”#検察庁法改正案に抗議します” が安倍首相に止めを刺す!

Introduction:5月10日未明、突如として出現した Twitter のハッシュタグ 「#検察庁法改正案に抗議します」が Twitter を席巻しています。

これは検察官の定年延長をめぐる改正法案に抗議する、言わば「インターネット・デモ」の一環であり、このハッシュタグを使ったツイートは午前8時には150万件、午前10時には200万件を超えました。

今や政治家もその動向を注視するようになり、世論の一端を反映するとまで言われる Twitter「#検察庁法改正案に抗議します」は日本の政治を変えることができるのでしょうか?

朝日新聞も取り上げざるを得なくなったインターネット・デモ

ハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」を使った Twitter 上の抗議活動の模様は、yahooニュースでも大きく取り上げられた。

リアルで声を上げることだけがデモの本質ではない。先にソーシャルメディアの動員ツールとしての側面を挙げたが、ソーシャルメディア自体がデモの効果をもたらす──サイバーデモが起きる場合がある。

象徴的な例は、2009年、日本の民主党が政権奪取した直後の記者クラブ開放問題に関するツイートだ。
閉鎖的・排他的で、フリー記者の取材に制限を加える「記者クラブ」の開放は、政権交代前の民主党のマニュフェストだった。しかし、政権発足の初日から会見はオープンにされなかった。いきなり公約が破られたことに、ツイッター上では批判的な意見が飛び交い、「炎上」する結果となった。

この事態を重く見たのが、”ツイッター議員” の代表格として知られる民主党の藤末健三参議院議員だった。
藤末議員は、ツイッターのタイムラインをプリントアウトし、それを「国民の意見」として、民主党執行部に掛け合った。プリントアウトして持っていくというのは、実にアナログな手法ではあるものの、こうした紙の束をリアルに見せられると、相当なインパクトがあったのだろう。結果として、さまざまな記者会見がオープンになっていった。

津田大介『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書) ※太文字は筆者による

上に紹介したのは、メディア・アクティビストの津田大介氏による著作『ウェブで政治を動かす!』からの抜粋ですが、この書籍が出版されたのが2012年11月のことです。この本の中で津田氏は「サイバーデモ(インターネット・デモ)は起きる場合がある」と、明確に主張しています。

これまで Twitter を始めとするソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が社会に大きな影響を与えたことは多々ありましたが、この約8年間の中で今回のハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」を使った抗議のツイートは、最も成功した事例の一つに挙げられるでしょう。

そして、数多くの著名人も賛同するこの ”インターネット・デモ” については、午前8時には150万件、午前10時には200万件といったように次々に賛同者が現れ、ついに朝日新聞が電子版で反響の模様を発信。この朝日新聞による記事は yahooニュースでも最上位に取り上げられ、さらにはNHKも夜7時からの『ニュース7』でも報道するなど、今もその勢いは留まることなく継続しています。

◆ 出典記事 ◆
 『検察庁法改正に抗議、ツイッターで200万超 著名人も』

 ~2020.05.10 朝日新聞 DIGITAL~

検察庁法改正案は既に審議入りしている

5月10日、NHK『ニュース7』は多くの著名人が『#検察庁法改正案に抗議します』に賛同する様子を伝えた。

そもそも、このハッシュタグは、検察官の定年を65歳に引き上げ内閣の判断で検察幹部の定年を延長すらできてしまうようにする「検察庁法改正案」に反対するためのものです。

この法案の審議は、与党が強行する形で既に5月8日に始まっています。野党としては当然のことながら森雅子法務大臣の出席を求めましたが、なぜか与党側はこれを拒否。この対応に納得のいかない野党が欠席する中で審議は進められています。このこと一つとっても、今回の改正案のいかがわしさを如実に物語っています。

この8日の審議には自民党、公明党、そして「日本維新の会」が出席したことは記憶に留めるべきでしょう。

新型コロナ対策では、政府とは違った素早い対応を展開していることで注目されている吉村大阪府知事ですが、彼が副代表を務める「日本維新の会」の本質とは、自公の ”補完勢力” である、ということに尽きるのです。

結局は黒川弘務氏のための改正案

問題となっている黒川弘務・東京高検検事長(写真:右)

1月31日、安倍政権は2月7日に63歳の定年を迎える黒川弘務・東京高検検事長について、8月7日まで勤務延長する閣議決定を行いました。これにより、黒川氏が検察トップの検事総長に就くことが可能となり、「安倍首相による検察の私物化」との批判が強まっています。

黒川氏は、15年以上の付き合いのある菅官房長官からの信頼が篤く、現在も定期的に会食をする仲です。また、それ以上に官房副長官の杉田和博氏とは親密で、検察捜査の進捗状況を報告しているのではとの噂が絶えません。

また、過去には小渕優子・元経産相の ”ハードディスク・ドリル事件” や、甘利明・元経済再生相の ”口利き” 疑惑をもみ消した人物とされ、今後はIR疑惑の秋元議員、公職選挙法違反疑惑の河井議員夫婦、そして菅原一秀・前経産相の一連の疑惑もみ消しを期待されていることでしょう。

今回の改正案は、結局のところ黒川氏のための改正案であり、そこまでして黒川氏を検察トップに据えたいということは、安倍首相がそれだけ ”ヤバい” ことをしてきたことを安倍首相自ら白状しているようなものです。

なぜ「#検察庁法改正案に抗議します」がここまで盛り上がったのか?

なぜ「#検察庁法改正案に抗議します」がここまで盛り上がったのか?

それは多くの国民が「政治化」したからと考えられます。

今回の新型コロナの世界的蔓延により、日本でも緊急事態が宣言され長期にわたり自粛が要請されています。国民は自宅に籠るようになり、あらためて政治に関心が向く土壌が醸成されました。

しかし、現実に展開されている安倍政権によるコロナ対策は、あまりに対応が遅く、科学的根拠に乏しい、”アベノマスク” に象徴されるようなあまりに馬鹿げた幼稚な政策のオンパレードです。

そして、海外に眼を転じてみれば、NYのクオモ知事の明解な説明があり、ドイツのメルケル首相の呼びかけはドイツ国民の心の琴線に触れ、隣の韓国では文在寅大統領が徹底的なPCR検査を行うことで結果を出している。一方、日本の安倍首相は、記者会見では活舌悪く、言葉も薄っぺらで、しかも明確な説明は何もなされない。

そのような中、安倍首相の保身を図るような「検察庁法改正案」の審議が始まった。「10万円の給付金も、アベノミクスも届いていない」この状況においてです!

つまり、日本国民の政治への関心と怒りは現在頂点に達しており、大多数の国民は安倍首相に対し明確な「不信任」を突きつけているのです。「#検察庁法改正案に抗議します」が盛り上がらないはずがない。

検察を私物化し、検察法まで改悪しようとする安倍首相も安倍首相なら、ここまで国民の不興を買っておきながら、自ら退職しようともしない黒川弘務氏も黒川氏です。

この二人は日本のダークサイドを見事なまでに体現し、国家に巣くう寄生虫のような存在かもしれません。そのような中で、ハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」は安倍首相と黒川弘務氏に止めを刺そうとしています。

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