Introduction: 『本当にトランプ大統領はコロナに感染したのか?』 『トランプ大統領のコロナ感染は詐病ではないか?』 そのような疑念を抱く人々が、世界中で増えつつあります。 アメリカの映画監督、マイケル・ムーア氏もその一人。元々彼は自他ともに認める大のアンチ・トランプですが、コロナに感染した肥満体の高齢者がわずか3日で退院したとあっては、とても尋常とは言えないでしょう。 さらにトランプ大統領については、専門家の中からソシオパス(社会病質者)の疑いすら取り沙汰されています。 アメリカ大統領選の帰趨については、もはや誰も予測できない域に達してしまいました。 |
M・ムーア『トランプは恐れ知らずのプロの嘘つき!』
トランプ&バイデンの第1回目の討論会があのような形で終了した今、当たり前の話ですが、トランプ大統領は民主党のバイデン氏に支持率で15ポイント以上の差をつけられています。
トランプ陣営は今回の「コロナ感染 ⇒ 早期退院」を『劇的な帰還』と銘打ったキャンペーンを展開しており、「自らコロナに打ち勝った大統領」といったイメージ作りに必死です。
そんな中、今回のトランプ大統領のコロナ感染に疑義を呈する人物が現れました。アメリカのドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーア氏です。
ムーア氏は自身のfacebookで、トランプ大統領については絶対的な真実があるとした上で「トランプは一貫した、絶対的な、容赦なく、恐れを知らないプロの嘘つきだ」と痛烈に批判。これまで様々な嘘を塗り重ねてきたトランプ大統領の言葉は到底信じるわけにはいかないとし、「本当にコロナに感染したかもしれないが、これもまた嘘である可能性がある」と指摘しています。
ムーア氏に言わせれば、今回の感染騒動でトランプ大統領の主治医となった二人の医師、ショーン・コンリー氏とショーン・ドゥーリー氏の両名は大統領の医療カルテを保持していませんし、レントゲンやCTスキャンを行っておらず、コロナに感染した日付も把握していないとのこと。
若干荒唐無稽な話に聞こえますが、このことについては日本の朝日新聞も《肺炎の症状などが疑われるものの、医師団はX線写真やCT検査の結果について「話す立場にない」として説明を拒否。トランプ氏の感染時期特定のためには「感染が明らかになる前に、最後に検査で陰性となった日時」が重要だが、「さかのぼりたくない」として明かしていない》と報道しています。
(※出典:2020.10.07 朝日新聞『(時時刻刻)大統領選へ退院急ぐ 未承認薬投与・CT結果説明せず トランプ氏』)
特にショーン・コンリー氏については「大統領へ酸素吸入はしたか?」との記者の質問に対して「今はしていない」といった ”ご飯論法” を頻繁に繰り返しており、発言の信憑性に疑問符がつくのは確かです。
もっとも、これら二人は元々は軍医、医師であると同時に軍人であります。ということは、彼らの上司は紛れもなくトランプ大統領であるわけで、仮にトランプ大統領から「詐病」を持ちかけられたとしても、医師の矜持でもって彼らにそれを断る選択肢が残されているのかと言えば甚だ疑問です。
それ以上に、マイケル・ムーア氏の「トランプのコロナ感染は嘘かもしれない」説に一定の説得力を見出したのにはそれなりの理由があるわけで、実際トランプ氏は過去に信じられない嘘をついていた、嘘の常習犯であること自体は紛れもない「事実」だからです。
次の章に記すのは、”トランプ武勇伝” のほんの一部に過ぎません──
トランプ氏、自ら偽名を使って大炎上を仕掛ける!
