緊急事態宣言発令!人間心理が分からない安倍首相と悪用しそうな小池都知事

本日、4月7日の新聞各紙の一面は軒並み「きょう緊急事態宣言をします」といった見出しのオンパレードだった。

しかし、これは考えるまでもなく実に間の抜けた話である。

というのも、緊急事態宣言は大胆な内容を、電撃的に発表しなければ全く意味がないからだ。それを安倍首相はかねてから「ロックダウン(首都封鎖)をやることはない」といったように情報を小出しにし、あろうことが前日6日には記者会見を行って緊急事態宣言の大方のあらまし語ってしまうとは、7日に正式に宣言される緊急事態に一体どれほどの ”新鮮味” があるというのだろうか?

※4月7日付の毎日新聞

結局のところ、今回の緊急事態宣言による効果は極めて限定的で、感染拡大のカーブが若干緩やかになる程度の結果にしかならないと思われる。

その一方で、既にロックダウンを実施しているイギリスは、日本とは異なり高い緊張感を持ってコロナウイルスに向かい合っている。

4月5日、エリザベス女王はテレビやラジオを通じ、イギリス国民に向けたスピーチを行った。以下に記すのは、女王が語りかけた言葉である。
「我々は成功する。まだ我慢が必要だが、良い日が戻るということに慰めを見いだそう。友や家族と再会する。我々は再び会うのだということに──」

「我々は再び会う」──”We meet again” とは第二次世界大戦の最中、イギリスで流行した曲だという。つまり、イギリスにとってコロナウイルスとの闘いはまさに「戦争」なのである。


もし、緊急事態宣言によって人々の行動が変われば、もしかしたら2カ月ほどでコロナウイルスは終息できるかもしれない。
──そう語るのは、日本医師会常任理事の釜萢敏(かまやち さとし)氏である。釜萢氏は新聞のインタビューに次のように答えている。

海外の例からすると、対策が順調に進めば2カ月程度で終息できるだろう。2カ月は長く感じるかもしれないが、行動の変化を徹底すれば、約2週間で効果が見えてくる。新型コロナウイルスは、体に入って症状が出るまでの潜伏期が平均5日。症状が出て検査を行い検断が確定するまで平均8日。合わせて2週間後に増減傾向が分かるからだ。

2020.04.05 産経新聞 7面【特集】『緊急事態宣言 いつ出すべきか』

このことは、7日の19時から行われた記者会見の席上でも安倍首相が触れていたことだ。であれば、今必要とされるのは国民への金銭的な保障なのである。しかし、安倍首相にはこの事が理解できない。

安倍首相にあらためて問いたいのは、緊急事態宣言の目的(ゴール)とは何かということだ。安倍首相は経済保障と経済対策の区別もつかない様子で、経済対策は108兆円だと胸を張っているが、根本的な宣言の目的は「コロナウイルスの終息」以外にあり得ない。

ところがどうだ。安倍首相は都市部を封鎖するわけでもなく、外出の自粛についても法的な強制力与えず、そして、東京の満員電車については全く手を打つことができなかった。

結局、宣言される緊急事態の中身に見出しをつけるならば『政府の対応、今までと変わらず』に尽きる。これでは人に緊張感は与えられないだろうし、これでは人は耳を傾けない。安倍首相は人間の心理というものがまるで分っていないのである。


◆ 関連記事 ◆
 『なぜ朝日新聞は保守派に嫌われるのか?~吉村大阪府知事の往来自粛要請から考える』

吉村洋文・大阪府知事が厚労省による非公開資料を敢えて公開し、「大阪-兵庫」間で新型コロナウイルスの感染拡大が急増する懸念があるとして、20日からの3連休は両府県間の不要不急の往来を自粛するよう、住民に呼びかけた。これが3月19日。

その時、東京の小池百合子・都知事は何をしていたのかと言えば、東京オリンピックについて「中止も無観客もあり得ない」と語っていたのである。そのため大阪府のように、3連休に向けた強いメッセージを都民に対して発信することができなかった。これは小池都知事の大きなミスだ。

その後、オリンピックに関する状況は大きく変化する。3月23日に安倍首相がオリンピック延期を国会で容認、翌日24日にはIOCバッハ会長と電話会議が行われ延期が正式に発表された。

問題の「ロックダウン(都市封鎖)」発言が飛び出したのは、延期が決まった翌日、3月25日のことだ。

一般には聞き慣れない、しかも小池都知事が大好きな横文字言葉を使った、これまでの不作為に煙幕を張るための極めて悪意のある発言でもある。

今回の緊急事態宣言は前述したように、法的な影響範囲は限定的だ。これは安倍首相も認めているように、改正新型インフルエンザ対策特別措置法(通称 ”新型コロナ特措法”)ではロックダウンはできないのだ。

この発言が都民はもとより日本全国を駆け巡り、それはあたかも『緊急事態宣言 = 都市封鎖』という誤ったイメージを人々に与えてしまい、実際に都内の一部のスーパーでは買い占めも起きている。


筆者は東京都知事選が始まる直前の2016年の夏、小池都知事と極めて近い人物を含めた3人で都内のホテルの料亭で食事をしたことがある。
その会合では、政治に関する様々な話を聞くことができたが、中でも小池都知事の安全保障に関する話は大変興味深いものだった。

その人物曰く──「小池百合子という人間はもちろん女性初の首相の座を狙っている。彼女はいざ有事の際には海外に軍隊を派兵することに躊躇はしない」

もちろん酒も入った席でもあるし、冗談のつもりで口を出た話かもしれない。それでも小池都知事は ”権力を振るうことを指向している” のは間違いないように思われたのも確かである。


ほとんどの国民が知らない事実がある。
それは、「感染症法」が3月26日に改正され、新型コロナウイルスが感染症法の33条の適用対象に組み入れられたことである。

このことにより一体何が変わるのか? それは知事権限で建物封鎖や交通制限が可能になる、つまり「ロックダウン」状態を可能にできるのだ。

今年の都知事選において、自民党は小池都知事に対抗する候補者の擁立を見送る方針を既に固めている。これで自民党と都知事側は事実上、手を握ったことになり小池氏の再選はもはや確実視されている。

そんな小池氏が感染症法の改正の件を知らないはずもなく、もしかしたら小池都知事はこの法の改正も含めた上でのロックダウン(都市封鎖)を求めているのだとしたら、悪用しそうな気配は濃厚である。

ロックダウン発言以来、小池都知事は妙にテンションが上がり ”はしゃいでいる” との噂も一部の週刊誌から漏れ聞こえてくる。東京は人口、税収の面からもさながら小国家の様相を呈する日本の首都だ。それだけ知事の発言のインパクトは大きく、今後、安倍政権による緊急事態宣言は、東京を軸として注視せねばならないと考えている。

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