Introduction:東京地検特捜部は「嘘」の証言をしたとして、カルロス・ゴーン被告の妻、キャロル・ナバスさんについて逮捕状を取ったようです。
しかし、端的に申し上げてキャロルさんへの逮捕状など全く意味がありませんし、彼女は罪にも問われないでしょう。
なぜなら、日本の刑法では親族間の犯罪に関する「特例」があるからです。結局のところ、これもゴーン氏と同様、国策捜査の一環と思われます。
面子ばかりにこだわる東京地検。いい加減にしないと司法同様、また世界の笑いものになりますよ。
親族間の犯罪に関する特例とは?
まったく当たり前の話ですが、犯人を匿ったり、逃走を助けたりするのは犯罪行為として処罰されます(刑法第103条:犯人蔵匿等)
また、事件に関する証拠物件を隠したり、捏造したりするのも当然のことながら犯罪行為となります(刑法第104条:犯人蔵匿等)
【刑法第103条:犯人蔵匿等】
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
【刑法第104条:犯人蔵匿等】
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
ところが、犯人の「親族」が犯人を匿ったり、証拠隠滅を図ったりした場合、刑の免除をすることができる「特例」があるのです。
これは「刑法第105条(親族による犯罪に関する特例)」に、明確に書かれています。
【刑法第105条: 親族による犯罪に関する特例】 前2条の罪については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる。 ※前2条の罪とは「 刑法第103条 」「 刑法第104条 」に関わる罪を指す。 |
つまり、犯人の親族が匿ったり、証拠隠滅を行うのは「自然の人情」だとして、犯罪自体は成立するものの、裁量的に刑の免除事由としているからです。
(その代わり、親族の証言は証拠として採用されない場合があります)
◆ 出典記事 ◆
『犯人隠避罪で逮捕 刑の免除を目指す弁護士【名古屋市南区の刑事事件】』
~弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所~
よって、これまでの日本の刑事事件の慣例に照らし合わせれば、キャロル・ナバスさんへの逮捕状など無意味ですし、罪に問うのはいかがなものかと思われます。
要するに、今回のキャロルさんへの逮捕状は東京地検の面子以外の何ものでもなく、海外にいるキャロルさんへの ”負け犬の遠吠え” にしか聞こえません。
人質司法といい、今回の無意味な逮捕状といい、「もういい加減にしろ」と言いたくもなります。
これ以上幼稚で理不尽な権力を振りかざすことは、日本を益々世界の笑いものに貶めるだけです。
WSJに馬鹿にされている日本の司法
その証拠に、1月9日のWSJ(米紙 ウォール・ストリート・ジャーナル)は、社説で今回のカルロス・ゴーン被告の事件を「益々奇妙な展開」をたどっていると評し、「不思議の国のアリス」になぞらえて「不思議の国のゴーン」のようだと揶揄しています。
◆ 出典記事 ◆
『米紙社説「不思議の国のゴーン」=「ますます奇妙」と論評』
~2020.1.8 jiji.com~
つまり、有価証券報告書への過少記載の罪で起訴されただけなのに、7週間も拘留され、自白の強要や、裁判では有罪が確定している日本の司法制度を痛烈に批判しているのです。
そして極めつけが、ゴーン被告の意見陳述の方が「検察が明らかにしている証拠よりも説得力があった」と評価していること。
つまり、日本に司法のイカサマぶりは今や皆の知るところとなり、そんな日本の司法は海外からも馬鹿にされ、物笑いになっているということです。
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