Introduction:8月6日から9日の間、日本では過去の原爆投下に思いを馳せ、亡くなった人々の冥福を祈る日になっています。

しかし、あらためて戦時下の原爆に焦点を当てると、これは明らかなアメリカによる「戦争犯罪」であったことが分かります。

しかも、原爆投下が終戦を早めたわけでも何でもなく、遅かれ早かれ当時の日本は降伏していただろうと、多くの関係者が口を揃えています。

アメリカという国家は日本人に対し、歴史に残る大罪を犯したのではないでしょうか?

日本人を蛇蝎のごとく嫌ったアメリカ人

──8月6日、夏。
この日から9日にかけては、日本人ならば誰もが知っている原爆の記憶を呼び覚す日だ。

言うまでもなく、8月6日は広島に原爆が投下された日であり、8月9日は長崎に原爆が投下された日である。

しかし、アメリカには21世紀のこの期に及んでも「原爆投下が終戦を早めた」とか「日本軍によるアジアの犠牲も少なくした」といった誤った認識に囚われている者が数多く存在し、そのような認識を持つ85%が今でも原爆の使用を是認している。さらに、そのなかの23%が日本があれほど早期に降伏せず、アメリカに原爆を落とし続けられれば良かったとすら考えている。

連合国の勝利は原爆によってもたらされたものであり、原爆のおかげでアメリカが侵攻するまでもなく戦争が終結し、何十万というアメリカ人の命が救われたという神話が、トルーマン、スティムソンその他によって広められた。一九九一年、ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ元大統領は、トルーマンの「何百万人というアメリカ人の生命を救った・・・・・・用意周到にして不屈の決断」を擁護したほどだ。

しかし、事実は違う。たしかに原爆は日本の降伏受諾に影響を与えてはいるだろうが、それはアメリカの飛び石作戦、空爆、封鎖、そしてソ連の侵攻が与える劇的な影響に比べれば副次的なものだ。日本の指導者たちは本土決戦ですらすでに無意味だと確信していたのである。それはアメリカの指導者たちにしても同じだった。

オリバー・ストーン『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史1 2つの大戦と原爆投下』(早川書房)〔P365~366〕

ではなぜ、アメリカの一部の指導者は神話を流布させるといった国民への ”洗脳” までして原爆投下を正当化したかったのか? つまり、なぜそこまでして原爆を投下したかったのか?
──そこには日本人に対するあからさまな差別意識があったからだ。日本人に対して深い憎しみを抱いていたからだ。

アメリカの歴史家、アラン・ネヴィンズは語っている「我が国の歴史上、日本人ほど忌み嫌われた敵はいない」と。
同じく歴史家のジョン・ダワーは「アメリカ人は日本人を害虫、ゴキブリ、ガラガラヘビ、ネズミと見なした。サルの比喩も多用された」とも述べている。
雑誌『TIME』は「日本の一般市民は思考分別に欠け無恥である。ひょっとすると人間かもしれないが、それを示す証拠は皆無である」とコメントした。

こうした感情の一因は間違いなく人種差別だろう。だが、日本人に対してこれほどまでの憎しみを掻き立てる強力な原因はほかにもある。アメリカが参戦する前、アメリカ人は中国、とりわけ南京で日本人がなした爆撃、レイプ、残虐行為についてすでに聞きおよんでいた。真珠湾の「奇襲」によって、アメリカ人の反日感情はいやが上にも高まった。そんな状況にあった。

やがて口にするにも憚られるような日本人の残虐性──拷問、磔、去勢、手足の切断、斬首、人を生きたまま焼いたり埋めたりする行為、生体解剖、捕虜を木に縛りつけて行う銃剣の稽古──をめぐる逸話がメディアにあふれた。こうして戦争初期には日本人に対する怒りだったものが、太平洋方面でのアメリカ軍の苦戦が伝えられるようになると卑劣な憎悪にその姿を変えた。

オリバー・ストーン『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史1 2つの大戦と原爆投下』(早川書房)〔P318〕

したがって、そんな虫けら以下の憎悪すべき日本人に対し、原爆を投下することは特に当時のハリー・S・トルーマン大統領にとっては体のいい ”実態実験” であり、世界中の人々がこの最新兵器の重要性に気づくようにする ”壮大な見世物” だったのだ。

つまり、アメリカによる原爆投下は戦争に勝ち、覇権国家として台頭しつつある当時のアメリカにとっての有利な解釈でしかなく、アメリカは日本に原爆を投下することで原爆の影響力のデータを収集するといった筆舌にし難い人体実験を行うとともに、将来起こるであろう冷戦への一つの防波堤にしたわけだ。

