「国際学力テスト」日本人の読解力低下は何を意味するのか?

Introduction:12月になって公表された学習到達調査(PISA)の結果はあまりに衝撃的でした。

日本は数学、化学の分野ではかろうじて上位をキープしたものの、「読解力」においては前回より大きく急落して「15位」の有様です。

一方、中国の躍進ぶりは目を見張ります。
日本を大きく追い抜き、今や世界2位の経済大国にまで成長した中国ですが、学力面でも圧倒し他を寄せ付けません。

膨張する中国と、縮小する日本の非対称性をまざまざと見せつける、今回のPISA(ピザ)の結果でした。

日本の読解力は15位に急落!

経済協力開発機構(OECD)は12月3日、国際的な学習到達調査(PISA:ピザ)の2018年の結果を公表しました。
日本は数学、科学の分野でかろうじて上位を維持したものの、著しい「読解力の低下」が関係者に大きなショックを与えています。

PISAとは、15歳(日本で言えば高校1年生)を対象に3年に1度実施されている学力調査ですが、今回の調査では79カ国、60万人の生徒が参加。日本からは国公私立高の1年生、6,100人が参加しました。

調査の対象となる科目と、前回と今回の日本の順位は以下の通りです。
問題の読解力については、前回の8位から今回の15位といったように急落していることがわかります。

  • 数学的リテラシー〔前回5位 ⇒ 6位〕
  • 科学的リテラシー〔前回2位 ⇒ 5位〕
  • 読解力    〔前回8位 ⇒ 15位〕

読解力の中でも特に正答率が低かったのは、求められた情報を長文から探し出したり、書かれている内容の信用性を評価し事実か意見なのかを判断する、といった問題です。

この事に対して専門家は、近年のSNSの普及を原因の一つとして挙げているようです。LINEを始めとして、SNSで展開されるのは短文中心の言葉だからです。

それを裏付けるように、日頃から本や新聞などに親しんでいる生徒については、概して読解力が高いことが示されています。

学力でも中国が圧倒的!

今回、すべての参加国79カ国の中で、特筆すべきは何と言っても中国でしょう。上図にもあるように、調査対象3科目すべてで1位を独占。圧倒的な存在感を示しました。

中国は既に名目GDPで日本の倍以上の差をつけ、世界第2位の経済大国になっていますが、ここでも中国の強さを見せつける形となりました。
今や中国は経済面でも、学力の面でも日本を遥かにしのぐ ”強国” と言えるでしょう。

なぜ中国は学力が高いのか?

筆者は以前、二人の中国出身の女性から現代中国の様々な状況について話を伺ったことがあります。

一人目の女性は中国の大連出身。現在は商社に勤める日本人男性と結婚し、日本国籍も取得しています。彼女はご主人の仕事柄、今も中国を頻繁に行き来する機会があるそうです。

二人目は上海出身の女性です。上海の名門大学を卒業し、現在は東京に本社を構えるグローバル企業に勤めています。

そして極めて興味深いことに、二人が捉える現在の中国の状況と、日本に対しての感想は驚くほど一致していたということです。

そんな彼女たちは、日本人について非常に驚いていることがあるというのです。
それは、日本人の子供たちがあまりにも ”勉強をしない”、ということです。

特に、日本の小学生などは部活などをやっていなければ、午後になると大抵帰宅してしまいますが、彼女たちはそれが信じられないと言います。というのも、中国では小学生でも夕方まで授業がびっしり組まれていることが珍しくないからです。

そんなこともあり、午後になるとブラブラと家に帰る小学生の様子に驚いたようなのです。

朝夕の登下校は送迎が基本

中国の場合、朝夕の登下校時は父母が送迎することが基本となります。ただ、共稼ぎ家庭が多いことから、祖父母が送迎することもよく見られます。

一つには子供を誘拐といった犯罪から守るためでもありますし、また、越境入学も認められているため、家が遠い生徒は送迎が必要となります。
つまり、より良い学校を求めて生徒は流動的に動いているということです。

一日三食を学校で済ませる場合も!

昼には給食が出ますが、朝早く来る生徒もいるため、朝食を出す学校もあります。また、中高生になると夕方遅くまで授業や補修授業があるため、夕飯を学校で済ませる生徒も珍しくありません。

どうも食事についてはあまり困らないようです。食堂が別にあり、ある程度いつでも食事ができるような体制は整えられているようなのです。
これが大学ともなると、食堂が地元住民に広く開放されている場合もあり、実際、食堂が地元老人の憩いの場のようになっている大学もあるようです。

もちろん、中国のことですから地域によって大きな格差がありますが、都市部の学校では、食べることについてはあまり心配しなくとも良さそうです。
つまり、それだけ学校に張り付いて勉強しているわけです。
要するに、中国は激しい学歴競争社会なのです。

中国躍進の原動力は教育の力!

二人の中国出身の女性は、声をそろえてこう言います。
『中国がここまで躍進できたのは「教育」のお陰だ』と。
中国の人間が特に優秀というわけではなく、国がとにかく教育に力を入れ、国民も熾烈な競争を日夜展開している。だから世界2位まで上りつめたのだと。

それに比べると、日本人はあまりにものんびりし過ぎているように彼女たちには見えるのです。

これは成長期の渦中にある中国と、成熟期に突入してしまった日本といったように、国家のライフサイクルの違いとも言えます。
たしかに、かつての日本も受験戦争なる言葉が社会を駆け巡ったことがあり、当時の日本は経済面で躍進を遂げていました。

その後、日本では受験戦争が収まると ”ゆとり教育” がもてはやされ、なぜか若者たちは自分探しの心の旅に出るようになります。現在の日本はそれらのトレンドが一通り終わった、成熟期から衰退期へと向かうといったように、世界の一線から身を引く準備段階にあると言えましょう。

これからの世界のトレンドは上の順位表が示すように、中国やシンガポールといった新興アジア諸国がリードしてゆくことでしょう。このままでは日本が入りこむ隙間は、もはや残されていないように思われます。

Last Updated on 2020-04-03 by この記事を書いた人:白坂和哉

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