再び「日英同盟」締結!? ~EU離脱したイギリスへの処方箋

Introduction:2020年1月31日。イギリスはこの日を最後にEUを離脱し、荒海の大海へと漕ぎ出しました。

国民投票による離脱が決まったこの3年半、イギリス国内での残留派と離脱派の分断は、さらに深刻さを増しているように思われます。

イギリスは政治、経済、そして安全保障の面でも岐路に立たされたことになりますが、ここに新たな ”処方箋” があります。
――これが「日英同盟」です。

イギリスにとっても、そして日本にとっても、国際秩序の中で新しい立ち位置を構築するための橋頭保となるかもしれません。

イギリスの未来は誰も予想できない

戦争以外で、これほどまでに世界が揺れ動いた時期があったでしょうか?

2019年の年末からこの約1カ月の間、日本からカルロス・ゴーンが逃亡し、イランではソレイマニ司令官が殺害され、イランが報復攻撃を加えたと思いきや、民間旅客機を誤って撃墜してしまった。

また、日米貿易協定が今年になって発効し、今後の日本経済の行方がまったく予想だにできなくなった中で、当のトランプ大統領はと言えば、偏向に満ちたイスラエルにとってあからさまに有利な中東和平案を発表し、パレスチナの人々を抹殺せんと試みているかのようです。
そして、国際社会はこの動きを全く止めることができないのです。

そんな中で起こったのが、新型コロナウイルスの世界的な拡散です。
日々というよりも、刻一刻と感染者、死亡者が増えてゆくといった広がりを見せる中で、まるでイギリスのEU離脱は蚊帳の外に置かれた感が拭えませんが、それでもこのことは、最も衝撃的な国際問題であることには違いありません。

そして、上述した世界を取り巻く情勢がそうであるように、イギリスの今後の行方も、もはや誰も予想できないのではないでしょうか?

完成しつつある日英の安全保障協力体制

Photo by : 首相官邸「日英首脳会談」

2017年8月31日。日本の安倍首相は国賓として招いたイギリスのテリーザ・メイ首相と会談し、「日英共同ビジョン声明」「繁栄協力に関する日英共同宣言」「安全保障に関する日英共同宣言」を発信しました。

とりわけ「安全保障に関する日英共同宣言」は極めて重要で、いかに示すように実に興味深い内容が宣言されているのです。

安全保障協力に関する日英共同宣言【骨子】  ※一部抜粋し概要を記載
▶日本は英国空母の展開といったような、英国陸海軍のアジア太平洋地域への関与の強化を歓迎する。
▶日本は共同演習のため自衛隊員、航空機、艦船を英国に派遣することを検討する。
▶日英共同演習を強化し、その定例化を探求する。
▶自衛隊、英国軍の共同運用・演習促進のため、行政上、政策上、法的手続きについて優先的に取り組む。
▶防衛装備品・技術協力を強化し、武器や汎用品・技術の輸出管理について協力する。

要するに、地域を「アジア太平洋地域」に定め、日頃から自衛隊、英国軍の交流を深めつつ「日英共同軍事演習」を行い、武器の売買もやりましょう。そのために日本は法的な整備に取り組みますよ、と宣言しているのです。

この日英共同宣言が意味するところは明確です。
メイ首相が「日本とイギリスは自然な同盟国である」とインタービューに答えたように、今後は「日米同盟」として両国の関係をさらに発展させる目算があるのです。

自衛隊、英国軍は既に活動を始めている

Video by : SankeiNews「日英 安全保障で連携加速 陸自と英陸軍が初の実動訓練」

安倍政権とメイ首相とによる日英共同宣言を受け、翌年2018年に日英両国は早速行動を開始しました。

2018年9月30日から10月12日にかけて行われた、陸上自衛隊とイギリス陸軍による実動訓練「ヴィジラント・アイルズ」では、両国合わせて110人規模の精鋭部隊が陸自富士学校(静岡県)に集結しました。

この110人を軽く見るべきではありません。イギリスから参加したイギリス陸軍の「名誉砲兵隊」は、発足から500年近い歴史を持つ精鋭部隊。数多くの実戦にも投入されています。

司令官 パトリック・サンダース中将はインタービューにこのように答えています。
「イギリスの意思を示すため精鋭部隊を派遣した。イギリス陸軍初めての日本の国土への派遣だ。これがいかに重要か過小評価してはならない。日本はアジアにおける英国の最も緊密な安全保障上のパートナーだ」

実際、イギリス軍が日本国内で陸上自衛隊と共同演習するのは、この時が初めてでした。サンダース中将の言葉を借りるまでもなく、この意味するところは実に大きいと言えましょう。

その他にも日英両国は、陸軍だけでなく海軍もその関係を深めています。
2018年の夏には、海上自衛隊の練習艦隊がイギリス海軍最大の拠点、ポーツマス港に寄港。その際、日英両軍の共同演習も行われました。

日本もイギリスも ”中国の脅威” についてはナーバスになっていることもあり、アメリカやイギリスが行っている「航行の自由作戦」に、今後は海上自衛隊も参加して欲しいといったイギリスの思惑が根底にあるものと思われます。

日英同盟 ▶同盟の「バランシング」において不可欠

日本とアメリカの同盟関係、「日米同盟」については一方的に批判するべきではありませんが、とはいえ、沖縄を始め日本全国に在日米軍基地が置かれ、日本は ”思いやり予算” と称する多額の駐留費を米軍に支払っています。しかも、首都圏の制空権まで米軍に握られているこの現実はあまりに非対称的、かつ理不尽で、日本は到底独立国家の体を為しておりません。

端的に言えば、日本はアメリカの植民地のような状態であり、「外国からの支配」ということが日本における問題の本質なわけです。

そのような中で、「日米同盟」とは別に「日英同盟」を追及するのは、日本の国益に適うかもしれません。

それは、同盟関係の「バランシング」という意味において重要です。

これまで日本は ”対米従属” という国是を掲げ、アメリカだけを見つめてアメリカに付き従ってきました。そんなアメリカも「日本に対して自律的な外交をさせない」「日本に対して自律的な防衛をさせない」といった基本方針のもとに、戦後から現在にかけて日本を支配構造の中に組み入れてきたわけです。

日本は長年にわたってアメリカに足もとを見られてきたわけですが、そのような中での「日英同盟」というもう一つの同盟関係は、アメリカ以外の選択肢を日本が持つことを意味し、複数の同盟関係をバランスさせることで日本の自立へのきっかけを与えるものになるかもしれません。

そして、このことはEUを離脱したイギリスにとっても、イギリスの国益を毀損するものにはならないはずです。

自衛隊が日本本土を防衛できるように憲法の制約を無くし、在日米軍のような外国の軍隊が駐留するような状況を解消し、複数の国家と同盟関係をバランスさせることができるのが、国家本来の安全保障の在り方ではないでしょうか?

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