「参院埼玉補選」N国の政治戦略が悪魔過ぎる! ~立花孝志は何を考えているのか?

国内政治

参院埼玉補選は不毛で倒錯した ”八百長選挙” だった!

上田清司氏は6月15日に記者会見し、任期満了で退任して8月の埼玉県知事選には出馬しない旨、表明しました。

そもそも、8月に行われた埼玉県知事選挙から、10月27日に投開票される参院埼玉選挙区補欠選挙に至るまで、他にあまり類のない、稀に見る ”不毛な” 選挙が展開されていました。

現職の上田清司(うえだ きよし)埼玉県知事の任期満了に伴い、上田氏は次の知事選には立候補せず、10月の参院埼玉補欠選への立候補を表明したことから話は始まります。

何のことはない、野党共闘の埼玉知事選で「大野元裕(おおの もとひろ)」前参院議員を上田氏が応援する代わりに、上田氏が埼玉補欠選に出馬するときは野党共闘と大野氏が応援するといった ”談合選挙” だったわけです。

さらに、上田氏は出馬表明の記者会見の席上、「憲法は時代に合わせて変えてゆくべき」といった憲法改正を容認する発言をしたことで、これ以上地方選で負けられない自民党が対立候補を立てず、上田氏に相乗りすることを決定します。

つまり、安倍首相による憲法改正に反対する野党共闘が、安倍首相による憲法改正に賛成する上田清司氏を応援するといった、実に倒錯した不毛な構図が出来上がってしまっていたのです。しかも、今回は共産党ですら、野党共闘に固執するあまり、対立候補を立てていません。

どうでしょうか?この選挙・・・?
真面目に考えれば、これでは自公支持者も、野党共闘支持者も、そして共産党支持者であっても、投票したくとも投票を躊躇してしまうのではないでしょうか?

今回の埼玉補欠選は、組織票で上田氏が100%圧勝するか、対立候補不在で不戦勝する予定の ”八百長選挙” だったわけです。

参院埼玉補選を面白くしたN国の戦略のすべて!

そのような中で登場したのがN国(NHKから国民を守る党)の党首、立花孝志氏です。

ご存知のように、立花氏は7月の参院選で当選、しかも選挙区・比例代表合わせて250万もの票を獲得し、N国は晴れて政党要件を満たしています。
ところが、今回の埼玉補選で立花氏が勝利したとしても、任期は3年でしかありません。

私たち市井の人間には全く理解不能ですが、一体なぜ、立花氏はこのような ”暴挙” に出たのでしょうか?

実は、立花氏は実に巧妙な戦略を構想しているのです。
これは既存メディアとインターネットを融合した、”悪魔的な戦略” に基づいた選挙と言えるでしょう。
今回は立花氏の構想を一つひとつ解説したいと思います。

第一の戦略:N国の議席は減らさない!

立花氏は参院比例区の当選者です。
彼が補欠選に出馬すれば参議院議員を失職することになりますが、その一方でN国次点の浜田聡氏(医師)が繰り上げ当選することになります。
よって、立花氏が補欠選で落選しても、N国の議席は減らないのです。

第二の戦略:YouTubeのために脅迫事件すら演出する!

※立花孝志氏は「堀江貴文」のYouTubeチャンネル『立花孝志と堀江貴文が初対談!立花党首の過去に迫る…!【Part1】』に出演。二瓶・中央区議に対する脅迫は演出に過ぎないことを告白。

立花氏は早い段階から YouTube の可能性に着目し、YouTube を有効活用することで党の周知を図ってきました。

彼は、かつてN国に所属していた東京都中央区議・二瓶文徳(にへい ふみのり)氏への脅迫容疑で書類送検されましたが、被疑者となったのはこれで「5回目」であることを立花氏自身が告白しています。

「被疑者になったのはこれで5回目で、被疑者になることには慣れてしまっている。また、この程度では起訴できないことも分かっている」と不起訴処分となることに自信を見せています。

つまり、これまでの二瓶氏への脅迫は、YouTube で再生回数を上げるための ”演出” であったというのです。

このことは堀江貴文氏の YouTubeチャンネル『 立花孝志と堀江貴文が初対談!立花党首の過去に迫る…!【Part1】 』に出演した際、立花氏自身が認めていますし、『立花孝志が目指すのは政界の秋元康!?N国党の戦略を徹底解剖!【Part2】』では、タレントのマツコ・デラックス氏に対する一連の因縁についても ”計算づくの演出” だったと、あっけらかんと語っているのです。

このような ”努力” が実を結び、今や立花氏のYouTubeチャンネルは数万、数十万回再生の動画が軒を連ね、ひと月当たり3000万円程の収入を上げるまでに成長しています。

第三の戦略:低コストでメディアを宣伝(売名)媒体にする!

