池袋暴走事故から1年。遺族の松永さんが実名を公表してYouTubeで訴える5つのこと

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Introduction:2019年4月19日、東京都豊島区東池袋の東京メトロ東池袋駅付近で、飯塚幸三・容疑者の運転する自動車が暴走、赤信号を無視して交差点の横断歩道に突っ込むなど、多重衝突時を引き起こしました。

この事故では2人(母子)が死亡、運転手の飯塚容疑者を含む10人が重軽傷を負うなど、稀に見る重大事故となりました。

あれから1年が過ぎようとしています。

亡くなった母子の夫であり父親であった松永さんは、今回実名を公表し YouTube から私たちに訴えかけています。

Video by : : : 池袋自動車暴走事故 遺族松永
『【池袋自動車暴走事故遺族】事故から1年 遺族としての想いをお話しします。』

実名を公表したのは「松永拓也」さん。
池袋暴走事故で亡くなった松永真菜(まつなが まな)さん(32歳)と長女・莉子(りこ)ちゃん(3歳)の遺族です。

これまで松永さんは生活を脅かされることを危惧し、あえて実名の公表は控えておりましたが、交通事故の防止の活動を行いたいという強い想いもあり、公表に踏み切ったといいます。「世の人たちの命が守られる交通社会にするという決意を表明したい」と説明しました。

また、1年の節目に際しては、当初、記者会見の開催を想定していましたが、昨今の新型コロナウイルスの影響もあり、YouTube にて自身の考えを伝えることにしたそうです。

そんな松永さんには、私たちに伝えたい「5つ」のメッセージがあります。

「交通事故の犠牲者をひとりでも減らしたい」という願い

  • 交通事故発生件数:年間約30万件
  • 交通事故死亡者数:年間約3200人

交通事故で一日あたり約9人が命を落とす現在において、一説には人が生涯の中で交通事故に巻き込まれる可能性は「50%」もあると言われています。これは二人に一人が何らかの形で交通事故に巻き込まれる計算になります。

事故当日、松永さんは警察からの連絡にパニックとなりました。というのも、つい先ほどまでビデオ通話で亡くなったお二人と会話を交わしていたからです。

しかし、現実は無残なまでに松永さんに襲いかかってきます。病院に向かう電車内で、スマートフォンに飛び込んできたのは「池袋事故 30代女性と3歳位の女児が心肺停止」との非情なまでのニュースです。

亡くなったお二人の遺体の無残さに、松永さんは言葉を失います。

特に莉子(りこ)ちゃんの遺体については顔の損傷があまりにも激しく、松永さんは看護師から見ることを止められたといいます。

池袋暴走事故は、そのような重大事故でした。

これから始まる刑事裁判について

刑事裁判についての日程はまだ確定していませんが、松永さんは「被害者参加制度(※)」を使ってこれに参加する予定です。

※「被害者参加制度」とは
 一定の犯罪の被害者などが、裁判所の決定により、公判期日に出席し、被告人に対する質問を行うなど、刑事裁判に直接参加することができる制度。
-出典:日本司法支援センター 法テラス

参加に際して、松永さんが念頭に置いているのは次の3点です。

  • なぜ、妻と娘が亡くならなければならなかったのか?
    加害者(飯塚幸三・容疑者)から直接真意を聞きたい。
  • 真実が明らかになることにより、同様の事故の再発防止としたい。
  • 軽い罪で終わる前例をつくりたくない。
    2人死亡、10人負傷という重大事故で、仮に軽い罪で終わってしまうとそれがそれが前例となってしまう。

刑事裁判について、松永さんは次のように想いを語っています。
「加害者が裁かれたとしても、二人の命は戻るわけでもなく、遺族の体、心が元に戻るわけでもありません。だからこそ加害者は奪った命と向き合い、自分の行いと向き合う時間と場所が必要であると思います」
「とはいえ、加害者がどのような心情で生きてゆくのかを決めるのは、結局のところ加害者自身です」

被害者ノートに助けられた話

松永さんは「あいの会」(※)の代表、小沢樹里さんからいただいた『被害者ノート』に救われたといいます。このノートには交通犯罪被害者に必要なことは、ほとんど網羅されています。

※「あいの会」とは
 交通犯罪で家族を失った遺族たちによって運営される団体。遺族同士の情報交換や連携、助け合いの活動を行っている。会の目的は主に次の通り。
・交通犯罪遺族が泣かずにすむ法整備を働きかけていくこと。
・交通犯罪遺族同士の助け合いと支援の輪を広げていくこと。
・交通犯罪遺族が定期的に集まって情報交換のできる場を作っていくこと。

『被害者ノート』は交通犯罪被害者に無料で配布されています。

https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/dantai/shosai1/j-29.html

1年で変わったこと、変わらなかったことについて

松永さんにとって「憎しみ」という感情に変化があり、現在は「憎しみ」と「処罰感情」を分けて考えるようになったといいます。

事故当初は加害者に対する憎しみに囚われました。
「憎しみに囚われた自分を二人は望んでいるのか」といった想いと、
「憎しみに囚われるのは遺族として当然の感情」との葛藤で2カ月ほど思い悩み、「憎しみに囚われている時は、加害者のことを考えている時間」であると、松永さんは気がつきます。

それよりは ”妻と娘への愛と感謝の気持ちで心を満たしたい・・・”
その方が自分らしくあることに彼は気がついた。
つまり、妻子を奪われ未来を奪われたからといって「自分らしさまで奪われる必要ない」といった想いに至ったことが、松永さんにとってこの1年の変化です。

そして、変わらないことは──
「誰にもこのような思いはさせたくない」という気持ちです。

実名を公開することについて

松永さんは、自分の名前が知られてしまうことで生活が脅かされたり、誹謗中傷されたりすることへの恐怖心があったと告白しています。
ただ、この1年という中で心が整い、支援者にも恵まれ、特に交通事故防止への強い想いもあり今回の実名公表に至りました。

”メディアスクラム” が時折、社会問題となる中で、当初は松永さんも不安や恐怖を感じていた一人でした。しかし、時を追うごとに被害者にとってメディアは必ずしも攻撃対象となるわけではなく、自分の想いを伝えてくれる支援者にもなり得ると、認識を新たにしました。

つまり、実名報道をするしないも、メディアとどのように付き合うかも、被害者遺族が選択できる。──それを知った欲しい。これが松永さんの5つ目のメッセージです。

▶ 松永拓也さんのSNS

 Blog https://ameblo.jp/ma-nariko/
 Instagram https://www.instagram.com/ma_nariko/
 Twitter https://mobile.twitter.com/ma_nariko/
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