新型コロナウイルスは「生物兵器!?」~米メディアが報じる疑惑

国際社会

Introduction:中国の河北省武漢市で発生した「新型コロナウイルス」は、瞬く間に世界中に拡散しました。

この記事を書いている2020/1/31現在、世界中で感染者は8,236人死亡者は170人を超えています。

さらに驚くべきは、このウイルスについては「生物兵器」の疑いが取りざたされているのです。

WHOがようやく緊急事態を宣言し、中国の研究施設に疑いの眼が向けられていますが、もちろん中国当局はこれを否定しています。

イスラエル元軍事情報官の証言

この疑惑の発端になったのは、米紙『ワシントン・タイムズ』
1月24日に掲載された記事では、中国政府当局が開発する「生物兵器」が、何らかの形で外部に流出してしまった可能性を示唆しています。

ちなみに、生物兵器はウイルスや細菌から作られますが、際限なく拡散し人々を死に追いやる非人道的な特性から、現在では国際法において使用が禁止されています。

最初にこの脅威を指摘したのは、イスラエルの元軍事情報官(上級アナリスト)のダニー・ショハム氏です。彼には中国のバイオ戦争について研究してきた経緯があり、また、医療微生物学の博士号を保有しています。

ショハム氏によれば、武漢に端を発する一連の新型コロナウイルス騒動については、実は「生物兵器」が何らかの原因により、研究機関から外部に流出してしまった疑いがあるとのこと。そして、問題の研究施設は「2つ」存在し、北京の極秘生物兵器プログラムにも関係していると言うのです。

「武漢国家生物安全研究所」 ▶中国唯一のBSL-4研究施設

武漢国家生物安全研究所 National Biosafety Laboratory, Wuhan(NBL)

インターネット上では、今回「生物兵器」が流出した疑いのあるのは、「中国科学院武漢病毒研究所(Wuhan Institute of Virology)」であるとの見方を示す方が多いようですが、これは正確ではありません。

「中国科学院武漢病毒研究所」は1956年に設立された「武漢微生物学研究所」に源流を辿ることができます。その後、他の中国科学アカデミーとの統合再編などがあり、現在は「中国科学院(Chinese Academy of Science)」傘下の研究機関となっています。

2003年3月にベトナムのハノイと香港で出現したSARSウイルスは、その後瞬く間に世界へと拡散してゆき、当初その流行を否定していた中国政府当局も、翌月4月には大流行を認めざるを得なくなるほど中国国内の被害は甚大なものになりました。

そのような経緯を踏まえ、バイオセーフティ研究所の必要性から「中国科学院」の要請のもとに、「中国科学院武漢病毒研究所」の傘下機関として設立されたのが「武漢国家生物安全研究所(National Biosafety Laboratory, Wuhan)」
つまり、「中国科学院武漢病毒研究所」では扱えないような、最も危険なウイルスや細菌などを研究するために独立した研究機関を設立したわけです。

現在、「武漢国家生物安全研究所」は中国で唯一の「バイオセーフティ・レベル4(BSL-4)」の病原体(ウイルスや細菌等)を扱うことが可能な研究施設となっております。

バイオセーフティとは何か?

「バイオセーフティ」とは
病原体を取り扱う研究施設のランク付けです。
人に対する病原体の危険度をレベル1〜4段階(BSL:バイオセーフティレベル:1〜4)に分類し、レベル4を最高危険度の病原体として位置づけています。
BSL-1個体(人・動物)、および地域社会へのリスクは無か低い
BSL-2個体へのリスク中等度、地域社会へのリスクは低い
BSL-3個体へのリスクが高い、地域社会へのリスクは低い
BSL-4個体、および地域社会へのリスクが高い

米国務省も重大な関心を持って注視

新型コロナウイルスを外部に流出させた疑いのある研究施設として、ダニー・ショハム氏が先ず指摘した研究施設は「武漢国家生物安全研究所」です。
彼によれば、この施設はこれまでに「エボラ出血熱」「クリミア・コンゴ出血熱」 「ニパウイルス感染症」 などの研究を行ってきました。

ちなみに、「エボラ出血熱」「クリミア・コンゴ出血熱」はバイオセーフティ・レベル4、「ニパウイルス感染症」はバイオセーフティ・レベル3に分類されますが、バイオセーフティ・レベル4に研究施設がある場合は、その研究施設で取り扱われるなど、いずれにしても最も危険なウイルスに分類されています。