2019年10月31日。福島県福島市『とうほう・みんなの文化センター』で開催された、福島市仏教青年会の聞法会(もんぽうえ)400回記念特別講演会の講師として招かれたのが、ジャーナリストの池上彰氏でした。
大変な盛況を博したこの講演のテーマは『ニュースから世界を読む』
やはりトランプ大統領にも話が及んだのですが、そこで興味深い話として池上氏が取り上げたのが、トランプ氏による ”自作自演” の「嘘」だったのです。
──当時のアメリカのタブロイド誌は、不動産王のトランプ氏の女性スキャンダルを追いかけていた。
この手の雑誌には読者から様々な ”いい加減な” 情報も寄せられるが、その中でいつも確度の高い情報をもたらす一人の人物がいた。彼が指摘する場所で張り込んでいると、いつもトランプ氏は見知らぬ美女を連れて現れるのだ。
「ジョン・バロン」を名乗るその男性を、タブロイド誌側が不審に思って調査をしたところ、「ジョン・バロン」とはトランプ本人であった──
”悪名は無名に勝る” と言います。
トランプ氏は、自分の女性スキャンダルを自ら雑誌に暴露することで世間の注目を浴び、有名になった勢いで自身のビジネスを有利に進めようとしていた。いわば現在で言うところの ”炎上商法” に、彼はかなり早い段階から手を染めていたわけです。
トランプ氏は「ジョン・バロン」以外にも「ジョン・ミラー」といった偽名を使っていたことが分かっています。
1991年、芸能週刊誌『People』がトランプ氏の会社に女性スキャンダルについて取材を申し込んだところ、「ジョン・ミラー」を名乗る広報担当者から折り返しの電話があり、このミラー氏はトランプ氏の派手な女性交友関係(その中には人気歌手マドンナとのデート話もあった)について長時間にわたり記者に対してリップ・サービスに励んだ挙げ句、最後は「彼はいいやつだ」と言ったとか──
この会話の一部始終は『People』によって録音されましたが、もちろん当のトランプ氏は自身の関与を否定しています。
コロナの脅威を知りつつ実態を「隠蔽!」
女性スキャンダルでしたら笑って済ませられる ”かも” しれませんが、次の事実は「人の命が掛かっている」という意味において、全く洒落では済ませられません。これは明らかに由々しき事態なのですが、不思議なことにアメリカ国民はこの事実を忘れてしまったのでしょうか?
ウォーターゲート事件の報道でニクソン大統領を辞任に追い込んだことで知られるアメリカの著名なジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏は、彼の新作『RAGE』(怒り)のため昨年の12月から今年の7月にかけ、トランプ大統領本人へ18回にわたりインタビューを続けてきました。
その中で判明したのが、実はトランプ大統領はアメリカでコロナの死者が出る以前の早い段階でコロナの危険性を正確に認識しており、なんと2月7日の時点で「これは致死的なウイルスだ」とウッドワード氏に語っていたのです。
(この発言についてはウッドワード氏により録音されております)
つまり、トランプ大統領は新型コロナが極めて危険なウイルスであることを分かっていながら ”パニックを引き起こしたくない” ために ”控えめに扱ってきた” わけです。このことは、その後に行われた3月のインタビューでトランプ大統領自身が認めています。
ところが、これまでトランプ大統領が大衆に向かって叫んできた言葉は、これとはまったく間逆なのです。「コロナはいずれ消え去る!」「全てはうまくいく!」
彼はこのように主張し続け、それは今も変わってはいません。
そして、コロナに感染したとされるその後においても「新型コロナを恐れるな!」といった強いメッセージをアメリカ国民に対して発信し続けている。
これこそが確信犯的なトランプ大統領による「嘘」です。
しかも、トランプ大統領自身、コロナの危険性を認識しながら公の場ではコロナを軽視する発言を繰り返している。仮にトランプ大統領が早い段階からコロナに対する適切な啓蒙を行っていれば、アメリカでこれほど多くのコロナによる死者は出なかったはずです(10/8 時点で死者は約211,700人)
トランプ大統領の「嘘」によって多くの死者が出たのは明白で、彼は ”人殺し” のそしりを逃れられないでしょう。そんなトランプ大統領は異常を通り越して、病的な何かを感じないではいられません。
専門家はトランプを「ソシオパス」だと確信している!
