菅義偉が勝ったのではない。石破茂が負けた自民党総裁選なのだ!

Introduction:大方の日本人は菅義偉が「勝った」自民党の総裁選と思っているようだが、その認識は誤りだ。

より本質的な側面から評するのであれば、石破茂が「負けた」自民党総裁選であると認識すべきなのだ。

考えてもみて欲しいのだが、派閥が寄ってたかり65歳の首相後任に71歳の官房長官が選ばれ、それを影で差配していたのが81歳の幹事長だなんて、あまりに不毛で絶望的な ”老人政治” だと言う他ない。

これも一重に石破茂を排除するための、言わば学校で言うところの ”いじめ” のようなもの。それが国民政党である自民党の内部で行われていたのだ。

すべては「石破憎し!」から始まった

どうやら自民党政治は「政策」でもなく「国民目線」でもなく、かといって「政治家としての矜持」であるはずもなく、「好き嫌い」で物事が決定されてゆくようだ。特に今回の総裁選では、そのような ”好き嫌い政治” が露骨に表れる格好になった。

この ”好き嫌い政治” について、前提条件から整理してみよう。

安倍晋三は石破茂が大嫌い。
麻生太郎も石破茂が大嫌い。
菅義偉も石破への好き嫌いを問われれば、嫌いと答えるだろう。
端的に言って、石破茂は石破派議員19名を除いた粗方の自民党議員から嫌われているのだ。

8月28日に安倍首相は記者会見を行い、首相を辞任する意向を表明したが、元々彼は誰を後継に推したいと考えていたか?

安倍晋三は岸田文雄を後継にしたいと考えていた。
麻生太郎は安倍がそう言うなら岸田でも構わないと考えていた。
しかし、岸田ではもしかすると石破茂に敗れる可能性があった。二人にとってこれは絶対に避けたいストーリーとなる。

そんな時、次期総裁候補として名乗りを上げたのが菅義偉。
ある意味、菅は「石破憎し!」といった党内の空気を読み ”漁夫の利” を得るような格好で総裁選に出馬したとも言える。

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安倍晋三と麻生太郎は菅義偉を擁立することで、新たなストーリーを描くことにした。菅が安倍の意向を汲み取り、菅政権が来年9月までの期間限定とするならば岸田も飲める条件だからだ。

そして、その後に起きたことは安倍政権の ”閉店セール” による異様に高まった支持率と、メディアの忖度による菅への高支持率誘導だった。
そして9月14日、都内ホテルで開催された両院議員総会の場で圧勝し、自民党総裁に選ばれた菅義偉は次の首相の座についたのだ。

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総裁選に負けて笑みをこぼした岸田文雄

総裁選の結果が発表されるや否や、いち早く笑みをこぼしたのは菅義偉ではなく岸田文雄だった。仲間内では「キッシー」コールも起き、笑顔で互いに拳を突き合わせた。

岸田にとって何が情けないのかと言えば、彼にとっての総裁選とはトップに立って総裁になることではなく、はなから2位争いに全てを傾倒していたことだ。投票が翌日に迫った13日、岸田は自民党政調会長室に立てこもり片っ端から他派閥議員に支持を求める電話をかけまくっていた。その意味では彼の「どうしても2位になりたい」という執念は尋常ならざるものがあった。

岸田文雄は自身の派閥である岸田派(宏池会)の47票の他、谷垣禎一グループから流れる票をを中心とし60票程度の獲得になるものと予想。石破茂との激しい2位争いを覚悟していた。しかし、実際に蓋を置けて見れば菅の377票はさておいたとしても、岸田の89票は値千金の2位だったと評価できよう。

つまり、岸田の執念のラブコールが実ったのかは定かでないが、他派閥や無派閥から20票ほどが岸田のもとに流れてきたことになる。
これについては自民党最大派閥、細田派の幹部は次のように説明する。
「これは石破を2位にしたくない執念だね──」

温情と同情、そして施し

岸田文雄が今回の総裁選で3位に甘んじれば、次の首相候補どころか派閥領袖の座すら危うくなるところだった。これは彼にとって政治生命を絶たれたも同然だ。そんな中で、藁にもすがる思いで頼ったのが細田派だ。その細田派は、議員票を貸してやることで岸田に恩を売ったことになる。

これは逆の見方をすれば、それだけ石破茂が党内の嫌われ者ということになる。そして、ここまで嫌われる石破とは、果たしてどのような政治家なのか? むしろそのような興味が掻き立てられるというものである。

ちなみに、岸田が獲得した都道府県票はわずか10票でしかなく、候補者3名の中で最下位であった。これに対し、石破茂は42票もの都道府県票を獲得している。総裁選クラスの政治家にとって、地方票が取れないようではどうにもならないし、イメージも悪い。

岸田は「首の皮一枚つながった」として安堵しているようだが、結局のところ党内の ”石破憎し” に乗じて最大派閥から「温情票」あるいは「同情票」を融通して貰ったという、いわば「施し票」によって勝ち取った、軽いと言えばあまりに軽い2位という結果であった。

自民党は日本の政治の主流を担っておきながら、実際に展開されているのは「門閥政治」による ”好き嫌い政治” でしかないのは無様な限りである。安倍や麻生、そして、その他の著名政治家の二世三世たちといった「門閥政治家」は幼少のころから甘やかされてきた、あるいは偏向した幼少時代を過ごしてきたことから概して堪え性が無くなっている。

そのような子供が大人になり政治家になって老人になったとしても、堪え性の無さが治るわけでもなく、実際に行われているのは派閥が寄ってたかり65歳の首相後任に71歳の官房長官が選ばれ、それを影で差配していたのが81歳の幹事長といった、あまりに不毛で絶望的な ”老人政治” なのだが、その実態は”好き嫌い” で物事を判断する ”子供の政治” なのである。

※記事の中で敬称は省略しました。

Last Updated on 2020-09-16 by この記事を書いた人:白坂和哉

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