埼玉補欠選では、上田清司氏と立花孝志氏の一騎打ちになりました。
立花氏の落選は ”確実” だとしても、実は、立花氏は選挙の当落に全く関心を寄せていません。

一騎打ちになったことで、メディアは上田氏だけでなく立花氏にも焦点を当てて報道することになります。

また、今回は自民党・公明党は候補者を立てていませんから、行き場を失った保守票の一部はN国に入るので、得票率は確実に4%を越えてきます。そうなると供託金が返金されるので、実は、補欠選が極めて効率の良い(低コスストな)宣伝媒体に変貌するのです。

立花氏は「金が掛からない政治をしている」と言い、むしろ「選挙で金儲けをすることをテーマにしている」ようなのです。
堀江貴文氏のYouTubeチャンネル『お金をかけずに選挙に勝つ!?ホリエモンの再出馬はあるの??【Part3】』では次のように語っています。

「市会議員選挙があるとして、選挙ポスターを知り合いの業者に発注する。費用は20万だったとしても、業者は必要経費も含め40万円を市に請求することができる(※これは合法です)。20万儲かるわけですが、陣営のボランティアがその会社に入ってビラ配りなどして働いて、お金貰えばそれで良いんじゃないかと・・・」

あまり知られていないことですが、市議会選挙でも都議会選挙でも、現在は候補者が公平に選挙を闘えるように(つまり金持ち候補者と貧しい候補者の格差を是正するために)、「税金」で費用をある程度補填してくれる制度があるのです。

立花氏は言います。
「”税金” で選挙すれば誰にも忖度することはない。むしろ、”税金” で選挙をするべきだ。」
「しかし実際は税金以外の金を使って選挙をしている。企業から金を貰えば企業を忖度するし、組合から金を貰えば組合を忖度するようになってしまう。だから、改革ができない。選挙に金を掛けなければ、改革はできるはずだ」
と。

忖度が「流行語」となり、メディアの政治への忖度が社会問題化する中で、立花氏の指摘はある意味、正論と言えるのではないでしょうか。

最終戦略:憲法改正のキャスティングボードを握る!

※堀江貴文氏が立花孝志氏の戦略の一端について、興奮気味に解説してくれています。おそらく、堀江氏が立花氏の本当の正体に気づいた最初の有名人だと思われます。

最終的に、立花氏は何を目指しているのでしょうか?
結論を言えば、彼の狙いは「参議院」にあると考えられます。

安倍首相の悲願と言えば何と言っても「憲法改正」です。現在の安倍首相は他の政策はさておいても、憲法改正に政治生命の全てを賭けているといっても過言ではありません。

長期政権を為した首相として最後の花道を飾り、なおかつ、日本の歴史にその名を刻み、名実ともに父親・安倍晋太郎、そして祖父・岸信介を超えるためにも、安倍首相はあらゆる手段を使って「憲法改正」をやりたいと熱望している。そのために、安倍首相は自民党総裁の任期を「連続2期6年」から「連続3期9年」に変えてしまいました。

憲法改正の発議をするには、衆参ともに3分の2以上の賛成が必要となります。
現在、定員465名の衆議院では3分の2以上の改憲勢力を確保していますが、定員245名の参院選では改憲勢力が3分の2以上に足りていない現実があります。
言うまでもなく、「3分の2以上」と言う観点からすれば、衆議院と違い定員の少ない参議院は議員ひとり一人の「重み」が違ってきます。

立花氏はここに目をつけました。

立花氏は、一人でも多くの議員、しかも参議院議員を確保したいと考えているわけです。そのために YouTube、既存メディアを駆使した宣伝に努めています。
そして、党の議員が増えれば、それだけ多くの政党助成金を手にすることもできます。

立花氏は、この政党助成金をダイレクトに議員に渡してしまうことで、他党や無所属議員の引き抜きを図っています。そうすることで、憲法改正のキャスティングボードを握る可能性が出てくるというわけです。

しかも、堀江貴文氏は断言していませんが、仮に「立花&堀江」選挙を闘うようなことが実現すれば、その集票能力は計り知れず、「憲法改正のキャスティングボード」は一気に現実化します。

つまり、立花氏は憲法改正をバーター(取引き)にして「NHKをぶち壊そう」としているのです。

自民党がN国を取り込まないと憲法改正できないという状況を作りだし、N国としては憲法改正に賛成する代わりに「NHKのスクランブル放送」を認めさせる戦略です。これが立花氏の「最終戦略」です。

まとめ:立花孝志氏の本当の正体とは?

N国の党首として立花孝志氏が世に現れたとき、誰もが「お馬鹿な、色物」と思ったに違いありません。これまで幾度となく目にしてきた、決して当選することのない ”おもしろ泡沫候補” です。

しかし、その見方は誤っています。
もちろん、立花氏を善人だとは言いません。彼は間違いなく悪人ですが、それでもなお、彼は誰もやったことのない政治戦略を駆使し、ある意味真っ当な政治センスを持っていると認めざるを得ない部分もあります。

つまり、ここ最近のN国の躍進は「立花氏の正体がバレた」ことに因るものです。
「良い候補者だと思ったが、実はダメな奴だった」というお決まりのパターンとは逆に「馬鹿な泡沫色物だと思ったが、ちょっと待てよ・・・」という意味において。

「”選挙” は得意だけど ”政治” は得意ではない」と彼は言います。
政治は、政治がしっかりできる人間に任せたい。そして、政治家は立法府の国会でしっかりと法律をつくるのが仕事なのだ。今はそんな政治家がいなくなった。自分はきちんと法律をつくられる政治家を集め、政治家たちをプロデュースする側に回りたい。AKBに対する ”秋元康” のようなものだ(笑)」

確かに、彼の言うように「政治家の仕事とは法律をつくること」です。
しかし、この基本を忘れている政治家があまりに多いのも事実です。

立花氏の発言を辿ると、彼は「選挙」と「政治」を別物として捉えているのが分かります。ここが一般常識とは若干異なる彼の特徴で、こういった発想から今回紹介した「戦略」へと繋がっていったのだと考えられます。

立花氏の正体が良い意味でバレつつある今、N国は今後とも党勢を拡大してゆくのは間違いないと思われます。

「憲法改正」を軸に、立花孝志氏は私たちを震撼させるのでしょうか?
あるいは、狂喜させるくれるのでしょうか?

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