Introduction:脱サラしたり、退職を機に退職金をはたいて喫茶店経営に乗り出す方はいつの時代にもいます。

”こだわりの” コーヒー屋さんやカフェなど、とても夢のある話ですが、絶対に止めたほうが良いと思います。

”地獄” をみる前に、まずはこの記事を読んてみてください。

喫茶店は過去最多のペースで倒産している

Photo by : 2019.09.28 東京新聞・夕刊

9月28日の東京新聞・夕刊一面に重要な記事が掲載されたました。
「喫茶店倒産 最多ペース」と題された記事では、2019年になってから喫茶店の倒産件数が過去20年で最多に迫るペースになっていることを報告しています。

この状況について東京新聞では、大手コーヒーチェーンで展開されているようなレジ横で入れたてコーヒーを提供する「コンビニカフェ」や「タピオカドリンク」の流行、そして10月から実施される消費税増税において、喫茶店内での飲むコーヒーが軽減税率の対象外になったことなどを原因として挙げています。

ちなみに、喫茶店は最盛期の1981年に全国で「約15万4千店」ありましたが、21016年には「約6万7千店」といったように、この35年の間で6割もの喫茶店が消滅しています。

そして、このような現象は何も喫茶店だけに留まらない、というのが正直な実感です。
周囲を見回せば、喫茶店をはじめとする「個人経営」の飲食店が軒並み消滅しているのが目につきます。これは、都市部よりも地方において顕著だと思われます。

筆者が暮らす福島県福島市においても、平成の30年の間に個人経営の飲食店は無残なまでに消滅し、残っているのはごく僅か。すべて郊外型のチェーン店に置き換わっています。

そもそも飲食店は「レッドオーシャン」

開業しやすそうに見えるのか、普段足を運ぶカフェなどが楽に回っているように見えてしまうためか、飲食店経営を軽く考えている人があまりにも多いと感じます。
立地の選定、資金繰り、店舗作り、商品企画、仕入れ、原価管理、製造管理、採用、人事管理、マーケティングなど、飲食店には経営学のあらゆる要素がすべて詰まっています。それでいて、店舗は固定されて動かすことはできず、食中毒や食い逃げなどのリスク要因は多く、利益率は非常に低い。とてもとても素人が安易に始めて成功できるような事業ではありません。
~三戸正和『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)~

ここに紹介する三戸正和氏は、ベンチャーキャピタリストとして数多くの業種、業態に関わってこられました。そして、2018年4月に上梓した『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』の中で、飲食業について重要な指摘をしています。

それは、最近における喫茶店のような飲食業の廃業率についての動向です。
日本政策金融公庫の「新規開業パネル調査」においての業種別廃業状況では、調査機関「2011年~2015年」の全業種廃業率が平均「10.2%」のところ、飲食店・宿泊業の廃業率は「18.9%」といったように、2倍近くの数字が出ているというのです。

外食産業の市場規模は「約25兆4000億円」で、売上高トップの「ゼンショー」(すき家、なか卯、はま寿司などを運営)の2016年3月期の売上高は「約5250億円」といったように、トップランナーですらシェアは2%に過ぎません。

また、外食産業トップ10企業の売り上げを合計しても「約2.2兆円」で、全体の10%程度のシェアにしかなりません。

このことは何を意味するのかと言うと、外食産業は毎年多くのプレイヤーが参入するのと同時に、多くのプレイヤーが廃業してゆく「レッドオーシャン」であるということです。

飲食業は個人経営では太刀打ちできない時代


冒頭に紹介した東京新聞の記事では、喫茶店が凄まじいペースで廃業している要因として、次の3つを挙げています。

  • 客の嗜好の多様化
  • 経営者の高年齢化
  • 消費税増税の影響

これはこれで間違いないと思われるのですが、4つめの根本的な要因として「そもそも喫茶店のような飲食業はレッドオーシャンなのだ」ということも忘れてはならない視点であることが、三戸氏の書籍から読み取れます。

物書きにとって喫茶店は息抜きの場であり、新しい着想を得る場であり、そして人間観察の場でもあります。

そんな喫茶店が減ってゆくことは実に悩ましい。
気がつくと、日本には「スタバ」と「ドトール」と「タリーズ」しか残っていなかった、なんてなりかねません。

平成の時代を「失われた20年」「失われた30年」と形容する言葉を頻繁に耳にしますが、飲食業について言えば、業態が「個人」⇒「(大手)企業」へと完全転換する分岐点だったのかもしれません。

三戸正和氏は、脱サラや退職金で飲食業を始めることを強く戒めています。

日本の飲食業は、経営学の専門書に載っているようなフレームワークをすべて詰め込んで、ようやく勝負の土俵に上がれるような、きわめて成功が困難なビジネスです。料理の腕に覚えあり、といったぐらいのことでは、どうにもなりません。
脱サラや退職金で、趣味程度に始めるような気軽さを「許す余地がない」ということは、ご理解いただきたいと思います。
~三戸正和『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社+α新書)~

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