ショハム氏がなぜ「生物兵器」の存在を疑っているのかについては、カナダに勤務していた同研究施設のウイルス学者のグループが、エボラ出血熱を含む最も危険なウイルスを不正に中国に送った疑いがあるからです。

そして、「生物兵器」を開発する過程で、人に触れた「生物兵器ウイルス」がそうと気づかれないまま外部に流出してしまった可能性を指摘しています。

この件については、アメリカ国務省も中国に対し疑念を持っています。
これまで中国政府当局は、いかなる「生物兵器」も保有していないとの立場を表明していましたが、アメリカ国務省の回答を求める要請には何の反応も示していません。

アメリカ国務省は昨年のリポートで、中国が密かに「生物兵器」を用いた戦争に従事している疑いがあると報告しています。

中国の「生物兵器」の保有については、今のところ確たる証拠が出ていないのは事実ですが、民間での研究が「生物兵器」として軍事転用されている疑惑は深まるばかりです。

「武漢生物製品研究所」 ▶各種ウイルスワクチンを製造する民間企業

武漢生物製品研究所 Wuhan Institute Biological Products

新型コロナウイルスを外部に流出させた疑いのある研究施設として、ショハム氏が次に疑っているのが「武漢生物製品研究所(Wuhan Institute Biological Products)」 です。

これは民間の研究施設ですが、中国の防衛施設とも繋がりがあり、SARSウイルス(BSL-3)も保有・研究している疑いがあると言います。

民間とはいえ「武漢生物製品研究所」は、中国国内の生物兵器禁止条約(BWC)の対象となる8つの研究施設の中に含まれています。

「中国科学院武漢病毒研究所」「武漢国家生物安全研究所」の建物は同一敷地内にあり、奇妙なことに「武漢生物製品研究所」の建物は直線距離で約500m程度のところに建っています。

そして、これらの場所は、新型コロナウイルス感染の発端とされる「華南海鮮市場」から約30㎞程度の場所に位置しているのです。

新型コロナウイルスをめぐる悩ましい問題

私たちは、(もしかしたら「生物兵器」かもしれない)新型コロナウイルスの世界的な拡散を目の当たりにしているのですが、それでも中国を国際的に非難するには困難を伴うかもしれません。

というのも、今回紹介した「武漢国家生物安全研究所」の設立には、フランスが深く関わっているからです。

「武漢国家生物安全研究所」はフランスの支援と設計により、2004年に建設のプロジェクトが始まり、約10年後の2015年1月に建物設備といった物理的な施設が完成しました。そして、中国政府から施設稼働の承認がおりたのは2016年8月です。

そして、翌年の2017年、フランスのオランド大統領のもとで首相を務めたカズヌーヴ首相が「武漢国家生物安全研究所」を訪問。彼は次の5年で毎年100万ユーロを投資し、同施設の研究者を支援することを約束したわけです。

ちなみに、カズヌーヴ首相は同じ年に中国を公式訪問した際、李克強・副主席と会談し、フランス企業に対する中国の市場開放を強く求めています。
つまり、中国のバイオセーフティ研究所については、フランスの中国利権に深く関わっているわけです。

キーパーソンは彼だ!

武漢国家生物安全研究所 所長 Yuan Zhiming氏
Photo by :FRENCH.CHINA.ORG.CN
” Le laboratoire P4 de Wuhan : la coopération médicale sino-française ”

では、なぜフランスなのでしょうか?
それは、「武漢国家生物安全研究所」の所長を務めるユアン・ジミン(Yuan Zhiming)氏と深い関係があります。

ユアン氏は河北省に生まれ、武漢大学で生物学を専攻。卒業後にフランスの名門パスツール研究所でも学んだ経歴を持ちます。

2003年に中国国内で猛威を振るったSARSウイルスにより、中国政府当局はBSL-4研究所の必要性を痛感するわけですが、その際、中国科学院のトップレベルの人間と共に渡仏し、研究所設立の支援要請をおこなったのが他ならぬユアン氏です。

つまり、中国のバイオセーフティ研究所はユアン氏のフランス繋がりから生まれたようなもので、それがフランスの中国利権にも上手い具合にマッチしたと思われます。

したがって、今回の新型コロナウイルスについては、ユアン氏が何らかの重要な情報を握っている可能性が極めて高く、いずれ彼の名が浮上してくるのも時間の問題だと思われます。

▼ 2020/01/31 の世界の被害状況 
 ・感染者:8,236人
 ・死亡者:171人
 ・回復者:143人

◆ 関連記事 ◆
 
『新型コロナウイルスをリアルタイムで可視化できるシステムが公開された!』

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