アメリカによる日本への原爆投下を正確に定義するならば、国際法を逸脱した「無差別殺人」であり、かつてのナチス・ドイツによる「戦争犯罪」と寸分たがわないはずだ。しかし、アメリカは邪悪なナチスの指導者らと一般の ”善良なるドイツ人” を慎重に区別していたが、これらの区別を日本人に対しては適用していない。

アメリカの戦争犯罪

戦後の東京裁判ではA級、B級、C級といった戦犯の括りが設けられた。
A級は「平和に対する罪」
B級は「通常の戦争犯罪」
C級は「人道に対する罪」

ちなみに、C級戦犯(人道に対する罪)はナチスを裁くためのニュルンベルク裁判での「ホロコースト」に該当するもので、日本で該当者はほとんど存在しなかった。そしてB級戦犯は捕虜の虐待や民間人の殺戮で、当時の国際法で禁じられていた行為の違反者に課せられ、従来の軍事法廷で裁かれていたのがこれである。

そして、原爆の使用は「民間人の殺戮」そのもであり、戦争犯罪を定義した国際法に抵触するのは明らかだ。まさに「B級戦犯」そのもの、あるいは「人道に対する罪」という「C級戦犯」にすら該当するかもしれない。

にもかかわらず、アメリカは「原爆投下が終戦を早めた」とか「日本軍によるアジアの犠牲も少なくした」といったプロパガンダをメディアを通じて流布させることでアメリカ国民を洗脳し、アメリカ人の大部分は(あらゆる人種を含めてのアメリカ人を指すが)この手の洗脳にコロリとやられるのである。

ニュルンベルク裁判の首席検事テルフォード・テイラーは「広島の是非については議論の余地があるが、長崎を正当化するに足る理由を私は聞いたためしがない」と述べた。彼は長崎を戦争犯罪とみなしていた。

オリバー・ストーン『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史1 2つの大戦と原爆投下』(早川書房)〔P359〕

原爆を投下しなくとも戦争は終結していた!

アメリカの軍人カーチス・ルメイは最終階級は空軍大将。1990年に亡くなった。当初は戦闘機のパイロットであったが、後に爆撃機に転向した。彼は様々な局面において活躍を見せたが、最初に語るべきはやはり爆撃機B29による日本本土爆撃だろう。

彼は冷徹にして頑固者。異常なまでの好戦的性格は部下に対しても極めて厳しく、故に信頼も篤かった鉄壁の軍人である。彼は戦争に対して、道徳観に苛まれることはなかった。彼の念頭には常に国家からのミッションがあり、そもそも戦争とは道徳に反する行為であると自ら定義していた。よって、日本への本土爆撃に対しても良心の呵責に苛まれることなく(多くの部下が少なからずためらいを感じていたにも拘らず)女性や子供を含めた一般市民を標的にすることであっても「ふざけるな!」といって ”ためらい” を一蹴することができたのである。

そんなルメイにつけられたあだ名が ”皆殺しのルメイ” である。

そのルメイをしても、戦争終結のために原爆が必要だったかについては「?」なのだ。終戦後、ルメイは次のような言葉を残している。
「原爆もソ連参戦がなくとも、日本は二週間もあれば降伏していただろう。原爆は戦争終結とはまったくかかわりがない」

アメリカの五つ星階級章将官七名のうち、第二次世界大戦で最後の星を獲得した六名──マッカーサー元帥、アイゼンハワー元帥、アーノルド元帥、リーヒ提督、キング提督、ニミッツ提督──は、戦争終結に原子爆弾が不可欠であるという考えを拒絶していた。残念ながら、これらの軍人が投下に先立ってトルーマンに自身の意見を強硬に訴えた形跡はほとんどない。

オリバー・ストーン『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史1 2つの大戦と原爆投下』(早川書房)〔P364〕

当時の多くの状況証拠が、原爆投下がなくとも戦争が終息していた高い可能性を物語っている。それでも日本人への激しい差別感情と、これは忘れてはならないのだが、当時のトルーマン大統領の指導者として適正を欠く本能が、日本に原爆を投下するに至らせたのではあるまいか? 彼は、日本の首相、鈴木貫太郎がポツダム宣言を ”黙殺” したとの話を聞き、「しめた!」と叫んだという。

そして、原爆実験成功の報に接し、狂喜したトルーマンはまさに ”豹変” する。それまでの会談ではチャーチルやスターリンに主導権を握られていたが、自信を深めた彼は ”向かうところ敵なし” といった様子で、以降は審議を牛耳るようになった。

戦後、テレビのトークショーで、トルーマンはアナウンサーからこんな質問を受けている。
「原爆投下の決断は道徳的に難しかったのでしょうか?」
これに対し、彼は何と答えたか?
──彼は「そんなことあるわけない、このくらい簡単だったさ」と言って指をパチンと鳴らした。

Last Updated on 2020-09-23 by この記事を書いた人:白坂和哉

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