Introduction:これは危機管理の欠如なのか!? 政府や自治体の限界なのか!?
今回の台風15号による被害は、想像以上に甚大です。
住宅被害は1万3,655棟に上り、そのほとんどは千葉県に集中しています。
そして驚くべきは、9割もの被害住宅は、国の支援制度の対象にならないというのです!
これって、なんだかおかしくないですか!?
その後に ”しょぼい” 支援策を出してきましたが・・・
――安倍首相が訴えてきた「国土強靭化」とは何だったのか?
安倍首相が首相でいる限り、災害被災者はこれからも苦しめられるに違いありません。
政府は13億しか出さないが、実際は300億以上必要だ
9月23日の朝日新聞によれば、台風15号による被害は1都7県で1万3,655棟に上り、そのうち実に1万1,773棟の被害は千葉県に集中していることが分かりました。
住宅被害は千葉県南部で特に激しく、館山市、 鋸南町(きょなんまち)、 君津市、富津市の全壊、半壊、一部損壊を合わせると4,848棟に上り、千葉県全体の4割以上を占めています。
経済的被害も深刻で、約300億8千万円もの被害額に上りますが、現在も調査が継続されており、今後もさらに増えるとみられます。
【被害額内訳】
・農業:約285億4千万円
・林業:約6億1千万円
・水産:約9億3千万円
これらの被害に対して、安倍政権が支援名目で予備費から計上したのはわずか13億2千万円に過ぎません。
安倍首相が戦闘機の購入代金としてアメリカに差し出す金に比べると、13億など子供の小遣いにもなりません。
菅官房長官は災害対策に「適切に対応している・・・」として胸を張っているようですが、この政府の対策の非情さに千葉県の地元住民の方々は怒り心頭のことと思われます。
住宅被害の9割は支援を受けられない?
上述したように、今回の台風による住宅被害は1万3,655棟に上りましたが 、その9割に当たる1万2,325棟は「一部損壊」の扱いとなり、実は国からの災害支援を受けられないというのです。
なぜ、このような理不尽なことが起きるのでしょうか?
それは、政府のあまりに杓子定規な災害基準に秘密が隠されています。
内閣府が作成する『災害に係る住家の被害認定基準運用指針(平成30年3月版)』には、地震、水害、風害による災害認定基準が事細かく定義されており、今回の台風15号といった「風害による被害」の認定基準については、次に示す「災害認定フロー」が掲載されています。
例えば、屋根がすっかり吹き飛ばされてしまい、その他の家屋の被害が軽微であった場合、ではその家に住めるのかと言えば、絶対に住むことなどできません。
しかし、災害認定フローに照らし合わせると、屋根が飛ばされ、住家の損害割合が「20%未満」であれば「半壊に至らない(一部損壊)」と見なされ、結果、国からの支援金が受けられない場合が出てきてしまうというわけです。
実に ”しょぼい” 国の災害住宅支援
政府も「さすがにこれではマズい」と思ったようです。ただでさえ政府や自治体の台風災害に対する初動の遅れが指摘されている中、災害住宅の9割が政府から何の支援も受けられないとは、まったくお話になりません。
早速9月24日、読売新聞の一面に次のような記事が掲載されました。
住宅一部損壊 国支援へ 台風15号 屋根修理 特例で
政府は、台風15号による千葉県などの住宅被害に対し、現行制度では国の支援対象外となる一部損壊を特例的に救済対象とすることを決めた。特別交付税の活用などで、一部損壊の大半を占める屋根の修理費補助について、公費の9割を国が負担する。国土交通省は23日、国の支援内容を千葉県に通知した。
~2019.09.24 読売新聞 朝刊~
台風による強風で屋根が飛ばされたり、あるいは壊されて浸水の被害を受けたにも関わらず、半壊に至らない「一部損壊」の住宅に対しても弾力的に支援しようとするものです。
被害住宅のうち、一部損壊についても国の支援対象になることは、私たちにとって歓迎すべきことです。
ただし、「公費の9割を国が負担する」というのは、一見、国が頑張って支援しているように誤解されますが、実際は実に ”しょぼい” 話なのです。
つまり、こういうことです。
- 屋根の修理費の「2割程度」を国や自治体が負担する。
- 上記の2割の内、約半分の「1割」を国交省の「防災・安全交付金」から支出する。
- 残りの1割の内、その8割分については総務省の「特別交付税」から支出する。
要するに、被災者の自己負担は「8割!」となります。
国土交通省が「1割」負担し、総務省は「0.8割」負担し、自治体が「0.2割」負担するといった内容です。ホント、しょぼい!
確かに、”支援なし” よりはマシですが、実に ”縦割り行政感” ありありの ”しょぼい” 支援と言う他ありません。
安倍首相が「国土強靭化」をアピールしてから長いこと経ちますが、今回の台風被害で屋根を吹き飛ばされた住宅も支援できない程、その実態は脆弱だったのではないでしょうか?
あるいは、国土強靭化など単なる ”掛け声” で、安倍政権はそれに対する施策を何もしてこなかったのかもしれません。
一部損壊になった住宅を、”特例” で慌てふためいて支援するなど、政府の無様な姿が目立ちすぎるように思われます。
日本では、大災害はこれからも間違いなく起こります。
しかし、安倍首相が首相で存在する限り、日本は災害に対して脆弱と言う他なく、今後も被災者は安倍首相に苦しめられ続けるでしょう。
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