写真:2019年5月1日の新聞各紙

Introduction:昨年、天皇明仁(あきひと)さまが退位され、皇太子徳仁(なるひと)さまが皇位を継承し新しい天皇に即位されました。

2020年5月1日は、新天皇陛下ご即位から1年となる節目の日となります。

新天皇となられた徳仁さまは、即位に際し「国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します」と決意を新たにされましたが、日本国内ではたび重なる自然災害があり、そして世界は新型コロナという未曽有のウイルスに苛まれているのが現実です。

今回は新聞各紙の紙面を通じ、激動の時代となった「令和」を見つめます。

新天皇即位を新聞各紙はどう伝えたか?

2020年5月1日は、天皇徳仁さまが第126代天皇に即位されてから1年となる節目です。昭和天皇が崩御され、極めて目まぐるしい中で発表された元号「平成」とは違い、今回は202年ぶりの天皇退位による代替わりとあって、新元号「令和」が発表されたのは1カ月遡ることの2019年4月1日のことでした。

「令和」の基となったのは万葉集の「初春令月 気淑風和」の下り。国書を典拠としたのはこれが初めてで、それが要因となったためか「令和」の元号は瞬く間に国民に広く受け入れられ、これを発表した菅官房長官は ”令和おじさん” と称されるようになりました。

さて、1年前の2019年5月1日まで遡り、新聞各紙は新時代「令和」をどのように報道していたかを振り返ってみましょう。

福島民報

冒頭の画像にもあるように、筆者の住む福島県の地元紙『福島民報』の大胆な紙面構成には驚かされました。「これでもか!」とばかりの誇大な演出ですか、新時代の到来という大きな期待を込めている意味において、これは大成功だったと感じます。

『福島民報』では、社説において前陛下である天皇明仁さまの言葉に触れています。それは、「旅」であり「道」です。

天皇明仁さまは、先の大戦で亡くなった人々を鎮魂する「旅」、そして震災で被災された方々を見舞う「旅」を続けてこられたことで知られています。
それは「日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅」「自らも国民の一人であった皇后が、私の人生の旅に加わり」「天皇としての旅を終えようとしている今」といった言葉に表れ、「憲法で定められた象徴としての天皇像を模索する道は果てしなく遠く」に結実しています。

冒頭の巻頭コラム「あぶくま抄」では、新陛下となられた天皇徳仁さまの歌の紹介があります。

復興の 住宅に移りし人々の 語るを聞きつつ 幸を祈れり

この歌に呼応した新皇后雅子さまの歌も、実に味わい深いものでした。

ふるさとの 復興願いて語り合う 若人たちの まなざしは澄む

訪れた福島県広野町の高校で、生徒たちが真剣に意見を交わす様子に触れた歌でした。

讀賣新聞

讀賣新聞は社説において「平成」という時代を総括しています。
つまり平成の30年余、日本はデフレス・パイラルといった長期の景気低迷に苛まれ、国際競争が激化する中で2度も大震災が起こりました。

特に経済での逆風は現在も続いており、バブル崩壊後に日本企業は勢いを失い、産業の空洞化も相まって技術革新の見劣り甚だしいものがあります。この間、GDPで中国に追い抜かれ、一人当たりのGDPでも世界の中での順位が低下の一途を辿っています。

「実力以上に膨張した経済や、過去の成功体験は持続可能ではなかった」と讀賣新聞は手厳しい見方を示しています。

その反面、非常に違和感を覚えるのが安全保障に関する記述です。
《米ソ対立を前提とした日米同盟は冷戦終結後、新たな国際情勢に即応する形に改められた。防衛費の急増を招かずに自衛隊の能力も向上させた》として、「一国平和主義」に閉じこもることなく安全保障体制を整えたと、安倍政権による政策を評価しているわけです。

この社説が嫌らしいのは、2015年9月に安倍政権のもとで成立した「安全保障関連法」には全く触れていない点です。この法により9条の規定が完全に骨抜きにされ、現在においては政府が言うところの条件さえ整えば、集団的自衛権も行使が可能になっているのが現実なのです。それを分かっていながら讀賣新聞は『曲折を経たものの、合格点に達したと言えよう』などと詭弁を弄している。讀賣が ”政府の広告塔” と揶揄される所以です。

毎日新聞

『変化にしなやかな適応を』と題された毎日新聞の社説では、《ただし、これからは日本は国内で暮らす人は必ずしも国民とは限らない時代に入っていく》として、移民の問題に斬り込んでいます。

今や日本の在留外国人は既に人口の2%を占めるに至り、273万人にも上っています(※筆者注:実は、日本の世界第4位の移民大国でもあります) そして、外国人労働者受け入れの制度も始まり、母語も習慣も違う隣人との共生がますます必要になると問題提起しています。

ここで引き合いに出したのが、2018年10月に亡くなった東大名誉教授・大沼保昭氏の遺作となった著書『国際法』です。大沼氏はこの本の中で「民族的少数者の社会統合を促進」するため、国籍取得要件の拡充を訴えたわけです。

現在の日本は、両親がのどちらかが日本国民ならこどもも日本国民となる両血統主義をとっている。これを親が外国人であってもこどもには生来の日本国籍を付与する「二世代出生主義」に変えることは、十分検討されてよい。そのような国籍法性は、日本社会に定着した人々に国民としての権利と義務を与え、国民的統合を促進する機能を営むからである。

また、日本の制度・法令には、本来日本社会の構成員、つまり「住民」に享有資格をみとめるべきなのに、単一民族神話の強さから「日本人」・「日本国民」を資格者としているものも多い。こうした法令の「日本人」・「国民」規定を「住民」と読み替えて解釈することも民族的少数者の社会統合を促進する。

大沼保昭『国際法』(ちくま新書)〔194ページ〕

そもそも日本政府が入国管理政策の転換に踏み切ったのは、日本の人口構造に急激な変化が予想されるからです。20年後の2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者人口がピークに達します。さらに、2050年には日本の人口が現在よりも約2000万人減って1億人前後になるもの予想されているのです。

陛下のご心中はいかに?

Photo by : 2020年5月1日 産経新聞 朝刊

しかし、私たちの目の前に現れたのは平和な令和時代ではなく、あまりに過酷な激動の時代です。

5月1日の産経新聞は『令和時代、激動の幕開け』と題し、昨年の新天皇即位後から1年間の主たるニュースを写真と共に掲載しています。

新天皇即位後の2019年6月に大阪で開催されたG20首脳会議、9月にはラグビーW杯で日本代表の活躍があり、10月に消費税が10%に引き上げられ、台風・豪雨が日本列島を襲い大災害となりました。そして12月には日産自動車のカルロス・ゴーン氏が日本から逃亡し、その後、日本はもとより世界中で新型コロナウイルスが蔓延する事態に。今年の3月には東京オリンピックも延期となりました。

──まさに激動の『令和時代』です。
今、天皇皇后両陛下はどのようなお気持ちで過ごされているのでしょうか。

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