トランプ大統領の一連の異常な行動については、アメリカのカリフォルニアに拠点を置くニュースサイト『salon.com』に興味深い記事が掲載されています。
“Sociopathy”: Psychiatrist says Trump’s behavior “meets criteria for a locked psychiatric facility” と題された記事では、トランプ大統領はソシオパス(社会病質者)であるといった精神科医の見解を掲載しています。
これを主張しているのはバンディ・リー博士。
彼女はアメリカの名門イエール大学医学部の司法精神科医であり、イエール大学法科大学院でも教鞭をとる暴力防止への公衆衛生アプローチの専門家としても知られています。また、トランプ大統領の危険性と不適格性を指摘し、2020年の大統領選からの除名と彼のオフィスの閉鎖を求めています。
そんな彼女が主張しているのが『トランプ大統領はソシオパス(社会病質者)である』ということ。
ソシオパス(社会病質者)とは、反社会的な行動や気質を特徴とする精神疾患(パーソナリティ障害)を抱えた人のことで、精神障害が反社会的な振る舞いとして表出するタイプの人を指します。
リー博士は「他者への羨望から、人々が苦しんで死ぬことを望んでしまうという意味において、ソシオパスは危険である」と言い──
トランプ大統領を評して「さまざまな理由で人々を危険にさらすことを喜んでいると言っても過言ではないと思います。たとえば、彼が支持者をマスクなしの混雑した屋内集会に強制するとき、トランプ大統領はそれによって支持者らが彼への忠誠を証明することを要求しているのです」と説明しています。
そんなトランプ大統領はリー博士に言わせれば、「大統領は適切なケアを受ける必要があり、これまでの彼の行動履歴から判断すれば、施錠されたような精神科病棟に入院する条件は十分備わっている」ことになります。
つまり、アメリカで20万以上もの人々がコロナによって命を落としたことについては、トランプ大統領が過失致死が加担した結果であるとリー博士は見なしており、彼女はこれをトランプによる「大量殺戮」だと主張しているわけです。
そして興味深いことに、バンディ・リー博士もまた、トランプ大統領のコロナ感染について「詐病」である疑いを排除していないのです。
I am still not ruling out malingering, or feigning illness.
2020.10.06 salon.com “Sociopathy”: Psychiatrist says Trump’s behavior “meets criteria for a locked psychiatric facility”
When deciphering these things, we look for medical inconsistencies, secondary gain and psychological disposition.
There are already too many inconsistencies in the medical picture, and look at the enormous secondary gain.
We know that he needed something to reset his campaign, with everything going badly for him and his debate performance being unable to reverse the polls — and he was instantly able to stifle most criticism.
We also know that he would manipulate any situation, and that we are vulnerable.
【訳】
私はまだ詐病や病気の偽装を排除していません。
これらのことを解読するとき、私たちは医学的矛盾、二次的利益、心理的傾向を探りますす。
医療の状況にはすでに多くの矛盾があり、莫大とも言える二次的な利益を見てみてください。
私たちは、彼がキャンペーンをリセットするために何かを必要としていたことを知っています。彼にとってすべてがうまくいかず、彼の討論のパフォーマンスは投票行動を覆すことができませんでした──そして、彼は即座にほとんどの批判を抑えることができました。
また、彼があらゆる状況を操作すること、そして私たちが脆弱であることも知っています。
これは史上空前の茶番劇なのか!?
アメリカの現地時間29日夜、トランプ大統領とバイデン前副大統領による1回目のテレビ討論は、歴史に残る醜い争いだったと酷評されています。
トランプがバイデンや司会者の言葉を遮り割り込んでくるシーンが何度も映し出され、それに業を煮やしてしまったバイデンも正面から応戦してしまったことで会場はさながら罵り合いの現場と化してしまいました。
あまりのレベルの低さ、低次元ぶりに ”勝者のいない討論会” と揶揄されましたが、その元凶となったのがトランプ大統領であることに疑いの余地はありません。
そんなトランプ大統領であっても、次回の討論会でも似たような展開に持ち込むことができないことぐらい、さすがに理解しているでしょう。かといって、ここでパワーをセーブして理知的に政策論争を交わしたとて、果たしてトランプはバイデンに勝てるのか?
実は、コロナ禍以来、大統領選の帰趨を誰よりも気にかけ ”心底焦っていた” のは他ならぬトランプ大統領本人だったのではないか?
よって、ここで大統領選の天王山であるテレビ討論会で勝つには何よりも『大きな物語』が必要になる。
そこでトランプ大統領が起死回生の一撃として ”意図的に” 企んだのが、”コロナ感染” なのではないか? つまり、マッチョなトランプが感染し、それでも驚くべき速さで回復し ”劇的な帰還” を果たせば、まさにこれなどは『大きな物語』にふさわしい──
上述したバンディ・リー博士の言う「キャンペーンをリセットする」とはまさにこのことを指し、「トランプは不死身の男だ!」と興奮する支持者が一部に存在するのは事実です。
もっとも、4日に行われた全米世論調査では「65%」ものアメリカ国民が「トランプが新型コロナを深刻に受け止めていれば感染することはなかった」と考えており、大統領のコロナへの態度を疑問視する声が一方で相次いでいます。
アメリカ大統領選の帰趨については、もはや誰も予測できない域に達してしまったかのようです。
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