Introduction:今回の「事と次第」は簡単かつ明瞭です!
腐敗しきった日本の司法もまた東電と同様、首相官邸とグルだったということです。

最高裁が重要だと見なした裁判は「報告事件」として、最高裁事務総局に進捗状況が逐一報告される体制が整っている。
今回の「原発事故強制起訴」など、まさにそうでした。

巧妙な手口で裁判官にプレッシャーを与える最高裁事務総局。
――裁判の帰趨は彼らの手中にあります。

もっとも、今回の永渕健一裁判官は、最高裁のパペット『ヒラメ裁判官』だから、最高裁が喜ぶ判決を下しましたとさ・・・

裁判官の人事権を握る「最高裁事務総局」

一般の企業では人事部や総部部が、社員の人事や業務内容まで口をはさむことはありませんが、「最高裁事務総局」の場合はそうではありません。
最高裁事務総局は、裁判官の統制・コントロールを差配し、裁判官の人事をも一手に握っております。

また、「行政」「金融」「医療」「原発」といったように、最高裁が重要だと見なした裁判は「報告事件」として、最高裁事務総局に進捗状況が逐一報告される体制が整っています。

そして、裁判の状況が最高裁にとって好ましくないと判断されれば、たとえ判決の直前であっても裁判官が後退させられるといったことは、実はそう珍しくないことなのです。(後退させられた裁判官は大抵の場合、地方に飛ばされます)

よって、裁判官は常に「上」である最高裁事務総局ばかり見るようになります。
裁判官も他のお役所同様に、お金に関するインセンティブが働かないため、どうしても出世のことを最も気にするようになります。決して「原告」や「被告」のことを気にかけているわけではないのです。

そして、今や裁判所も含めたお役所の人事権を持つのは、そう「首相官邸」です。裁判官も官僚のようなものですから、主要官僚の人事の行方は首相官邸に行き着くのです。

『ヒラメ裁判官』とは

このように、いつも上目づかいに上層部の動向ばかり気にしている(つまり、出世のことばかり気にしている)ような裁判官を、その筋では『ヒラメ裁判官』と称します。

今回の「原発事故強制起訴」において、「大津波は予見できなかった」という理由などで、東京電力の旧経営陣3人を無罪とした東京地裁の永渕健一・裁判官なども、『ヒラメ裁判官』である可能性が「大」と言えましょう。

原発事故については、共産党が既に指摘していた

”大津波の予見の可否” については、既に決着がついています。
2006年3月1日、共産党の吉井英勝・衆議院議員が衆議院予算委員会で原発に関する極めて重要なことを指摘しています。

「(押し波が高ければ)水没に近い状態で原発の機械室の機能が損なわれ」「(引き波が大きければ)原発の冷却機能が失われる」として、深刻な影響について、押し波・引き波ともに想定せよと迫っていたのです。

具体的な内容は下記のリンク先で参照が可能ですが、つまりは福島の原発事故をなぞるような形で予言に満ちた内容でした。これを当時の政府は「論理的には考え得るが、現実にはあり得ない頭の中の話」として、吉井氏の主張を一蹴したのでした。

※資料:しんぶん赤旗「電源喪失による最悪事態を警告」

吉井氏の警告は、その後も共産党福島県連、共産党福島県議団らが翌年の2007年7月24日、東京電力・ 勝俣恒久社長(当時)に申し入れを行いましたが、2011年3月11日、最悪の悲劇を迎えてしまいました。

国政政治家をも巻き込み、政治家たちが東電・勝俣社長に対し、原発事故の可能性を高い確度で警告していたにも関わらず、裁判では「勝俣社長らは大津波は予見できなかった」ことになってしまう。

これって、なんだかおかしくないですか!?

安倍首相の不穏な動き


”真面目な裁判官” には、二つの意味があります。
一つは、良心に従って自分が正しいと思う判決を下す裁判官であり、またそのために労を惜しまない裁判官です。
もう一つは、最高裁の統制に対して従順に従うヒラメ裁判官です。最高裁にとって真面目な裁判官であり、最高裁にとって優秀な裁判官です。

生田暉雄『最高裁に「安保法」違憲判決を出させる方法』

実はこの数日間、安倍首相は司法関係者らに関わる、不穏とも言える動きを見せています。

9月18日は山崎敏光、林道晴の両氏が15時12分に安倍首相を訪問しました。
山崎氏は2014年から最高裁判事を務め、一方、林氏はこの9月から最高裁判事となることから、両氏の訪問は前任者・後任者の挨拶だったとも考えられます。

ただし、「原発事故強制起訴」の判決のあった9月19日、安倍首相がその日最初に会ったのは最高裁判所長官の大谷直人氏でした。
安倍首相は9時35分から約1時間にわたって大谷氏と会談していることが分かっています。

分刻みで進行する首相のスケジュールの中にあって、これは異例の長さです。
安倍首相と「ミスター裁判員制度」こと大谷・最高裁長官は、一体何を話していたのでしょうか?

