嶋哲夫著『首都感染』は、そのような視点をも私たち投げかける意味において、現在の日本人に広く読まれるべき一冊であると確信するに至りました。
新型コロナウイルス感染の渦中、日本はどこに向かうのでしょうか?

「中国と国境を接している国はすべて国境を封鎖しています。無理に越えるものには発砲するよう指示が出ています。今までに百件を超える発砲があり、数百名の死傷者が出ているそうです。防衛省の先輩が言ってました。戦争でもないのに、ひどい話ですよね。でも、たしかに感染者が一人でも密入国したら、ウイルスは日本国内に一気に広がります。これは戦争と同じだ。海上で接触して、水、食料、医薬品を与えて国に帰るように説得したらどうです」

「すでに総理が支持を出した。水や食料までは知らないが」
優司はぶっきらぼうに言った

高嶋哲夫『首都感染』(講談社)

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