ここでも歴史は繰り返している!?

第2代最高裁長官・田中耕太郎
Photo by : 朝日新聞DIGITAL
「(新聞と9条:85)砂川事件:22」

ここで一つの歴史的事実が頭をかすめます。
有名な「砂川事件」にまつわる話です。

現在の東京都立川市がまだ東京都砂川町であった1957年、そこには米軍基地が存在しており、既に1955年には米軍基地反対を訴える「砂川闘争」が頻発していました。そのような中、基地拡張の測量に反対したデモ隊の一部7名が、基地内に侵入するという事件が起こったのです。

7名は刑事特別法違反の罪で起訴されましたが、東京地裁の伊達秋雄裁判長は1959年3月30日、駐留米軍を憲法9条違反の「戦力の保持」に該当するとして、7名に無罪判決を言い渡しました。
これが歴史に有名な「伊達判決」です。

ところが、検察側はこれを不服として、驚いたことに高裁を飛び越し、こともあろうに「跳躍上告」をすることで最高裁に訴えるという奇策に出たのです。そして、7名には有罪の判決が下されました。
これが歴史に悪名高い「砂川判決」となりました。

なぜ、このようなアクロバティックな事が起きたのかについては、それについて暗躍していた人物が当時の最高裁長官・田中耕太郎だったことは、さらに驚くべきことでしょう。

マッカーサーと田中耕太郎との ”密約”

ダグラス・マッカーサー2世
Photo by : 在日米国大使館・領事館

このことは、アメリカの公文書に記されている歴史的事実です。

伊達判決に衝撃を受けたマッカーサー駐日アメリカ大使(ダグラス・マッカーサー2世:GHQマッカーサー最高司令官の甥)が、 当時の藤山愛一郎外務大臣に圧力を掛け、そのルートをもって最高裁判所長官・田中耕太郎を懐柔することにより最高裁判決に露骨な介入を行ったという事実です。

田中長官はマッカーサー駐日大使とたびたび密会し、裁判の情報を逐一報告していました。彼は「本件には優先権が与えられている。ただ、日本の手続きでは審理が始まった後、決定に至るまで数ヶ月は要するだろう」などと、日本の司法権の独立をかなぐり捨て、アメリカになびいている有様でした。

これら日本とのやり取りは、マッカーサー駐日大使によって本国アメリカへ打電されています。例えば次のように。

1959年11月5日付電報

田中裁判長との最近の非公式の会話の中で、我々は砂川裁判について短い議論をした。裁判長は、時期については明言できないが、いまや来年の始めまでには最高裁は判決を下すことができるだろうと言った。
彼は、15人の裁判官にとって最も重要な問題は、この裁判に取りかかる際の最大公約数を確立することだと見ていた。田中裁判長は、可能であれば、裁判官全員が一致して、適切で、現実的な、いわば合意された基本的規準に基づいて裁判に取りかかることが重要だと言った。彼は、裁判官の何人かは「手続上」の観点から事件に取りかかろうとしているのに対し、他の裁判官は「法律上」の観点から事件を見ており、さらにまた「憲法上」観点から問題を考えている者もいることを、示唆した。

(私は田中との会談からつぎのように推測できた。すなわち何人かの裁判官は、伊達判事を裁判長とする第一審の東京地方裁判所には米軍駐留の合憲性について裁定する司法権はなく、東京地方裁判所は、みずからの権限と、米軍基地への不法侵入という東京地方裁判所に最初に付託された争点を逸脱している、という厳密な手続上の理由に基づいて判決を下す考えに傾いている。

他の裁判官は、最高裁判所はさらに踏み込んで、最高裁判所自身が米軍の駐留が提起する法律問題を扱うべきだと考えているようだ。さらにまた他の裁判官は、日本国憲法の下で日米安保条約は憲法より優位であるかどうかという、憲法上の問題に取り組むことを望んでいるかもしれない。)


田中裁判長は、下級審の判決が支持されると思っているような様子は見せなかった。それどころか反対に、彼は、それは覆されるだろうが、重要な事は、この事件に含まれている憲法上の争点について判断が下される場合は、15人の裁判官のうち、できるだけ多くの裁判官が一致した判決を下すことだと考えている印象だった。すなわち、伊達裁判官が憲法上の争点について判断を下したことは大きな誤りであったと、彼は述べた。

「原発事故強制起訴」の判決がまさに下されようとしてた9月19日、安倍首相は最高裁長官の大谷直人氏と1時間にもわたる会合をしていました。

大谷長官 ⇒ 「田中耕太郎」役
安倍首相 ⇒ 「マッカーサー2世」役としてなら、 歴史は繰り返しているようにも見えます。

そこでどんな話がなされたのかは不明ですが、推測するに「今回の裁判ではご指示の通り、3人とも ”無罪” で間違いありません。ですので総理、ご安心なさってください」
――さしずめ、そんなところでしょうか?

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